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四話

 授業が終わり、ダイキは生徒会室で自分の所属する生徒会のメンバーとディアロを待っていた。

 あらかじめディアロ以外にも先輩たちの教室へと行き来てくれるように頼んだ。

 そして頼み事を思い出し、どう考えても学生がやる仕事じゃないだろうと考える。


「………どうかしたのかい?頼みごとがあると言っておきながら、本当に頼っているのか悩んでいる顔だぞ?」


「うわぁ!!」


 突然、後ろから声を掛けられてダイキは悲鳴を上げる。


「うわぁ!!って……」


 ダイキの反応にクスクスと笑いながら体を震わせるスタイルの良い女性。

 金色に光る髪に聡明さを思わせる青い瞳。

 彼女が生徒会長だった。


「いつの間に!?ずっと扉の方を見ていたんですけど!?」


「さて?君が見逃していただけじゃないかい?」


 飄々とダイキの質問を躱す生徒会長。

 楽し気に笑う姿にダイキは思わず顔を赤くしてしまう。


「ふむ。まぁ、話を聞くのは全員が集まってからにしよう。何度も説明をするのは嫌だろう?」


 ダイキは、この人は本当は全部知っているんじゃないかと思わず白けた視線を向けてしまう。

 自分のように父親から学生からも協力者を募ってくれと言われていてもおかしくない。

 それぐらいの実力はありそうだとダイキは思っていた。





「それで何の用なの?」


「全くだ。つまらないは話だったら帰らせてもらうぞ」


 後から集まった三人の内の二人は後輩の一年が自分達を集めたことに文句を口にする。

 最初からいた生徒会長と後から来た最後の一人は文句を言わずに黙って何の用かと話を聞こうとしていた。


「………実は父から皆さんに最近の事件について調査を手伝ってもらうように言われていて。拒否をするのも受け入れるのも俺に伝えてください」


 ダイキの言葉に全員が顔を見合わせる。

 そして、そういうことならと全員が頷く。


「わかったわ。私は協力するわ」


「俺も」


「私もよ」


「………生徒会のメンバーでないのに良いの?」


 一人の意見を除いて全員が受け入れたことにダイキは複雑な表情をしながら感謝する。

 ディアロの言葉には生徒会長以外が、そういえばと思い出す。

 そもそも学年が違うから知ってもいない。


「そういえば……」


「なんで彼を呼んだの?」


 後から来た二人も生徒会でないメンバーがいることに疑問を傾げる。

 生徒会のメンバーでも呼ばれた理由がわからない。


「そういえば、まだ入学したばかりだから知らないかもしれないわね。彼って、色んな生徒の相談を受けて解決してきた子でしょ?伸び悩んでいた子の相談を受けて実力をかなり上げたと聞いているし」


 生徒会長の言葉に女子が、そういえばと声を上げる。


「もしかして二年B組の子の実力が急に上がったのも……」


 女子の言葉に生徒会長とダイキは頷き、ディアロ以外の全員が視線を向ける。


「二年B組……?」


 だが肝心のディアロはわかっていなかった。

 本当に彼なのかと二人は指を指すが、二人はため息を吐きながら頷く。


「いや。お前、鍛えていたりしてたじゃん」


「私も見ていたけど忘れたのかしら?」


 二人の言葉にディアロは首を傾げる。


「別に名前は聞いたけど学年とかクラスとか聞いてないから分からないぞ」


 ディアロの言葉に二人はため息を吐き、もう二人は逆に真実だと受け入れようとする。

 流石に二人も偶に噂は聞いたことがあるのだ。

 所属しているクラスという詳細な情報を覚えていない、もしくは知らないことが真実味が増していた。


「この子だよ」


 生徒会長がそう言ってディアロに写真を見せる。

 長い髪をした弱弱しい雰囲気の少女。

 その写真を見て、ディアロは頷く。


「たしかに、その子は鍛えたけど………」


 ディアロの不思議そうに生徒会長を見る目にダイキたちは首を傾げる。

 何か気になることがあったのかと疑問を覚える。


「なんで、その人の写真を持っているんですか?」


 ディアロの質問に確かにと他のメンバーも思い出す。

 特にダイキは疑問を強く思う。

 ダイキ自身がディアロも参加させようと考えたのは今日だ。

 それなのに他の生徒会のメンバーを説得させるための道具を生徒会長が持っているのはおかしい。

 やはり生徒会長もダイキと同じことを頼まれたんじゃないかと疑ってしまう。


「もしかして生徒会長も同じことを頼まれたんですか?」


「そうだよ」


 ダイキはやっぱりと思う。

 そして反対にディアロたちは首を傾げる。

 二人だけでわかり合ったやり取りをしているせいで他の三人が付いて行けない。


「私も有能な者に協力してもらおうと思ってね。それで二年の子の話を聞いて彼も参加してもらおうと思ったのさ」


 なるほどと納得するダイキ。

 他の三人は二人だけで話をされているせいで先程から話が付いて行けない。

 そもそも父親から頼まれたと二人とも言っているが、何の仕事をしているんだと考えてしまう。


「待ってくれ。二人とも何の話をしているんだ?」


「あぁ、ごめんごめん。私の父親は警察でね。多分、ダイキも同じなんだろうね。それで、この学校で起きている事件が難解でね。生徒にも協力してもらおうと考えただけさ」


 生徒会長の言葉に頷くダイキ。

 プロである警察が生徒たちに相談するほどヤバい事件なのかと三人は背筋を凍らせた。

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