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三話

本当は「パーティを追放されました。でも痛くも痒くもありません」は日常系にちょっとした事件を入れるだけの予定だったんだよなぁ。

なお……。

「おっはよう!」


「おはよう!」


 朝、学校へと行く時間。

 そしてチラホラと会社へと行く人たちも見える。


「ディアロ!」


「ごっ!」


 その中にぽけっとした人畜無害そうな少年に大柄な男が背中を叩いてくる。

 あまりの勢いにディアロと呼ばれた少年は前から倒れてしまう。


「あっ………」


「え」「うん?」「は?」「ちょっ……」


 その様子を見ていた者たちからは大柄の少年を睨みつける。


「やべ……。大丈夫か!悪い!!」


 挨拶のつもりで背中を叩いたら予想以上に威力が出て大柄な少年は焦る。

 転ばせるつもりはなかった。

 怪我は無いかと急いで駆け寄る。


「急に何?」


 そして平然と立ち上がったディアロに安堵する。

 見たところ怪我は無く、そのことにホッと大柄な少年だけでなく近くにいた周りの者たちも安堵する。


「急に叩いて何の用だって?」


 不機嫌そうに質問してくるディアロに大柄な少年は謝罪する。


「悪い。ちょっとした挨拶のつもりだったんだが思った以上に威力が出てしまった」


 反省しているかのような言葉にディアロはジッと男を見てそうか、と納得する。

 どうやら本気で反省していると判断したらしい。


「本当に悪い。………どうせだし一緒に教室に行かねぇか」


「良いよ」


「サンキュ。それで悪いんだけど、今日の放課後相談に乗ってくれないか?」


 相談に乗ってほしいなんて、どうしたんだとディアロは首を傾げてしまう。

 今日もいつも通りの時間までは暇だから、それまでには問題ない。

 それに他の者も相談に来てないからとディアロは取り敢えず頷く。


「本当に助かる」


「気にしなくて良い」


 何度も頭を下げる目の前の少年にディアロは苦笑する。

 そこまで感謝する必要はないのに大げさすぎると思っている。

 だが、周りの視線は大柄な少年に嫉妬の視線を向けていた。

 決してディアロに相談に乗ってもらい感謝することは少なくとも大げさで無かった。




「今度はB組の子が被害者にあったみたい」


「また増えたの?誰が狙っているのか分からないけど、早く犯人を捕まってほしいわね」


「正直、怖いよな」


「何が目的なんだ?」


 教室へと歩いている最中に不穏なうわさ話が聞こえてくる。


「………ふぅ」


 その話の内容に大柄な少年ダイキはため息を吐く。

 本当はこんなことを相談するのは間違っているとは自覚している。

 だけど今一緒にいる少年が頼りになるのは事実だ。

 ディアロに相談するだけでスランプや伸び悩んでいた者の状態が回復したり、個人的な相談でも助けになったと聞いている。

 かくいう自分も相談を受けて貰ったお陰で実力が伸びた。

 だからこど事件について相談するのは気が引けた。

 それは危険なことに巻き込むと言うことなのだから。




「それじゃあ、魔法の授業を始めるぞ」


 学校では色々な知識のほかに魔法について勉強をする。

 知識では数学などを学んでいるが魔法については制御について中心的に学ぶことになっている。

 毎年、誰かしら魔力を爆発させて事件になるのは当たり前の光景になっている。

 それを抑えるための授業だ。


「今日は実際に魔法を使って溜まった魔力を発散させる方法を学ぶぞ」


 魔力を爆発させてしまう原因の一つに、魔力を全く使わないことがある。

 他にも魔力を込め過ぎて機械が爆発することがある。

 この世界では電気などの代わりに魔力で機械を動かしている。

 それ専用の仕事もあるぐらいだ。


「よく使われているのが機械への魔力の充填だな。個人でも出来るがかなり疲れる。余裕があるのなら買った方がかなり早い」


 心底、疲れた表情をする教師に生徒達も頷く。

 どうやら経験があるらしい。


「疲れるだろうが全員、これに魔力を込めろー。今日は実際にどのくらいまで魔力を込められるが実体験してもらうぞ」


 教師の言葉にえぇー、と嫌そうな声が上がる。

 疲れるのは知っている。

 だから必要ないとも思っていた。


「いいからやるぞ。まずは君からだな。出来るところまで、やったら次の人に回してくれ」


 そうして渡されたのは直径10センチほどの魔力充電器。

 こんな小さいものを渡されても直ぐに満タンになると生徒たちは考える。

 そんな考えが浮かんでいるのか分かっているのか教師は笑っていた。


 そして。


「全員、終わったな。これ一つで一日持てば良い方だが、大変だろ」


 教師の言葉に全員が疲労で倒れていながら驚く。

 二十人以上いる全員が魔力を充電したのに一日持てば良い方なんて信じられない。

 しかも、充電器自体は小さいのにだ。


「ちなみに、まだまだ容量は入るぞ。これ一つで一週間は持つからな。ちなみに知っていると思うが新品で売られているこれは満タンで売ってある」


「もしかして魔力を増やして充電する職業に着けば将来は安泰?」


「そうだぞ。これを仕事にしている者たちの給料はかなり高いらしい。お前らも今から目指してはどうだ?」


 給料が高いと聞いて生徒たちの目が光る。

 その姿にいつの時代も変わらないなぁ、と教師は思う。

 この分だと魔力を上昇する方法とかも聞いてきそうだと予想する。

 何故なら、この話をすると絶対にこれまで聞いてきたからだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  早速の新作ですね。  どうしても、前作のようなショッキングな展開を警戒して、こわごわ読み進めています。  意外とかわいらしい人物と場面で、少しほっとしましたが、ホラー映画でよくあるよ…
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