束の間の優越感 sideアーゲト
元婚約者視点です。婚約から婚約破棄しようと思うまでの流れです。
俺は、アーゲト。アンダル家の長男で、身分・剣術・魔法・勉強・容姿どれをとっても完璧。まさに天才とは俺のためにある言葉だと思っていた。小さい頃は、俺に勝てるやつはいないと思っていたし、実際俺に勝てるやつはいなかった、ただ一人を除いては……。それはこの国の皇太子である、アイト皇太子殿下。身分が高いのはもちろんだが、神に愛されているかのように全てを完璧以上にこなした。これで容姿が地味なやつだったら、俺も救われたのだが皇太子殿下は皇族の中でも飛び抜けて容姿がよかった。俺は足元にも及ばなかった、どんなに努力をしても勝てなかった。そんな時、皇太子殿下の婚約者を決めるお茶会が開かれた。そして俺が皇太子殿下に勝てる唯一を見つけた。皇太子殿下が気に入った令嬢に皇太子殿下が婚約を申し込む前に、婚約してしまえばいいと。
そうすれば、俺は婚約者という面で一生勝ち続けることができると……。
=❥❣〜=❥❣〜=❥❣〜お茶会当日〜❣❥=〜❣❥=〜❣❥=
皇太子殿下は、ずっと退屈そうな顔をしていた。いや、表向きは笑っているが、作り笑顔だろう。やはり皇太子にはお気に入りの令嬢なんていないか……。
「アーゲト様ぁ~どうなされましたのぉ〜?」
誰だっけ?この子?確か伯爵令嬢だったよな?
「どうもしてないよ。ちょっと皇太子殿下とお話したいことがあってね。」
「皇太子殿下なら、あちらにってあれ?いないわぁ〜。どこに行ったのかしらぁ〜。そうだわ!アーゲト様!皇太子殿下が来るまで私と「ごめんね。少し席を外させてもらうよ。」」
俺は、何か話していた伯爵令嬢をおいて急いで皇太子を
探した。もしかしたら、どこかでお気に入りの令嬢とあっているのかもしれないと思ったからだ。そして案の定皇太子は、このお茶会に来ている中で1番身分の高いロードクロサイト侯爵令嬢と一緒にいた。何故か目を茶色に変えて。俺は、二人の会話に聞き耳を立てていた。
「やぁ。久しぶりだね。ショコラ。」
「久しぶり!!」
「こんなところで、何をしているの?」
「お茶会から抜け出してきたの!!なんか面白くなかったから!!」
「フフッ。そっかー面白くないか。じゃあここで僕と遊ぼうよ。」
「うん!!いいよ!!」
二人は知り合いらしい?でも、ショコラ嬢は相手が皇太子ということを知らないのか?それとも皇太子が隠しているのか……。たぶん隠してるんだな、だから皇太子は目を茶色に変えているのか……。だけどコレは好都合だな。
俺の目は茶色だし、髪も皇太子ほどの金色じゃないが一応金色だ。父上に頼んで禁術の記憶消去をやってもらうか。そうすれば記憶は消えるし、もし少し思い出しても目の色とかその辺だろうかなイケるだろう。
そして俺はショコラ・ロードクロサイト侯爵令嬢と婚約をした。しかしそれを皇太子殿下に報告したとき、
「良かったね。君たちが幸せになれるように願っているよ。君たちの結婚式が楽しみだよ。」
と、言ったのだ。お気に入りの令嬢を取られたのに悔しさのかけらも見せなかった。もしかしてコイツはお気に入りじゃなかったのか!?そして、その後ショコラ嬢は魔法が使えないことが判明した。もちろん俺も俺の父上も母上も怒りが隠せなかった。こんな使えない奴が俺の婚約者……。ありえない……。そんな思いが日に日に募っていき8年が過ぎた時、俺はある令嬢にあった。
「アーゲト様ぁ~❤わたしぃ〜❤皇太子殿下にぃ〜❤言い寄られてるんですけどぉ〜助けてくだあさぁーい❤」
といってくる奴がいた。まさかあの王子が言い寄るなんて、そんな事があるのかと疑っていたが、俺が見るたび皇太子はその令嬢と一緒にいた。これは、きっと皇太子の本当のお気に入りの令嬢なのだろう。昔はショコラだと思っていたが、それは間違いで笑顔で祝福されてしまった。今度こそこの令嬢と婚約しよう。そうすれば悔しがるに違いない!この令嬢は、皇太子には気がなく俺に気があるみたいだ。ただ、俺には婚約者がいるそれをどうするかだが……。
「アーゲト様ぁ~❤わたしぃショコラ様にぃ〜いじめられてるんですぅ〜。うぇーん。」
よし!これで婚約破棄できるだろう。今度のお茶会があるからそこで、断罪して婚約破棄しよう。
「大変だったな。大丈夫だ。俺が守ってやる。詳しく聞かせてくれないか?」
「はい!❤アーゲト様ぁ~!」
これでやっと、アイツに勝てるぞ。
このとき俺はこの優越感がいつまでも続くと思っていた。
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