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二二五話

 喜んでいるライクを見て冷めた視線をクラスメイト達はついつい送ってしまう。

 年上の相手に甘えるのなら、何とも思わなかったかもしれないが同い年の相手に甘えたと聞いて引いてしまう。

 しかもレアーの話からすると毎日の様に抱き着いて寝ていることに甘え過ぎだと思っていた。


「ねぇ?良く受け入れるね?」


 ライクに聞こえない様にレアーに話しかける。

 自分だったら同性でも抱きしめるなんて無理だ。

 年齢が離れているのなら出来るが、相手は同い年だ。


「さっきも言いましたけど年下の子供のように思っていますから……」


 どれだけ年下扱いをしているんだと思ってしまう。

 あれだけ甘えるなんて、かなり年下として扱ってきたんだなと予想できる。

 今日のはそれが表面に出ただけなんだろう。


「ふぅん。それでも腕を組んできたりとかしたから恋人なんじゃないかと噂されていると思うわよ。何度も質問されると思うから頑張りなさいよ」


 レアーはそれに頷いて次の授業の準備をした。




「ところで今度の日曜日、暇?」


「ごめんなさい。その日は墓参りに行くから無理です。ライクも同じですよ」


 遊びの誘いにレアーは断る。

 誘ってくれた友人もレアーの理由に納得しかけ、ライクも同じ理由で遊べないと聞いて信じられなくなる。

 本当はどこか遊びに行くんじゃないかとも思うがレアーがそんな嘘を吐くはずが無いしと困惑する。


「たまたま私の墓参りとライクの墓参りの日にちが被っただけですよ?」


 本当かと疑いの視線を向けてしまう。

 墓参りの日が偶々被ってしまうかと思う。

 本当は一緒に行くんじゃないかと考えていた。


「もしかしたら同じ場所かもしれませんね」


 どこの墓地に行くのかは話し合っていないらしい。

 だけど同じ墓地に行くのだろうなと友達は思っていた。


「それじゃあ来週は空いている?」


 話を戻して遊びに行く日の予定を友達は確認する。

 今週は無理でも来週なら、と今から約束をしようと思っていた。

 それは他の者たちも同じでレアーに期待の視線を送っている。


「大丈夫ですよ……?」


 ただレアーは何で一緒に遊ぶのにそこまで期待の視線を向けられているのか分からなかった。

 そこまで好意を向けらるようなことをしたのか疑問だ。


「でも、何でそんなに一緒に遊ぼうって約束をしようとするんですか?」


 だから質問をしてしまう。

 どうしてここまで一緒に遊ぼうとしてくれているのか。


「………だって貴女、いつも勉強ばかりしているじゃない。頭が良いし将来の夢のために頑張っているのは知っているけど詰め込み過ぎなんじゃないかと不安になるわよ」


 その理由にレアーは面食らう。

 ただただ遊びに誘ってくれた者が良い人だっただけみたいだ。


「それに勉強を見てもらった恩もあるしね。おかげで助かったわ。そのお礼も良い加減にしたかったのよ」


 たしかに勉強を教えていたが、そこまで感謝されていたことにレアーは驚いてしまった。

 そこまで感謝をしているのなら何か奢ってもらおうとレアーは考えていた。



 



 そして。


「何で嘘をついたの?」


 寮にある部屋に戻ってのライクの疑問にレアーは首を傾げる。

 何のことか最初は分からなかったせいだ。


「墓参りのことですか?それならライクと私が恋人だと誤解されない様にするためですよ。ただでさえ噂されていますし、それらしい行動を取ったら勘違いさせてしまいますから」


「そうなんだ……」


 レアーの答えにライクは少しだけ残念そうにする。

 どうやらレアーは恋人だと思われたくないようだった。


「レアーは私のことをどう思っているの?」


「同い年なのに可愛らしく甘えてくる女の子でしょうか?」


 ライクはレアーの答えに少しだけ嬉しくなり、そして同時に残念だと思う。

 同じ女の子同士でも少しは意識してもらいたかった。

 どうすれば女の子でも意識してもらえるのか調べる必要があると考える。


「恋人が欲しくなった時に同性愛者だからと拒否されたくないですし……」


「は?」


 レアーの言葉にライクは激しく反応する。

 その言い方だと好きな男がいるみたいだ。


「もしかして好きな男の子でもいるの?」


「まだいませんよっ!?」


 レアーの反応にライクは、それが事実だと安心する。

 もしいたら排除しようと思っていた。

 抱きついたら抱きしめ返してくれて、しかもその温もりが暖かい彼女をライクは誰にも渡したくなかった。


「ねぇ、日曜日に墓参りが終わったらどこかで買い物をしない?」


「良いですよ。服でも見に行きますか?」


 レアーが自分の提案に頷いてくれたことにライクは嬉しくなる。

 その上に意見まで出してくれる。


「良いわね!あとケーキも一緒に食べに行かない?美味しい店を知っているわ」


 美味しいケーキと聞いてレアーも目を輝かせる。

 それが嬉しくて墓参りが終わったら絶対にケーキ屋にも行こうとライクは決意する。


 何故なら自分にしれくれたようにライクもレアーを甘やかしたいと思っていた。

 その為なら服やケーキの代金もレアーの代わりに自分が全部払おうと考えていた。

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