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影英雄

 田網 嶺太(たあみ れいた)かけはし 絵楠えなんは鵜戸神宮に着いた。当時の状況を確認するために社務所へ行き、入り口で多網が

「私、先ほどの件でこちらに来ました宮崎中央署魑魅魍魎対策室の田網と言います。同行しているのは同じく梯です。宮司さんはいらっしゃいますでしょうか。」

と喋りながら警察手帳を呈示した。奥から出て来た宮司は挨拶をすると、

「お疲れ様でございます。仰怪人と言うのはものすごい怪人かと思っていたら普通の人なんですね。酒に酔って暴れている人の方がよほどタチが悪い。宮崎神宮の方は大変だったみたいですが。」

と言った。

「まだ仰怪人と決まったわけではありません。ただその確率は高いかと思われます。」

 宮司は多網に

「仰怪人というのは一体何者なんですか。人間ですよね。先程に連行した警察官も普通の人を連行するように連れて行きました。それにしても宮崎神宮のような傷害事件にならなくて本当に良かった。」

 宮司が喋り終わると梯は

「先ほどの質問ですけど仰怪人と言うのは共通の思想を持った個人の集団、もしくは思想集団だと考えていただければ良いかと思います。生物学的にはおそらく人間です。」

 宮司は今度は梯に向かって尋ねた。

「何かそうなってしまう理由でもあったんですかね。人間ですから心の迷いはあるでしょうけど。」

  梯は話を続ける。

「仰怪人の共通した思想とは[努力しても報われない]、[全ては社会が悪い]と言った比較的単純な考え方で、それが起因で行動を起こします。そして本人が仰怪人だと認めた時に仰怪人として記録されます。」

 梯はさすがに影の話まではできなかった。

 宮司以外からも当時の状況を聞いた二人は社務所を出て車に向かった。


 歩きながら田網が梯に言う。

「あまり緑茶先生の肩を持つと影られたと思われるぞ。」

「思われるんじゃなくて、もう思ってるんじゃないの。」

「まあ思ってる奴もいるだろうな。とにかく俺は心配してるんだ。」

 すると梯は

「あら、あまり特定の女性を心配するとストーカー対策課に行動確認(こうかく)されるわよ。緑茶先生の時みたいに。さっきも言ったけど。」

と言った。

「皮肉か。」

と多網は笑う。

「緑茶先生は宮祭 香(くさい かおり)の部下に〈主任(チーフ)が疲れているから会いに行ってあげてください。〉と言われて会いに行ったら、香さんが泣き出したからそのまんまストーカーにされたんでしょう。先生が民事訴訟なんか起こされたらマスコミが騒ぐわ。そして標的はテロワーズじゃなく警察の初動ミスと怠慢になる。」

「だけど今日のお前は本当に緑茶先生のことをよく喋る。何かあったとしか思えない。」

 田網は心配しているんだぞと言った表情で梯を見た。梯は

「昨日の夜、ハムカイザーが私の影に入ってきました。」

と言った。

「何だって。」

 田網は驚いて少し大きめの声を上げた。梯は話を続ける。

「亜莉須の配属をハムカイザーは知ってました。それで私の影に入ってきたんですけど私は緑茶先生と同じ言葉をハムカイザーに言いました。〈肩が凝ってるの。マッサージして欲しいわ。〉そしたら〈無駄な事に労力を費やすのはやめておこう。〉と言いました。そして〈覚えておいて欲しい。俺たちは反英雄(アンチヒーロー)ではなく影英雄(ダークヒーロー)なんだ。〉と言いました。」 

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