表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
#FF3300  作者: モリセオ
8/15

8 #ドキドキファーストステージ

 いよいよファーストステージ本番。今日は部活を休んでまで参加しに来た。

 こうして知らない人と交流の輪を広げられる点であたしはかなりゲームにのめりこんでいた。親友のことも、好きだったものも忘れるくらいに。

 今回、ギルドで立てた目標は、カスタマイザーになることだった。要するに、自分に合ったビークルを財宝でゲットするか、順位による報酬でゲットする。のどちらか。財宝が見つかるのは本当に「運」だってガウスたちが言ってた。だけど、出会ったときは本当に運命を感じるくらいには乗り心地や使いやすさが違うみたい。 

 ガウスのペガサスなんて普通に女子からしても格好いいなとは思うし、ソフィアのピンクのスポーツカーもシンプルに女の子らしくて好き。

 ギルドメンバー同士でスタートラインに一先ず集合していた。エウクレはレースが始まるというのに、何にも乗っていないから、少しびっくりした。

「エウクレは準備しないの?」

「俺の準備はもう終わっている」

と簡潔な一言で返されたけど、さっぱり意味が分からなかった。いやビークルに明らかに乗ってないでしょ。

 優しいソフィアは解説してくれた。

「エウクレのビークルは実は靴なの」

あたしは目を見張った。思わずソフィアに対して疑いの目を向けてしまうほどに。

 紹介されたエウクレの靴をよく見ると、羽が生えていた。飛べるのかな?

 色々なビークルの形があるのだと学んだ。

 一通りの手続きを済ませると、スタートラインに着いた。スタートラインの配置はランダムで行われるので、ギルドのメンバーとは逸れてしまった。

 そして頭上にはカウントダウンの数字が表示される。

3

2

1 

0になった。エンジンの轟音がそこらじゅうで鳴り響き、戦いの幕が切って落とされた。タイミングを合わせられなくて少し出遅れたけど、この短期間で鍛えたドライビングテクニックを当てにして私も走り出した。

 今回のステージは一国の城を舞台としていた。先ずプレイヤーは中央にある巨大な巨大な城に乗り込む。城への入る場所は複数あり、どこから入っても良い。ガウスの考察によると、遠回りの入り口は恐らく城の中に入ってからのルートがわかりやすいと聞いていた。

 レースに慣れてない私は、取り敢えず遠回りしてでも簡単な道を進もうと思った。城に近づくにつれて、1番近い城門が見えてきた。ここからはプレイヤーの性格が出る。直ぐ目の前の門に入っていく人もいれば左右に分かれていく人もいる。私は裏側の入り口を目指した。左から回ると、さらにもう一つ門が見えてきた。そこに入っていく人もちらほら。

 私はそこも通り過ぎた。

 城壁に沿って走っていると、最後の門が見えてきた。多分ここが一番遠いところだ。私はその門から城に突入した。

 中に入ると、無数のプレイヤーが走っていた。私が入った入り口からのルートは、壁に沿って作られた螺旋階段のシンプルなルートだった。その階段を走っていると、内部に他のプレイヤーが走っているのも見える。道はよくわからないくらい複雑そうだった。本当にガウスから話を聞いていて良かったと思う。

 いつの間にか私より先に進んでいるプレイヤーがいなくなってきた。みんな途中にある扉などを開けて別の部屋に入っていったためだ。

 そして私も、扉をみつけた。何かあるかも。

 予想してた通り、部屋の中央には宝箱が置かれていた。ビークルから降りて開けてみると、なんと。

 絨毯が飛び出してきた。魔法の絨毯ってこと?

 その絨毯は乗れと言わんばかりに角を手のように振って合図してきた。私は初心者用ビークルを片付けると絨毯に飛び乗った。空を飛ぶ魔法の絨毯。童話の世界でしか見たことないから夢のような感覚だった。

 私は四つん這いの状態で絨毯を操り、ステージを走り続けた。そしてもうすぐゴールが見えてきたところでプレイヤーがわんさか集まっているのも見えてきた。

「どうしよう。ぶつかり合いで勝てるほどレベルも高くないし...」

勿論このゲームではビークル同士の接触タックルも発生する。その場合、予め設定されたり、強化されたタフネスという値を比べて低い方が吹っ飛ばされてしまう。私はレベルも低いし、タックルで勝てる見込みはなかった。

 この状況を打破するにしても、神頼みしか私にはできなかった。そう祈った瞬間、本当に祈りを通じてしまったようだった。

 目の前に『Complete customizing! Congratulations! You can shift up!!』という文字が出現した。その後、私の膝下にランプが一つ現れた。

 もしかして。

 童話に出てくるランプの魔神を思い出した。確かここを擦ると...

「お呼びかい?ご主人様」

と青い巨体の魔神が現れた。登場と同時に魔神が1人、2人とプレイヤーを蹴散らす。

「え、えーっと。この状況をなんとかしたいの!」

「よーし任せろ」

ランプの魔人が指を鳴らすと、レースの途中で取得できるアイテムの箱が出現した。それを開けてみると無敵インビジブルの効果を持ったアイテムが私の体に宿った。

 これを手に入れたとなると、私はタフネスに関係なくタックルに負けることがなくなる。

 思い切って私は加速した。接触していくプレイヤーを、インビジブルの効果で吹っ飛ばしていく。

 やった!

 私は初めて独りでゴールテープを切ることができた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ