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五五話

「何だ?」


 ディアロはレイの呼びかけに何も疑問に思わずに返事を返す。

 その姿にクラスメイトたちやリィスは何も怪しいと思わないのかとディアロを見る。


「何だ?って、あのねぇ」


 ディアロの反応にレイも怒りを消してしまう。

 呆れて怒る気力も萎えたせいだ。


「何もないなら次の授業も始まるし準備を先にさせてもらうぞ」


 ディアロの言葉にレイは呻いていしまう。

 一緒に見ていたクラスメイト達もディアロには冷たい視線を送っていた。


「はぁ」


 ディアロは次の授業のために準備をしながら残念そうにため息を吐く。

 本当はレイの嫉妬した顔を見たかったのだが、途中で怒りも消えてしまう。

 見たかったことがバレたのだろうかと思っていた。


「??」


 ディアロの近くの席にいた者たちはディアロの残念そうな表情に首を傾げる。

 ため息を吐いていたのも聞こえていて、何を残念そうにしていたのか理解できないでいる。


「お前ら授業を始めるぞ」


 授業が始める。

 そのせいで何で残念そうにため息を吐いたのか考えることも頭から飛んでいた。



「ディアロ、帰るわよ」


 結局、授業の合間もレイは自分の男だと示すように引っ付いていた。

 その際には午前と違いリィスに警戒した視線を向けている。


「わかった」


 現に今もディアロと手を繋ぎながらもリィスを警戒していた。


「何をしてたの?」


 ディアロとレイが教室から出た後にクラスメイトの一人がリィスへと尋ねる。


「パソコン室で興味深い調べものをしていたから見せてもらっていただけよ……」


 相手からとはいえ他人の恋人と手を繋いでしまったことは後悔する。

 無理矢理にでも外せば良かった。

 そうすれば授業中にも睨まれることは無かったのに。


「次からは気を付けなよ。レイもかなり嫉妬深いみたいだし」


「うん」


 本当に嫉妬深いと実感させられていた。

 たまにレイがリィスを睨む視線に命の危険を何度も感じていた。


「それじゃあ私も帰るね」


 そしてリィスの言葉にクラスメイトの一人は疑問を持つ。

 部活動は良いのかと。


「待て、部活はしないのか!?」


「悪いけど、それより優先したいのが出来たのよ。それが終わったら復帰するわ」


 部活より優先したいこととは何だと聞く前にリィスは教室から走り去る。

 いつも真面目に部活に参加していたリィスの行動に教室にいる同じ部活の生徒は困惑していた。




「………それで何をしていたのよ?」


「復讐方法について乗っていたサイトをリィスに見せていただけ」


 レイはディアロにリィスと何をしていたのか強めの口調で確認する。

 正直、最初から浮気の心配はしていなかった。

 それでも自分以外の女の子と近いのは嫉妬してしまうが。


 ディアロはそんなレイの姿に満足する。

 リィスと浮気だと勘違いされるような行動は全てレイの嫉妬した姿を見たいからだった。

 やはり嫉妬した姿も自分のことが好きだからするのだと安心してしまう。


「本当にそれだけ?」


「当たり前だろう」


 何度も疑いの声を否定して、ようやく納得してくれる。

 この時間すらもディアロにとって幸福な時間だ。


「さてとマントを被るぞ」


 ディアロはレイにマントを被るように促す。

 目的の場所へと尾けられないように姿を隠す必要がある。


「わかったわよ」


 マントを被りレイは姿を消す。

 そしてディアロもお内情に被って姿を消した。


「ねぇ。これってどうやって作っているのよ。気付かれないなんて、おかしい性能をしているとしか思えないんだけど」


 レイはそう言うがディアロからすればそうでもないと思っている。

 このマントはあくまでも姿を消すだけなのだ。

 他人とぶつかればそこにいるのは分かるし、匂いも消したわけでは無い。

 それに音も消えているわけでは無いのだ。

 犬などを使えば、どこにいるかわかってしまう。


「ふぅん」


 そのことをディアロが話すとそこまで万能でもないとレイも納得する。

 特に姿が消えているからとぶつかったら捕まってしまう。

 マントがあっても気を引き締めている。


「それでリィスのこと、どう思う?」


「どういうこと?」


 リィスのことを質問されるが抽象的過ぎてディアロは答えられないでいた。

 復讐が成功するのかの話か復讐のためにどれだけ大切なものを捨てられるかの話かと想像する。

 もしかしたら、それ以外の話かもしれない。


「リィスは陸上で将来有望な選手としても有名よ。それを捨ててまで復讐をすると思う?途中で止められる可能性はあるじゃない」


「それなら全部を捨ててでも復讐するだろ」


 ディアロの即答にレイは目を見開く。

 分かり切った答えだというようなディアロにどういうことかと疑問を抱く。

 何で、そんなことがわかるのか謎だ。


「事務所には何を捨ててでも復讐を決意した者しか入れないからな」


 ディアロの説明にそういうことかと納得する。

 それなら確かに失敗するかもしれなくても復讐を止めないだろう。


「今回は俺達も直接、協力することになるだろうし成功を祈らないと」


 リィスが特別価格で協力者を求めたのを思い出す。

 どれだけ成功率が少なくても彼が協力するなら成功しそうだとレイは考えていた。

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