ミニスカアリス
緑茶五右衛門が部屋で待っていると先日テロワーズにやって来た巡査長が入って来た。巡査長は緑茶に携帯電話を机の上のトレーに入れるようにと指示を出し、録音機器や通信機器等を所持していないか確認した。
緑茶はおかしくて仕方ない。自分の影の中にハムカイザーという強力な生物兵器がいるのだ。
巡査長との話はそれほど時間がかからなかった。緑茶の言っている事の方が正しいと確認が取れた。
巡査長は緑茶に言った。
「宮祭香さんには、あなたにも上司にも言えない理由があるみたいです。そこは察してあげてください。そして会いに行かないでください。」
緑茶は〈女心となんとやら〉と笑いながら、警察署を出て駐車場へ向かう。緑茶の影の中から真が話しかけてきた。
「あの巡査長を操って、暴力取り調べ事件に発展させても良かったんだが、先生の判断に任せた方が真実を探求する俺たちにとってはメリットがありそうな気がするよ。それで先生は宮崎を盛り上げたいのかい。貶めたいのかい。」
そんな真に緑茶は言う。
「事実は事実だ。宮崎は田舎さ、それも糞田舎を通り越して糞々田舎だ。そこが宮崎の魅力じゃないか。しかし残念だ。君が巡査長を操ったら殴られて救急車が来るまで倒れてたのにな。警察庁長官更迭、県警本部長降格だ。ところで君は香さんを操ったのかい。」
「操ったのではなく〘ラブラブポーション〙を森市に仕掛けさせただけだよ。香さんは本当に先生のことを好きかもしれないな。」
「それはないだろう。勘弁してくれよ。」
真の言葉に緑茶はそう答えた。
緑茶が帰った後、巡査長は短袴亜莉須に経緯を説明した。説明を聞いた亜莉須の心には香と勤務先のスーパー〘テロワーズ〙への憎しみが湧いてきた。
〈緑茶さんは香さんに気を使ってたんじゃないの。それをあの総務部長が勝手にストーカーだと勘違いして通報して。おかげで私は初動ミスの〘ミスミスポリス〙って呼ばれてる。覚えておきなさいよ。〉
亜莉須の心には警察組織への憎悪までも湧いてきた。
緑茶は駐車場に停めてある自分の車のところまでやって来た。今日は天気が良く影の輪郭もクッキリと浮かび上がる。再び、真が緑茶に話し掛けた。
「先生、弟もやってきた。」
影の中からは実の声が聞こえる。
「先生、初めまして。兄さん、亜莉須ちゃんの影の中に入ろうかと思う。あれだけ人を恨み組織や社会を憎んでいれば操るのは容易いよ。僕がミスミスポリスの汚名を返上させてあげてミニスカアリスにしてみせるさ。」
「実、あくまで我々は宮崎の歴史を正す者だぞ。それを忘れるな。」
「解ってるよ、兄さん。」
会話を続ける兄弟に緑茶が言う。
「俺の影の中じゃなくて、他でやってくれないか。」




