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八三話

「…………はぁ」


「ダイキ?何かあったのか?」


 高校へと向かう途中、ディアロはダイキを見つける。

 その姿が普段とは違い辛気臭そうにため息を吐いていることにディアロは声を掛ける。


「ディアロ、聞いてくれ………」


 まるで声を掛けてくれるのを待っていたという様にディアロへと抱き着く。

 その姿に歓喜の声を上げる者もいれば、同情の視線を送る者もいる。


「ねぇ?」


 そしてディアロへと抱き着いたダイキへと肩を叩く者がいた。

 その声の平坦さからくる恐ろしさにダイキは肩を震わせてしまう。

 声を掛けてくれたからと抱き着くことに後悔していた。


「いつまで抱き着いているのかしら?」


 レイは自分の恋人に抱き着いているダイキに腹立たしさを覚えている。

 恋人が盗られているとからかわれるのは嫌いなのだ。

 それも女どころか男までとなると腹が立つ。

 そんなに盗られやすい女と思われているのか、ディアロが油断だらけなのか悩んでしまう。


「悪い。愚痴を聞いてくれるのが嬉しくて、つい」


 ディアロはダイキが抱き着いてくるほどに愚痴を聞いてほしいという事情に興味がわく。


「何があったんだ?」


 楽しそうに聞いてくるディアロにダイキとレイはため息を吐く。

 ダイキは楽しそうにされることに複雑な感情を抱き、レイは楽しそうとまで思わないが興味がって視線を向ける。

 どちらも共通して趣味が悪いと思っていた。


「実は父さんが多くの警官が一気に辞めたから将来は警官になってくれと毎日うるさいんだよ」


 ダイキの言葉にあぁ~、と納得する。

 たしかに子供の将来を自分の指示通りにさせようとする父親はウザい。

 愚痴をこぼしたくなるのもよくわかってしまう。

 近くにいたディアロたちでなく近くで話が聞こえていた者たちもダイキへと同情の視線を送ってしまう。


「それにしても何で多くの警官たちが辞めたんだ?それを何とかしなくちゃ意味が無いだろ?」


「だよなぁ。俺もそう言ったんだけど、最近小学校で事件が起きただろ?」


 事件と聞いて深刻な表情で頷くディアロ。

 内容を聞くだけでも痛ましい事件だった。

 虐められていた小学生が自殺し、そしてその親が復讐として小学校に通っていた子供と先生のほとんどを殺しつくした事件。

 その小学校に通っていた子供たちの兄姉もショックを受けていて高校を休んでいる。


「その事件の対処に当たって死体を直に見てトラウマになったんだってさ。かなり辞めたみたいで人手不足らしい」


 辞めた理由を聞いてしょうがないのかな?と多くの者は理解を示す。

 事件のことを聞いてそんなことでとは言い切れない。

 聞くだけで吐いた者もいるのだ。

 実際に見たとなれば、トラウマになってもおかしくない。


「来たわね!」


 会話をしながら歩いていると、いつ間にか校門に着いていた。

 そして校門の前には何故かリィスがいた。

 ディアロたちが来た途端に声を出してきたため待っていたのはディアロたちだと想像できるが何の用なのか想像がつかない。

 他の生徒たちもずっと校門で待っていたリィスがついに行動を起こしたことに興味津々だ。


「ディアロ!これを使って私を縛りなさい!」


「………は?」


 渡されたのは縄。

 そして縛るという言葉。

 ディアロは思わずリィスから一歩引いてしまう。

 そもそも頼んできている意味が分からない。


「女の子がこんな恥ずかしいことを口にして頼んでいるのよ。さっさと行動に移しなさいよ」


 たしかにリィスは顔を赤くして頼んでいる。

 だがディアロはそんなことを公衆の面前でやる気は無い。

 助けを求めるように視線をさまよわせる。


「うわぁ……」


「ディアロって……」


「どこまで調教したんだよ……」


「屑じゃん……」


 だがディアロへと向ける視線が軽蔑を帯びたものになっていた。

 身に覚えのないことに流石にディアロも焦る。

 自分から誰かをマゾに調教した記憶は無いのに風評被害だ。


「いいから縛って」


「……………あっ」


 頭がおかしいことを言うリィスにディアロは思わず蹴り飛ばしてしまう。

 少ししてから自分のしたことに冷や汗を流す。


「あ…りが……う…ご…ざいま……す」


 蹴られたのに満足そうに笑っているリィスにディアロはドン引く。

 ドン引いていたのはディアロだけではない。

 蹴られたのを見て心配そうに駆け寄った者たちもだ。


「えぇ……?」


 ディアロの方を見てもドン引いた表情で、ここまでマゾを開花させたことに関わっていても意図していないことだと察する。

 もしかしたらマゾとして開花したことも今まで気づいていなかったのかもしれない。


「ねぇ?貴方はリィスに何をしたの?」


 リィスの友達でありディアロの恋人であるレイが何をしたのか問いただしている。

 あの様子だと本当に何かしていたなら聞き出せるはずだと安心してリィスを担いだ。

 幸せそうに気絶しているが、このまま放っておくのも後味が悪い。


「えへへ………。もっとぉ……」


 肩に担いだリィスを思いきり投げ捨てたくなったが我慢する。

 絶対に後でレイからディアロが何をしたか確認しようと決意していた。

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