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二二一話

「お父さん、お久しぶりですね」


「えぇ、お久しぶりです」


 家に帰りレアーは一目散に父親に挨拶をする。

 父親に頼みたいことがあった。


「お父さん、呪いに変化を与えることが出来る?」


「どういうことかな?」


 娘の言葉に父親は詳しく聞こうとする。

 もしかしたら呪いを解いてほしいのかと想像していた。


「お父さんって相手に特定の言葉を話せない様に出来るよね?」


 レアーの確認に頷く。

 現に今も復讐相談事務所のことは言えない様にしている。


「私はあいつらに虐めていた本人だと言いたいです」


「つまり虐めていた本人だと教えて逃げられない様にしたいんですか?」


 思った以上に理解されていてレアーは頷く。


「なら特定の言葉以外にもレアーから逃げられない様にする必要がありますね。取り敢えず全員じゃなくてレアーが自分の正体を教えた相手だけ逃げられない様にしますか?」


「それでお願いします!」


 レアーの頼みに頷いて父親は手を光らせてレアーの額に触れる。

 それだけで終わりだった。


「……これでレアーが自分のかつての名前を教えた相手は逃げられなくなったし誰にも教えることは出来なくなりましたよ」


「ありがとうございます!」


 光らせた手を自分の額に触れただけで終わりだという父親にレアーは慣れた様子で礼を言う。

 父親が意味不明なことをして本当に望んだとおりの成果を出すのはいつものことだった。


「それにしても、まさか教えるなんてね」


「もう少しで一緒の部屋に住んでいる女が私に依存しそうで」


「依存……?」


「はい。最近では毎日の様に私に抱きしめられて寝ているんですよ?私に甘え切っていて本当のことを言うのが楽しみです」


「そうか。もしかして君の正体を知っても、君に抱きしめられないと寝られない様にするつもりかい?それなら依存性が増すように薬でも使う?」


「是非!」




「「うわぁ……」」


 離れたところで二人を見ていた嫁と愛人は思いきり引いてしまう。

 そして血は繋がっていないが、まさしく家族だと認識していた。


「思いきり影響を受けているわね」


「はい………」


 嫁と愛人も影響を受けているが娘ほどではない。

 正直、夫は子供の影響に悪すぎる。


「………子供が生まれたら絶対に事務所なんて開かないで喫茶店の営業だけに集中してもらうわ。あれば夫だから成功できるのであって子供たちに出来る気がしない」


「わかります。協力して復讐相談なんてしないようにしましょう」


 二人は手をがっしりと握り合う。

 自分の子供たちが同じことをしたら、あっさり警察に捕まる気しかしなかった。


「あの人にも子供に悪影響だから釘を刺すべきよね」


「それで止まるかどうかは分かりませが同意します」


 子供のことを盾にすれば流石に頷いてくれるだろうと二人は思う。

 どうか子供たちは平穏に成長して欲しかった。


「これを使えば依存性は高まりますよ」


 どこからか取り出した薬をレアーに渡す父親。

 それを見て本当にどこに隠していたんだと二人は思う。

 結婚もしたし、ずっと一緒にいるのにまだまだ分からないことがある。


「ありがとうございます!!」


 そしてレアーはそれを掲げて嬉しそうにしている。

 子供が生まれたら絶対に近寄らせないようにするべきじゃないかと考える。

 夫が黙っていたとしてもレアーが子供に悪影響を与えそうだ。


「そうそう、レアー。何か最近、子供が生まれそうな気がするから復讐とかは隠れてやってくださいね。俺も気を付けますが子供の影響に悪いので」


「本当!?どっち!?」


「両方です」


 夫と娘の会話が聞こえてきて妻と愛人の二人は互いに顔を見合わせる。

 二人とも全く自覚が無かった。


「一応、言っておきますが初期の初期の段階ですからね。まだ身体に変調は無いと思います。本格的に身体の調子が変わってきたら病院に行きましょう」


 レアーは目を輝かせて嫁と愛人の二人を見る。

 そして二人に対してお腹を触って大丈夫か確認する。


「レアー、触っても良いけど優しくね?」


 まだ自覚が無いが夫がそう言うのなら事実なのだろうと夫以外の全員が納得する。

 そしてレアーは許可が貰うと早速とばかりに母親の腹に耳を当てる。


「何の音も聞こえませんよ?」


「胎児になる前ですからね。まだ形にもなっていませんよ」


「「「………」」」


 だから何で分かるのと三人とも父親を見る。

 どうやって視ているのか理解ができない。

 魔法で透視をするにしても胎児が出来上がっていくのを認識するのはまず無理だろうと思う。

 二ヶ月で2.5センチの8グラムの体重なのに、それ以前の状態なんて目に映るのも難しいはずだ。


「はぁ………。子供の教育に悪いから復讐相談なんてしないでね?」


「子供の前ではしませんよ。それよりも子供がどれだけ強くなるのか楽しみです」


 自分達と同じように子供も鍛えるのだろうなと思い身体が恐怖で震えてしまう。

 それでも止めないのは、いざという時に暴力的に強ければ問題を解決することも出来る。。

 問題なのは力の使い方だ。

 それを間違わなければ良い。

 そして強ければ闘技者として食っていけることも出来るから止めることは考えていなかった。。

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