表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/274

三二話

「予想通りでしたね……」


 落ち込んだ養護教諭の言葉に警察官も頷く。

 最初の女子生徒のネグは教えなかったが、その後に尋ねた他の女子生徒は親御さんたちに協力したと聞いて怒りを露わにして教えてくれた。

 そして、やはり事務員の少年は両方ともに関わっていた。


「えぇ、本当に……!」


 警察官はそのことに怒りを浮かべて言葉を吐き出す。

 事件を拡大させる愉快犯として捕まえるべきだと確信する。


「なんで、こんな事件を起こそうとしているんだか理解できません!止めようと思わなかったのか!?」


 そう叫ぶ警察官に養護教諭も頷く。

 どちらかでも止めてくれれば、こんなに被害は増えなかった。

 それに知っていたなら匿名でも教えてくれれば、どうにかできたのにと二人とも考えている。


「それにしても、まさか学校で起きている他の事件を知らなかったことには驚きました」


「全くですね。お互いがお互いの復讐に集中していたせいかもしれませんが、まさか関係ないとは……」


 更に驚いたことがある。

 それは女子生徒の復讐は自分を売り物にしていた相手だけで、親たちは女子生徒にしか手を出していなかった。

 他の被害にあった生徒には手を出していないらしい。

 つまりは他に犯人がいると言うことだ。

 これにも事務員の少年が関わっているのではないかと二人は邪推する。


「本当に事務員の少年を捕まえたら色々なことを明るみに出そうだ」


 警察官の言葉に養護教諭は有り得そうだと思い警察官に頭を下げる。


「どうしたんですか、急に!?」


「是非ともお願いします。子供たちが健全に育つためには身の回りに事件が無いのが一番なんです。頑張ってください!」


 警察官は養護教諭が頭を下げたことに驚いたが続けられた言葉に強くうなずくことしかできなかった。

 相手だけでなく自分自身にも事務員の少年を捕まえることを誓った。




「ただいま戻りました」


「お疲れ!どうだった?」


「やはり両者とも復讐相談所の事務員が関わっていたみたいです。殺し合ったのも誘発したと見ても良いかもしれません」


「そうか。やっぱりか」


 ふざけたことすると確認した警察官は怒りを抱く。

 彼だけでなく聞いていた警察官の全員もだ。


「それと、伝えたいことがいくつか」


「何だ?」


「最近の学校での被害者ですが両者とも関わっていないそうです。お互いにしか興味が無かったようです。ただ事務員の少年が関わっているかは知りません。加害者に確認した方が良いと思います」


「なるほど。他にあるか」


「はい。女子生徒に襲われた生徒たちですが全員、犯罪を犯していないか調べた方が良いです。どうやら女子生徒たちは身体を売り物にされた復讐として攻撃したらしいので」


「売り物だと……」


「はい。嘘か本当かは調べた方が良いと思います」


「わかった」


 その報告に女性の警察官は復讐をするのも納得する。

 手伝ったとされる事務員の少年にも好意を抱きそうになる。


「たしかに女子生徒たちも復讐として関わっていたんだったな。攻撃された方にも相応の原因はあるか……」


 その結果が親たちに復讐されることに虚しさを感じる。

 きっと第三者からすればどちらとも悪いと言えるかもしれない。

 だが警察としては、それで終わりではなく同じことが起きないように防ぐ必要がある。


「今は、その少年たちは意識が戻っていたっけ」


「いいえ。意識が戻っていない者もいますし、戻っている者も話せる精神状態じゃありません」


 それだけの恨みを買っているのだと認識しなおす。

 事件の被害者だけでなく加害者として扱うべきかもしれない。


「もしかしたら彼女たち以外にも、彼らの被害者はいるかもしれないな。まずは彼らの周囲を詳しく調べてみてくれ」


「「「「ハイ!!」」」」


 男性陣より女性陣の声が凄まじく怒りが籠っている。

 もはや感情は女子生徒の味方だ。

 売り物になんてしなければ、こんな事件にならなかったとさえ思っている。

 もはや元凶は売り物にした者たちだとさえ考えていた。




「なぁ?」


 女性の警官たちが早速と言わんばかりに調べに外へと出て行った後に確認のために話しかける。

 復讐された生徒たちの中に他の女子生徒もいなかったか、と。


「いましたね。女子たちにも、もとから嫌われていたのか、それともいじめられっ子だったから見下されて狙われたのか?」


 苛めて見下している相手には何をしても良いんだと勘違いしてしまいやすい。

 その結果が精神的にも肉体的にも二度と満足な状態に戻れなくされたのだから自業自得ともいえるかもしれない。

 第三者だからこそ冷静に当然だと言えるし、やり過ぎだと言える。

 女性たちも男子だけでなく女子も関わっていると聞いたら冷静になれるはずだ。

 売られた女子にも何か悪かったんじゃないかと考えそうだ。


「取り敢えずは女子生徒を売っていたことについて調べよう。必要とあれば無理矢理にでも売春をさせた者たちから聞き出しても良い。相手が女子であってもだ」


 その言葉に残っていた男性陣も頷く。

 もはや数人で集まって行動しているとなれば犯罪組織だ。

 未成年であっても容赦するつもりはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ