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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

作者: 小城

 この物語はフィクションであり、実在の事件、人物、団体等とは、一切、関係ありません。

近未来。

 地球上には、人工知能、トランスヒューマン、怠け者の三種がいた。

 人工知能は、言うまでもなく、A.I。人工知能は、産業用コンピュータから、ヒューマノイドにまで運用されて、産業の根幹の労働力として存在している。トランスヒューマンは、通称、サイボーグのような者。彼らは、前時代のホモサピエンスの中の進歩、革新的性向の人々が、不老不死を求めた末に、受け入れた形態である。彼らは、意識をコンピュータ上に繋ぎ、ヴァーチャル空間に独立した世界を立ち上げると伴に、A.I未搭載のヒューマノイドやクローン生体を媒介として、ある者は、リアリティに関与していた。怠け者は、原始人とも呼ばれた。彼らは、前時代のホモサピエンスの中の保守的、過去固執的性向の人々が、進歩する社会や人間を拒み、否定し、人間の生死の問題には、科学よりも、宗教を持って臨み、死ぬことを受け入れながら、日々を生きているまさに、前時代的ホモサピエンスの集団である。

 この世界で、産業労働に従事しているホモサピエンスはいない。トランスヒューマンの多くは、自身の発展と世界の発展を目指した個人的活動に、怠け者の多くは、前時代的ではあるが、産業用労働からは解放された慈善活動や情愛的活動を自発的にしていた。

「お疲れ~。」

 西関東小学校の第562期生の同窓会が、関東市内の西帝国ホテルの鳳凰の間で行われた。

「おつ。」

「おつ。佐島か。」

「久し。タルニメガス。」

 佐島は、原始人的怠け者に。タルニメガスがヒューマノイドに分類される。

「李セノ。さっき見たぜ。」

「真し。行ってみようぜ。」

 李セノは、トランスヒューマンである。彼は、脳の左半球をコンピュータと接続し、半永久的に意識を保ち続けている。身体のほとんども、メカニカルボディに置き換わっている。

「佐島。タルニメガス。久し。」

「久し。李セノ。飲んでる?」

「ドラッグジンジャー、イケるし。真。佐島、今、何してんの?」

「畑。イナゴリウム米育ててる。」

「凄しじゃん。タルニメガスは?」

「マントル調査とか資源運搬かな。」

「凄しじゃん。」

「李セノは、何してんの?」

「俺?俺は、別に、死ぬこともないし。趣味の次元転送開発とか。」

「凄しじゃん。」

「んなことなし。そういや、この前さ。育ててたマンモスが、逃げ出しちゃってさ。大変だったべ。」

「ああ。最近よくあるな。ペット逃げ出すの。この前、パラケラテリウム逃げ出してなかった。」

「ああ。あれも俺。」

「マジっす。李セノ。どのくらいペット飼ってるのよ?」

「ズーラシア王国。建国したからな。」

「マジす。今度、行っていい。」

「いいけど。死なないようにしてよ。」

「マジす。」

「何の話だす?わても、仲間に入れてくれだす。」

「おお。カルペッュン。久し。」

 カルペッュンは、復活ネアンデルタール人で、特別市民であった。

「久しだす。」

「李セノの、ズーラシア王国に行こうって話。」

「お。マジだす。」

「カルペッュン。そういえば、ネメシス5と結婚したらしいじゃん。」

「そうだす。そうだす。フィットネスクラブで、同じ会員だっただす。」

 ネメシス5は復活デニソワ系フロレシアンだった。

「そういえば、この前、イオ星雲から知的電波らしいものが届いたそうだすな。」

「何か、ニュースでやってたかも。」

「まさか、いまさら、宇宙人ってことはないべ。」

 その2日後、地球は、イオ星雲から来た地球外知的生命体の攻撃を、受けた。彼らイオ星系の生命体は、軟体動物の進化した形であり、環境の変化にはとてつもなく、強く、宇宙空間でも、しばらく活動することができる。そんな彼らが、高機能宇宙飛行船に乗って、地球を突如、侵略した。


宇宙戦争

 イオ星雲人は、とてつもない武装集団であった。飛行船から射出される高濃縮核物理砲は、核融合のエネルギーを高濃縮して、放出するものであり、地球のどの物質による装甲も、その光線を防ぐことはできなかった。

 イオ星雲人の侵攻から、僅か三日の内に、地球の三分の二が、占領された。

「我らが、地球を救う。」

 その中で立ち上がったのは、5人の者であった。西関東小学校の第562期卒業生の佐島、タルニメガス、李セノ、カルペッュン、ネメシス5だった。

 タルニメガスとカルペッュン、ネメシス5の3人は、岩山を陰に、イオ星雲人の駐屯地に忍び込んだ。

「わてに任せるだす。」

 宇宙飛行船の横で寝ていたイオ星雲人に、カルペッュンが飛び尽き、その軟体を、咀嚼し、食い散らかした。

「う、うわあああ…!!!?」

 イオ星雲人を一匹、摂取したネアンデルタール人のカルペッュンは、その瞬間、体内にイオ星雲人のDNAを取り入れることにより、急速に進化した。

「ぐわあああ…!!!?」

 体が巨大化し、体長13m体重6トンにまでなった。

「いまだ。」

 その隙に、タルニメガスとネメシス5は、イオ星雲人の宇宙飛行船を一機奪うことに成功した。

「ポボポボポボ。」

 イオ星雲人が、宇宙飛行船から、高濃縮核物理砲をカルペッュンに発射した。

「うおおおお!!!?」

 しかし、超生物的進化を遂げた真ネアンデルターレンシスに、高濃縮核物理砲は効かなかった。カルペッュンは、体毛から、その高エネルギーの光線を吸収し、逆に、口から、拡散核物理砲として、発射した。

「ポボポボポボポボ。」

 そのカルペッュンの吐いた拡散核物理砲により、イオ星雲人の宇宙飛行船の大半が破滅した。

「うおおおお!!!」

 カルペッュンは、拳を振り上げながら、イオ星雲人の駐屯地を、破壊した。

 高機能宇宙飛行船を奪ったタルニメガスとネメシス5は、カルペッュンを先導して、イオ星雲人の駐屯地と宇宙飛行船を破壊していった。その間、佐島と李セノは、ヴァーチャル空間から次元転送を試みて、空間をすっ飛ばして、李セノの意識をイオ星雲まで、転移させた。

「佐島、頼む。」

「よし。」

 スクリーンには、3次元画像に転送されたイオ星雲の様子が映っていた。佐島は、それを見ながら、李セノの意識を、外部的に、コントロールシステムで操作し、イオ星雲人の本拠の場所を探した。

「あったぞ。」

 イオ星雲人の本拠は、イオ星雲星団の第5惑星にあった。彼らは、その表面、全てに纏わり付いて、惑星の熱と近くの恒星の熱を吸収して生活していた。彼らは、外部に独立した脳細胞を持ち、それを全イオ星雲人で共有していた。

「やつらは、全て地下に産業用格納庫を持っているようだ。」

 地表に開けられた穴の上に、イオ星雲人が纏わり付いて、その穴の中に体の一部を入れて、地下で、宇宙飛行船などの開発をしているようだった。

「やるか李セノ。」

「ああ。」

 佐島は、コントロールシステムを操作した。別次元上に存在している李セノの意識の半分は、イオ星雲人に気付かれることはない。

「はああ!!」

 李セノの意識が、イオ星雲星団第5惑星の中心部に転送されて、別次元から、空間をねじ曲げて、圧縮した。その瞬間、イオ星雲星団第5惑星は、イオ星雲一帯を巻き込んで、次元の捩れを起こし、存在ごと、消滅した。


そして、伝説へ。

 イオ星雲は、全ての次元からその存在を消した。地球上のイオ星雲人も、カルペッュンたちによる攻撃で、壊滅した。彼らは、全て、捕らえられて、残った地球人たちの、食糧として、その日の晩の夕食に、刺身として提供された。

「うわああ!!」

 それを、食べた地球人38000000人は、イオ星雲人のDNAを取り込み進化した。原始人的怠け者であった人々は、身体能力がそれまでの2千倍、頭脳が1千倍に発達し、寿命も3千倍に伸びた。ネアンデルタール人は、巨大化し、フロレシアンは、視力が2倍近くになった。

 そして、平和が訪れた。知的能力の急激な進化は、地球人を太陽系外に進出させた。彼らは、息を止めていれば、宇宙空間内でも、生存することができた。ということは、酸素吸入を継続することで、宇宙空間を泳ぐことができた。地球人。すなわち、人工知能搭載ヒューマノイド、トランスヒューマン、超進化した人々は、その身体が続く限り、宇宙の果てまでも、旅を続けることになったのである。


栄光の架け橋

「まもなく、堀切菖蒲園~。」

 京成本線の車内アナウンスが聞こえた。

「(夢か…。)」

 都内に住むサラリーマンの鈴木は、夢から目覚めた。彼は東松戸の住宅から、片道1時間程掛けて、都心に通っている。今日も、会社からの帰宅途中であった。

「(妙な夢だったな…。)」

 暗い夜の街の灯りを窓ガラス越しに眺めながら、マスクを着けた人々は、今宵も、電車という籠に揺られながら、家路に向かって行く。

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