表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/274

三三話

「そうですか。わかりました、こちらも出来る範囲で聞き込み調査などをしましょう」


 養護教諭は警察官と一緒に聞いたことを学校に報告した。

 その結果、ため息を吐いて頭を抱える。

 まさか自分の学校の生徒が犯罪を犯していたなんて考えたくもなかった。


「最初に話を聞いたネグもですが全員が学校の生徒も教師も恨んでいますね。それでもネグはあくまでも憎いのは自分の体を売り物にした者と買った相手だけにしか復讐はするつもりはないみたいです」


「ネグは……?」


 一人の教師がネグはという言葉に違和感を持って質問する。

 それに対して養護教諭は頷いて答える。


「他の三人は学校の生徒も教師も自分を買っていたら当然、買わなくても復讐するつもりですね」


 養護教諭の言葉に最悪だと頭を教師たちも頭を抱える。

 生徒たちに嫌われるのは慣れているが、憎まれるのは初めてだ。

 当然、慣れていない。


「念のために女子生徒の身体を買った相手が校内の生徒にいるか確認しましょう?まだ全員が復讐されているとは限りませんし、病院で拘束されているので復讐する機会もないはずです」


「全くですね。見つけ次第、彼らからも詳しい話を聞くとしましょう」


 少しでも多くの情報を見つけるべきだと全員が頷く。

 そして二度と同じようなことが起きないように知りえた情報を共有するつもりだった。


「………つまり学校の生徒全員が彼女たちの被害者でいいのか?」


 念のために確認する教師。

 最近の学校の生徒の被害者について確認をする。

 あれだけの人数が事件に手を出したと言うのは認めたくないからの言葉だった。


「あぁ、それは忘れてました。違います。別件の苛めの復讐です。女子生徒たちは関わってすらいないそうです。別件の苛めの復讐というのは生徒会からの報告を私も聞いていたからですね」


 それを聞いて膝から崩れ落ちて立てなくなりそうになる教師が出てくる。

 苛めなんて無いと思っていたのに実際は自分達が気付かなかっただけで実際は苛めが多かった。

 気付かなかったことに教師としての自信を失ってしまう。


「それは本当か?」


「はい。確かに言っていました。この件に関しても調べた方が良いかもしれませんね」


 まさかの学校の生徒の被害者の事件が別々であることに教師はショックを受ける。

 一つだけならともかく複数となると、それだけ問題を抱えているのだと考えれる。


「一度、生徒一人一人から話を聞いた方が良いかもしれませんね。外部からも協力者を仰ぎましょう。このままだと、この学校も潰れそうになりそうですし」


 教師たちもそれに頷く。

 既に問題は起きてしまい配信もされている。

 だが潰れたと決まったわけでは無い。

 それに何もしなければ本当につぶれてしまう。


「それじゃあ明日から頑張りましょう。それと以前にやっていたように今回は生徒会の力を借りないように」


 その言葉を最後にそれぞれの仕事へと戻っていった。






「すいません。警察ですか?」


「はい。何かありましたか?」


 夜、警察へと電話がかかってくる。

 その際に全員が配信のことかと身構える。


「実は近くの公園で学校の生徒らしい子が何人も倒れていて……。どうしたらいいのか……」


 声からも電話をしてきた相手が焦っているのが伝わってくる。

 そして学校の生徒が倒れていると聞いて、警察官も焦る。

 まさか病院から抜け出したのかと。


「何人かは残って病院へと連絡!お前らは俺と一緒に現場へと向かうぞ!」


 その言葉に頷いて行動に移す警官たち。

 特に現場へと向かう警察官たちは急いで行動していた。


「いました!手を振っています!」


 こんな夜中に外に出て連絡してくれたことをありがたく思いながら現場へと向かう。

 そこには確かに制服を着た学校の生徒が何人も倒れていた。

 午前にあった殺し合いの風景を思い出して急いで身体を確認する。


「先輩!確認しましたが誰も怪我はしていません!意識を失っているだけみたいです」


「は?」


「こちらもです!」


 怪我をしてないことに幸運だと思いながら意味が不明だと混乱する。

 しかも何も盗まれていないらしく何が目的なのか理解が出来ない。


「とりあえず身元のわかる物はあるか?それを使って保護者に連絡しよう」


 指示に従って警官たちが服を漁って携帯などを取り出して保護者の元へと連絡していく。

 何も知らない者が見れば集団で襲っているように見えることに冷や汗を流してしまう。


「それにしても多いな。パトカーの中じゃ全員入りきれないぞ」


「一度、現場に呼び出して後日、署に来てもらうようにすればいいのでは?」


「そうだな。もしかして、そういう風に連絡したか?」


「はい」


「最初に言ってくれ」


「気を付けます」


 気が付かなかったことをフォローしてくれたのは有難いが報告してほしかったとため息を出してしまう。

 それにしても倒れているのは学生だけではなく大人もいるが、どんな関係なのか謎だ。

 これも復讐相談事務所が関わっていると考えるのは考えすぎかもしれない。

 復讐を看板にしているらしいのに何もせずに意識を失わせるだけに留めておくのは関わっている事件から見ても確実におかしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ