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#FF3300  作者: モリセオ
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6 赤を追うもの

 僕はウサギさんから事情をすべて聞いた。どうやら肉体が今入院中ということだけはわかるらしい。だが、精神は完全にこのゲーム内に入ってしまっているらしい。そんなことがあるのか、と拍子抜けしてしまい、僕は言葉が出なかった。

 一先ず認識を合わせると、あのワイルドライドの幹部が黒いライダーを攻撃して、黒いライダーが何かしらの能力を発動させて、それが彼女に当たったんじゃないかという推測だった。

「まあそうなるよね」

「…ごめん」

僕は黙っていてもウサギさんが可愛そうなので、ポジティブな話題を出そうと頭を回転させた。にしてもウサギさんといちいち呼ぶのは怠いなと思った。

「そうだ。名前なんだったの?」

「ハンネ?ハンネはホープ」

「じゃあホープ」

「あなたは?」

「クリムゾンヒーロー」

「長いよ」

ホープは溜息を吐いた。気持ちはわかる。時々自分も同じこと感じていた。といってもクリムゾンヒーローは完全にほかの人たちが勝手につけた名前なんだよなあ。レッドっていうハンネのほうが知られてないこと多いし。

「レッドでいいよ。実はクリムゾンヒーローはあだ名だから」

「レッドね。そっちのほうが呼びやすい。よろしく」

 それから今後の行動指針を話し合った。

 恐らく鍵を握っているのはあの黒いライダー。あいつは間違いなく、VVVのファーストステージに現れる筈だ。

 取り合えずVVVのファーストステージに僕たちはエントリーした。昨日のレースで確認はしたけど、ホープはバイクに乗せていても問題は無いようだった。あの黒いライダーに会って元に戻してもらうしかない。怖いけど。




 あたしは今日、ガウスに紹介されてギルドの主要メンバーを紹介してもらう予定だった。

 ギルドに行くと、既に髪が右向きに靡いた青年とツインテールが似合う長身の女の子がいた。二人とも、あたしと歳はあまり変わらなそう。

「こっちがソフィア」

ガウスはツインテールの女の子の方を指した。互いに挨拶を交わす。

「こっちはエウクレ」

エウクレの方は、見た目通り"話しかけるな"オーラを放ってる。会釈だけはしたけど。ガウスが挨拶を促したので、最低限の挨拶だけは交わした。

 その後、ガウスは他に既に来ていたメンバーに話しかけにいった。

 同じ女の子という理由なのか、ソフィアの方から話しかけてきてくれた。

「ミホちゃんはガウスにナンパでもされたの?」

と揶揄うように言った。

「なんでわかったの?」

「昔からの癖だからねー。モテるし」

「昔からってことは。二人は仲良しなんだね」

「エウクレと合わせて私達三人は中学の同級生なの。高校は別れちゃったけどね」

やっぱり。歳近いのは合ってそう。

「もしかして、あたしたち歳近い?」

思い切って聞いてみた。こういう素顔が見えない相手に年齢とかを聞くのは抵抗あるしマナー違反な気もするけど。話の流れというかね。

「今高2だけど、ミホちゃんは?」

「え、あたしも。同い年なんだね!」

ソフィアは結構嬉しそうだった。

 聞いてみれば、ぴったり同い年の人は中々いないらしかった。このギルドはどちらかというと大学生くらいの年齢の人が多いらしい。

 そう思うと、若手なのにギルドを束ねてるガウスには少しカリスマ性を感じた。あたしじゃ絶対無理だし。

 最後に気になったことを聞いた。どうしてギルドを開いたのか?

 意外にもエウクレが答えてくれた。

「中学の、転校しちゃった同級生に会いたくてな。運命的なものを信じてやってみたんだ。ゲーム好きなやつだったし」

さっきまで全然喋らなかったのに急に喋るじゃん!って思ったけどそんなムードではない。

 エウクレは何処か遠くを見るような顔で話していて、ソフィアは少し切なそうだった。もしかして触れない方がいい話題だった?



 ウィーユはワイルドライド本部の、情報室にいた。

 そこでクリムゾンヒーローことレッドが最後に確認されたエリアを調べてていた。

「ブクロイケのエリア、要するにあの時のレース以来出ていないわけか」

ブクロイケの近くの街まで移動することにした。

 ビッグミャーという街に移動し、情報屋を探した。基本的にモノの売買はNPCの商人や個人取引で行うことができる。普通はビークルのパーツやコスチュームなどを売買する。裏では、今ウィーユが探している通り、情報を売買する者もいる。

 ゲームエリアが広大なゲームであるからこそ成り立つというものだ。

 ウィーユは今回情報屋を頼るのは初めてだった。いくら捕まれるのか検討もつかない。そして裏路地などを通っている内に、ボロ切れに身を包んだ男がいた。

 背丈は小さく、いかにもスパイのような諜報活動が似合いそうだ。

「クリムゾンヒーローの居場所が知りたい」

ウィーユは直球に聞いた。情報屋は一々自分がそうだとは名乗らない。その次に聞くのは代金だ。

 合っていたのか、男は立ち上がった。金をくれた言わんばかりに手のひらを差し出す。

「いくらだ」

「20,000」

内心、想定していたより高いと思いながらも、渋々代金を払った。

 すると、見たこともない画面や道具を取り出して、ハッキング行為のようなことを始めた。警察がこんな違法紛いの行動を許すのはおかしな話だが、ウィーユは今自分の身体の方が大切だった。

「今はサイドビーチだね。ただよく現れるのはブクロイケ、ダンスビーチ、シックスツリーあたりかな」

クリムゾンヒーローの行動範囲は思ったよりも広かった。これでは探し回っても捕まえられるかは不安だった。

 その4つのエリアを中心に展開されるレースなどを徹底的に調査し、探し出すしかないと思われた。

 そして、VVVのファーストステージはダンスビーチで行われる予定だった。

 ファーストステージまであと一週間。その時間が焦ったかった。

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