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#FF3300  作者: モリセオ
2/15

2 #ビギナーです♪

 望に強引に誘われてDHTを仕方なく買った。DHTは大ヒットを記録しているせいかかなり安くて、あたしのお小遣い2ヶ月分くらいで買うことができた。にしても家電量販店なんて中々行かないから、独特な雰囲気で緊張したなあ。


 家に帰ってから、早速箱を開けてみた。中身はシンプルでVRを見るためのサングラスと、拳で握れるサイズのリモコンが2つ。


 起動してチュートリアルを受ける。

 (アバターの名前…?ミホでいいや)

 かなり簡単だった。SNSとの連携をさせて、...よし。これで望とは楽に連絡取れそう。どうやらLINEと連携できるらしく、リアルの友達との連絡は簡単。初心者だからこういう機能助かるー。変な人に絡まれるのも嫌だし。

 望にチャットを飛ばすと、「ブクロイケ」ってエリアに来てと言われた。これ絶対池袋でしょ。

 名前を付けるのは結構適当なんだな、と思った。どうせ開発の人は男なんだろうけど、そこのところの思考は女の子と大して変わらないのね。

 しばらく待ってると、無事に望とは合流できた。

 やってきた望のアバターの名前はホープと表示されていた。だからどいつもこいつも由来がわかりやすいな。

「迷ったりしなかった?大丈夫?うわ、あなた本名にしてるの…変えられないから避けたほうがよかったのに」

と学級委員長的な性格の望は、すぐに私に気を使ってくれる。そこは本当に助かる。ていうかやっぱりハンドルネームって大事なのね。わからされた。

「大丈夫だったよ。てかブクロイケって笑っちゃうんだけど。結構適当なのね」

「そうそう。他にもガセタヤとかサイドビーチ。あ、横浜ね。色々あるけど日本の地名が多いみたい」

マップに関する説明を受けると、フーンと返した。ドライに見えるけど、女子にとってはこれでもちゃんとリアクションしてるほうなの。

 望のアバターは、紺のセーラー服で真っ白な髪色だった。コスプレしてる妖精みたい、というのが率直な感想。いいな。あたしもいつかそんなかわいい恰好できるのかな?

 合流した後、このブクロイケを案内してもらった。兎に角大きな街で、色々施設を案内してもらったけど覚えきれるわけなかった。こればかりは仕方ないよね。

 そして望は最後に、人が特に多く集まっている場所に案内した。

「ここはレースの受付の場所なの。緑色の屋根の施設は全部そうだから。覚えておくといいよ。ここだとブクロイケエリアのレースが今開催中。大型エリアで開催されてるレースは50人まで参加できるんだけど、美帆も出てみる?」

「そうだね。お試しで」




 レースの登録を終えると、プレイヤーは勿論準備を始める。搭乗するビークルから装備まで一式を整えた後にレースのマップを確認したりする。

 ある程度やりこんでいるホープは、自慢の愛機である白鳥型マシンーホワイトスワンーをミホに見せびらかした。ミホはまだ何も装備を整えていないため、初期装備のゴーカートである。

「ええ。なんか凄そう」とミホ。

美しいホワイトスワンの姿に見惚れている。望も鼻が高いようだ。半年間、やりこんだだけの経験値を感じられた。

 レースのスタート位置につくよう指示があった。

 緊張の瞬間。特に、初心者のミホは汗が止まらなかった。現実世界の美帆は、手がやたら汗ばんでいるのを直に感じ取っていた。

 目の前にカウントダウンの数字が出現する。

 3。

 2。

 (始まる…)

 1。0。0とともに戦いの火蓋は切られた。

 轟音が轟き、ミホはスタートに出遅れた。

 一方ホープは、慣れた手つきで順調なスタートを切った。スピードが自慢のホワイトスワン。見たところ、かなり先頭の群れにいるのが一目でわかった。

 しかしその時だった。ホープを含め、一同が目を見開く出来事が起こる。

 ホープの目の前には、一人プレイヤーが走っていた。だが、そのさらに前方に何か光が現れた。

 それは徐々に大きくなっていき、カメレオンの保護色が解けていくような形で姿を露わにした。

 巨大なマフラーを4つ兼ね備え、かなり巨大なシールドを持つ深紅のバイク。車体には、大きくFireFlashとロゴが刻まれている。

「きたー!クリムゾンヒーロー、レッド!!!!!」

実況の声が望のイヤホンの中で鳴り響いた。実際、現実世界でもちょっとふらつくほどに大きな声だった。

 (あれがクリムゾンヒーロー?いたの?初めて見た…どこから湧いたわけ)

 正体が謎に包まれたままのクリムゾンヒーローは、圧倒的なスピードで更に前を突っ切っていった。このクリムゾンヒーローと競ってみたいという好奇心が刺激してきたのだ。

 ホープはそれを追いかけようとしてスピードを上げた。

 道中のアイテムを獲得し、スピードアップの効果を得てクリムゾンヒーローに迫った。

 クリムゾンヒーローが獲得していたアイテムはボディビルドアップであった。様々な地形が存在し、道を阻むのがこのゲームのレースの特徴だが、その地形の効果を一定時間受けないというものだ。

 ホープはこの時を待っていた。

 望はコントローラーのトリガー部分を引いた。

『Shift UP! Extend』

ホープの画面にはそう表示された。これがホープの能力発動の合図だ。能力はエクステンド。プレイヤーを指定し、プレイヤーにかかっている効果を自分も受けるというものだ。

 そこでクリムゾンヒーローを指定し、ボディビルドアップをコピーしたのだった。

 レッドはここで後ろの白鳥が自分に迫りつつあるのを感じとっていた。

「なんだあれ。実質アイテム2個どりは厄介だな」

 赤城悟も同じくコントローラーのトリガーを引いた。

『Shift UP! Bag Blood』

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