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六話

 翌日、学校の授業が終わり生徒会室へと全員が集まる。

 そしてディアロとダイキに向かって他の三人が頭を下げてきた。


「え」


「は」


 困惑している二人に三人は口々に謝る。


「ごめんなさい」


「悪かったね」


「すまない」


 話を聞くと、どうやら昨日のことで折角の二人と親睦を深めようとしたのに結局、いつもの三人だけで盛り上がったことに謝罪をしたいらしい。

 それを聞いて二人は顔を合わせて気にしないと答える。

 

「気にしなくても大丈夫です」


「でも……」


「むしろ先輩たちの仲の良さを知れたので、こちらとしても収穫はありましたし」


 ディアロの言葉に頷くダイキ。

 二人の言葉にくすぐったい気持ちに三人はなってしまう。


「取り敢えず仕事をしましょう!」


 手を叩いての言葉に全員が頷いて、謝罪はこれで終わりにして仕事モードに入った。





「さてと、まずは現時点での被害者について調べようか」


 そう言って、それぞれの生徒の名前と所属クラスの名前を書かれたプリントを配るフィン。

 こうして見ると学年も性別もバラバラ。

 どうして襲われるのか規則性が見つからない。


「襲われた人って容姿とかもバラバラなんですか?」


「………そうだね。取り敢えず今日は名前と写真を一致させようか」


 あまりにも共通点が見つからないために、まずは容姿を確認しようと決める。

 全校生徒の名前と容姿が一致しているのは、この中にはいない。

 目立っているわけでもない関りの薄い他学年の生徒まで詳しく覚えていないのは普通だろう。


「たしか、これが学生の名前と写真が載ってあるアルバムよ」


 そして被害者の名前が書かれてあるプリントを見る。

 二十名は超えている。

 そしてアルバムも一冊だけ。


「すいません。被害者のことについて聞き込みに行ってきます」


 流石に五人もいたら無駄だろうとディアロは被害者のことを聞きこもうと生徒会室から出て行こうとする。


「それなら俺も行こう。まずは三年から行くが大丈夫か?」


「はい。大丈夫です」


 そこにフレアも付いて行く。

 一年生だけで上学年の生徒の聞き込みをするのは気後れしてしまうだろうと考えたからだ。

 他にも下学年の生徒だから上学年からは気軽に話してくれるかもしれないと打算もある。

 二十名もいるから一人ずつでも共通の情報が無いか聞きだしていこうと考えていた。




「…………」


 まずは三学年の教室がある場所へと行く。

 そこでディアロは立ち止まる。


「どうした?」


「何か一学年の教室とは雰囲気が違うなぁって」


 ディアロの言葉にフレアはそういうことかと納得する。

 自分にも覚えがあるのだ。

 そして自分が一学年の教室に向かうと同じ感想を抱くだろうと確信している。


「………そういえば一学年の被害者がいませんよね」


 一学年の生徒にも聞き込みをしないといけないと考えてプリントを確認するが、一学年の被害者がいない。


「そういえば、たしかに……」


 フレアが納得したのを見てディアロは顔を引き攣らせる。

 もしかして、と頭を抱えたくなる。

 一気に関わり合いたくなくなってきた。


「どういうことだ?」


 真剣に悩んでいるフレアの横で見て見ぬふりをしていた者たちも復讐相手なのか。

 それとも、狭い世界全てを憎んでいるのか?

 そこらへんも調べないといけないとディアロはため息を吐いた。


「………急にため息を吐いて、どうしたんだい?」


「わっ」


 急に話しかけられたディアロは跳ね上がり驚く。

 後輩の動きが可愛く話しかけた先輩は和んでしまう。


「え……えと。あ………この人、苛めをしていたとかの話を聞いたことがありませんか!?」


「うん?」


「何?」


 差し出されたプリントが書かれている名前に三学年の生徒は事件の被害者だと気づき、フレアはディアロのした質問の内容にそういえばと思い出す。


「待て。もしかして、そういうことか?」


 事件の被害者に一学年の名前がないことにフレアは、それで納得してしまう。

 ディアロは急に話しかけられたことで焦って推測の一つを口に出してしまったことに顔を青くする。

 本当なら、もう少し調べてから口にするつもりだった。


「たしかに、それなら一学年の被害者が無い事にも納得できる。入学したのも最近だから苛めの被害も小さいだろうしな」


「………もしかして事件の捜査か?一学年の生徒も参加させているのかよ」


 考え込むフレアに三学年の生徒が文句を言う。

 精神が壊された被害者もいるというのに巻き込むのかと。


「悪いな、ホムラ。出来るだけ一緒にいようとしているから許してくれ。それに優秀なのはお前も分かるだろ」


「だからと言って……」


「だったらお前も協力してくれ。さっさと事件を解決すれば一学年の生徒を巻き込むことは無くなる」


「ちなみに俺以外にも、もう一人いますよ」


「協力しよう。俺は何をすればよい?」


 協力者を増やす説得の最中にディアロが口を挟んだことに即答するホムラ。

 早速、三学年の残っている生徒たちに苛めなどのと悪い噂は聞いたことないか三人で確認しに行った。

 事件の被害者の悪い噂を聞くと言うことをしたせいで不快な表情を隠しもしない者もいたが、ディアロが主に確認していたお陰で不快な表情をしながらも、ほとんどが話してくれた。


 ちなみに当然ながら、ほとんどの者がフレアとホムラに気付いており、気付いていなかった者も気づいていた者から教えられてディアロから二人へと不快な感情をそのまま移動していた。

 三学年の生徒からすれば一学年の生徒を利用して不快な情報を聞き出そうとしているように見えたせいだった。

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