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久し振りだねぇ、また会えて嬉しいよ

 翌日、緑茶は中央署の生活安全部に説明のアポを取ろうと電話をした。

 前日、宮祭香(くさいかおり)が怯えて緑茶の前から逃げ出したためにテロワーズの店長は警察に通報していた。店長からの電話は生活安全部ストーカー対策課の短袴亜莉須に回ってきた。この時、亜莉須は店長の言い分を100%信じてしまった。香が店長に嘘を吐いていると言う認識は毛頭も無く、亜莉須は今までの緑茶と香の経緯を全く確認しなかった。


 その緑茶五右衛門がストーカー対策課に自ら電話をしてきた。亜莉須はあまりに堂々と構えて話す緑茶に怒り心頭で冷静さを欠いてしまった。パニック状態のままヒステリックに応対した。

「あなたは女の子の気持ちが分からないの。彼女の気持ち、分かったでしょ。」

と金切り声で喚くように喋った。

 ヒステリックな亜莉須の言葉が緑茶には

「あぎゃぎゃぎゃ、うぎゃぎゃぎゃ。」

に聞こえ、笑いを必死で堪えた。亜莉須は担当者である自分の名前を告げずに電話をガチャンと切った。

 緑茶の影に潜み、その会話を聴いていた日之影真は電話が切れた途端に大笑いだ。

「オッサン、やっぱりそこにいたのか。」

 オッサンと言われて真は緑茶に言い返す。

「おいおい、オッサンはないだろ。俺はお前より二十、いや三十は若い。」

「それよりオッサン、やっぱ説明の日も付いて来るのかい。」

 緑茶は相変わらず真にオッサンと言う。真は答える。

「当然だ。面白くなりそうだから同行させてもらう。それにしてもあんた、ストーカー扱いされて自ら警察に行くとはいい度胸してるよ。」

「善良な一市民が堂々と警察に行って色々質問できるのは事件に巻き込まれた時ぐらいだろ。」

「それがいい度胸だって言うんだよ。先生が書く小説の警官には無能で悪者も結構いるようだが香ちゃんだけは極上のヒロイン扱いだな。」

「俺が書く小説だ。それで何が悪い。」

 真は〈この男やはりブレない、敵味方ではなく別の立ち位置で接するのが最適だ。〉と考えた。


 数日前の警察沙汰について詳細を説明する日がやってきた。

 緑茶五右衛門は中央署に行き、まず受付に寄ると言った。

「失礼します。(わたくし)、先日生活安全部に予約をしていた緑茶五右衛門と言います。」

 受付の警察官は、

「それでは担当者の名前を教えて戴けますか。」

と言い、緑茶はすかさず、

「あぎゃぎゃぎゃ、うぎゃぎゃぎゃ、ガチャンさんです。」

と馬鹿正直伝えた。それでも話は通じたらようだ。警察官は苦笑すると担当者を呼びに行った。


 上階から降りてきたのは亜莉須ではなく同行していた男性の警察官だった。

 亜莉須が電話で緑茶に行なった対応は生活安全部にいた全ての警官が聴いていた。その尋常ではなさ過ぎる応対に亜莉須では対応が無理だと判断されていた。

 部屋に案内された緑茶は亜莉須の姿を確認して横を通る際に言った。

「久し振りだねぇ、賑やかなお嬢さん。また会えて嬉しいよ。」

 亜莉須は下を向いたまま無言だ。緑茶を案内している警察官も怒っていると言うよりは笑いたそうな顔をしている。真も大笑いしたいところだが影の中から笑うわけにもいかずグッと堪えた。

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