また、つまらぬことを書いてしまった
実が真に話しかけた。
「緑茶先生を我々の仲間にしたいものだね。警察は先生のパソコンと携帯を常に監視しているから、こちらが発信したい時は先生が入力すれば勝手に警察が読む訳だ。」
「それはそうだろうな。曾祖父が〔無能警察〕と呟やいた話をしたら小説の中でもその言葉を頻繁に使ってくれている。」
真も緑茶五右衛門を仲間に入れたいようだ。
「だけどどうして俺たちは先生を操ることができないんだ。」
「簡単なことだろ。軸がぶれないんだ。意志が強いんだ。」
真は当然だという顔をして簡単に答えた。
「そう言うことか。心に入り込む隙がなければ我々の術も使えないな。」
実は〈なるほど〉と言う顔をしている。
「そうだ。小説を楽しみながら書いているんだ。〈俺はいいものを書いているのに売れない。それは世間に見る目がないんだ。〉などとは思ってはいない。先生はありのままに〈真実は一つ、現象には必ず理由がある。〉とどこかの推理小説みたいな言葉も多様しているな。」
「とにかく、我々が今までに操れなかった人間は緑茶先生だけだよ。」
実が言うと、真は答えた、
「我々も先生とは付かず離れずの距離が一番相応しい。」
「緑茶先生は最後必ず〈また、つまらぬことを書いてしまった。〉と締めるからな。」