表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
268/274

二六八話

 ギネカは男か女か分からない様に身体のラインが分かりずらい服を着て、靴も本来の身長より高く見せる底上げブーツを履いて路地裏へと向かう。

 手にはかなりの金額が入っている封筒を持っている。


「さーて………、俺を見ろ!」


 ギネカは路地裏に入ると注目を集めるために大声を出した。

 そのお陰でただ生きているだけ者も真っ黒い服を着た怪しい者に眼を向ける。


「お前たちに殺して欲しい者がいる!今から写真を配るから、それを殺してくれれば金をやる!これは前金だ!!」


 そう言ってギネカは写真と呪いを掛けた金を配る。

 これを受け取れば行動しない限り常に全身に痛みが奔り行動するのが辛くなっていく呪いだ。

 これなら金を受け取るだけ受け取って何もしないなんてことはあり得ない。


「殺せたらまた金をやってやるよ。誰にも言うなよ」


 写真と金を受け取って路地裏にいた者たちはギネカに対してバカにしたように笑う。

 金は受け取るだけ受け取って何も行動を移す気は無かった。

 受け取った者の中にはホームレスの他にタダの不良もいる。

 何もしていなのに金をゲットできたのだ。

 また、この路地裏に来て金を得ようと考えていた。




「っ~~~~!!!!」


 二日後、朝起きた不良たちは全身に痛みが奔って起きる。

 急な痛みに何が原因か分からなかった。


「何で急に………」


 そう呟くと不良は人を殺してくれという言葉を思い出す。

 受け取った写真は何故か捨てる気にならず、ちゃんと持っている。

 何でか写真を見て、写真に写っている人物を殺さなければ一生このままだと認識してしまう。


「こいつらを殺せば良いのか……」


 他人を殺せば解放されるということに不良は何とも思わない。

 殺せば、この痛みから解放されるし良いスリルになると思っている。

 それに成功すれば金も得られるのだ。

 絶対に成功させてやろうと考えていた。


「まずはこいつらがどこにいるのか探さないとな……。ん?」


 どうやって見つけて殺すか考えていると全身の痛みが引いているのを自覚する。

 もしかしたら殺そうと考えている間は痛みが奔らないんじゃないかと推測できてしまう。

 今日は学校をサボって、この写真の人物を探そうと不良は考える。


「俺たちのところに来たし。多分、この地域の人間だよな……」


 不良は呪いを掛けに来た者が自分たちのところに来たことから同じ地域の者だと想像する。

 もしかしたら同じ学校の生徒かもしれない。


「くそっ。受け取らなきゃ良かった……!」


 お金を何も疑わずバカだと思って受け取ったことを後悔する不良。

 バカだったのは自分だったと思い、嵌めた男に怒りを抱く。


「取り敢えず探してみるか……」


 不良は写真を片手に、写真に写っている人物を知らないか聞き取りに外へと出発した。



「おい」


 外に出て最初に見つけたのはコンバット学校の生徒だった。

 不良は写真を片手に彼ら彼女らに近づく。


「何かしら?」


 声を掛けてきた不良に恐怖なんて全く見せずに女生徒が代表として反応する。

 自分と同じ男もいるのに前に出ないことに不満を持って睨むが相手をされない。

 こちらに興味すら持っていなかった。


「ねぇ。あいつ、あんたを睨んでいるけど知り合い?」


「ん?……いや、知らないな」


 本当に覚えていない様に答える男の言葉に話しかけていた女の子も納得する。

 間が空いたがアレは自分の記憶を思い出していたのだろうと予想していた。

 他の者たちも同じだ。


「それで何で睨んでいるんだ?」


 睨まれてた男も不良に問いただす。

 男も全く不良に対して怯えていない。

 それが苛立たしくなる。


「男のくせに女を代わりに相手にさせるんじゃねぇよ」


「………?」


 不良の文句に言われた男も周りにいる者たちも疑問を浮かべる。


「それはあんたが声を掛けてきた時に前に出て相手をしろってことか?他にも男はいるから俺を睨んでいる理由にはならないと思うが?それにお前ごときに、誰だろうと敗けるはずがないし」


 男の言葉に全員が何度も頷く。

 正直に言って目の前にいる不良ごときに敗けるイメージが湧かない。

 さらに言えば負ければ恥だとしか思えなかった。


「お前、俺が弱いだと……」


「事実だろ?」


 男の言葉にキレた不良が掴みかかると簡単に払われ足を蹴られる。

 それだけで痛みで足を抱えて動けなくなり、他のコンバット学校の者たちは冷めた目で見ていた。


「………これは?」


「返せ!」


 落ちた写真を見るとコンバット学校で前に退学になった少女が写っていた。

 今頃どうしているのかと興味を持つ。


「何で彼女の写真を?」


「何だ?この写真の人物を知っているのかよ?ただ何かのゲームで、この写真の人物が何処にいるのか探してみろって言われたから暇つぶしにやっているだけだ」


 本当のことを言わずに誤魔化す不良。

 当然、コンバット学校の生徒たちは目の前の不良を怪しむ。

 だが既にコンバット学校の生徒たちは彼女を知っていることを知られてしまった。


「もと学校の生徒」


 それだけを言って不良の前から立ち去ろうとするコンバット学校の生徒たち。

 後ろから呼びかける声が聞こえるが皆して話を聞こうとせずに置いて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ