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七話

「皆、ディアロが推測だが有用な情報を見つけたぞ!!」


 ホムラを帰らせディアロとフレアは生徒会室へと戻る。

 そして写真と名前の照合をしていた三人は有用な情報と聞いて作業を止めて二人を見る。


「どういうことだい?」


「あぁ。被害者に一学年の生徒はいないだろう?もしかしたら犯人は、苛めの被害者かもしれない」


 フレアの言葉に一学年の生徒で被害者がいないのはある程度、納得できてしまう。

 だが、それでも一人に対してこれだけの人数が苛めているのはあり得ないと考える。


「たった一人にこれだけの人数が苛めていたのかい。それが本当だとしたら被害者は自殺でもしていると思うんだが。それにどう見ても関わり合いが薄そうな相手がいるけど……」


 フィンの言葉に首を横に振るフレア。


「話を聞いて分かったんだが、それぞれ苛めていた相手が違うんだ。中には弟分や妹分が苛めていた者もいるらしい」


「最悪、苛められていた者たちが協力して復讐しているかもしれませんね。それで苛めていた者達と仲が良い者も復讐対象として危害を加えられている可能性もありますし」


 ディアロの意見に頷くフレア。

 聞いていた三人は納得する。

 なら苛められていた者たちを止めれば事件を解決できるはずだと考えた。


「はぁ……」


「生徒会長?」


「いや、本当にディアロは優秀だなってね。生徒会長の椅子に座るかい?」


 嘘だ。

 ディアロに生徒会長の椅子を譲ると言うのは半分冗談でしかない。

 付き合いがあるから一緒に情報を集めていたフレアではなくディアロが気付いたのだと想像できる。

 苛めのことを全く気付いていなかった自分よりは余程相応しいとも考えている。

 ただただ、苛めのことを気付いていなかったことがフィンにとってショックだった。

 

 しかも、かなりの人数の被害者が出ている。

 命の危険はないが本人が望んでいた未来を絶たれた者もいるし、精神病院に運ばれた者もいる。

 それだけの行動を成すほどの復讐を抱く生徒がいたのに気づかなかったことが更に自分の無能さを思い知らされていた。


「あはは。すみませんけど、遠慮しておきます」


「そうか……」


 誘いの言葉を振られたことにもフィンは残念そうにする。

 これで興味があったら今は無理でも次の生徒会長として推薦するつもりだった。

 選ぶのは他の生徒たちだが全生徒会長の推薦があれば他よりも有利になると予想している。

 現にフィンも前生徒会長に推薦されて選ばれた。


「明日からは被害者の噂を調べるとしようか。二十人は超えているんだ、探すのが大変だろうね」


 フィンの言葉に頷く。

 そして明日からはそれぞれのクラス、学年で被害者の噂の確認をすることで同意をした。





「…………大丈夫かなぁ」


 帰り道、ディアロはフィンたち生徒会の決定に不安を抱く。

 被害者の噂を確認することで加害者に正体がバレると警戒される可能性がある。

 もしかしたらバレる前に襲撃を受けるかもしれない。


「本当に怖いなぁ」


 そして目の前にはフードを被った女性がいる。

 想像していたことが目の前に、そして自分の前にいることに苦笑してしまう。


「死ね」


 目的のためなら誰が死のうと関係ないと言う執念を感じる瞳。

 そのことに少しだけおかしくなってしまう。


「…………っ」


 ディアロが笑ったことに苛立ちを覚えたのが歯ぎしりをして手にしているナイフを突き刺しに来るフードの女性。

 それをディアロは全て避けていく。


「怖いなぁ。でも遅いかな」


 何度か避けてからディアロはそう言ってナイフを突き刺しに来た腕をつかんで持ち上げる。

 あまりにも余裕な態度でフードの女性は焦る。

 自分では殺せないし今のやり取りからも簡単に正体がバレてしまう。


「もしかして、学校に残っていた三学年の生徒?被害者について聞き込みをしていたのは三学年だけだし。その話を二学年が話しを聞くのは明日からになるだろうし」


 ディアロの口に出している推測にフードの女性は図星をつかれたように反応する。

 当然、ディアロもそれには気づいている。

 これ以上、近くにいるだけでも情報がバレてしまうとフードの女性はつかまれた腕を強引に放して距離をとる。

 そして煙幕を使って逃げる。


「…………おぉ!!」


 ディアロは何よりも本当に煙幕なんて使って逃げたことに場違いにも感動してしまう。

 だが、それも直ぐに終わってしまう。


「何だ!?」


「何が起こったんだ!?」


「火災か!?」


 煙幕を使ったせいで近所の人たちが集まってくる。


「面倒だなぁ」


 事情を聴かれるのも面倒だとディアロはいまだに残っている煙幕を利用して、その場から消える。


「誰もいない!?」


「悪戯か!?」


「誰がこんなことをしたんだ!」


 後ろから聞こえてくる声にディアロは欠伸をしながら聞き流していく。


「それにしても何人が協力しているんだが……」


 あれだけの人数が被害にあっているのだ。

 一人だけでは手が足りない。

 意外と予想よりも数が多いのではないかと想像する。

 どれだけ苛めが多い学校なんだと入学したのを少しだけディアロは後悔していた。

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