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一七八話

「なぁ、ちょっと良いか?」


 後日、復讐相談事務所という変な名前の事務所を探している部署の者に話しかけられた。


「どうしたんだ?」


「お前たちの探している犯人だが俺たちも一緒に探して良いか?もしかしたら俺たちの探している奴と同じかもしれない」


 復讐相談事務所を探してる部署のサースにそんなことを言われて困惑してしまう。

 彼からすれば探している相手が同じだということが信じられなかった。


「お前も俺たちの捜査している相手の資料を見ればわかってくれるはずだ………」


 それが分かったのか自分達の部署へと案内しようとしているサースに付いて行く。

 未だに信じ切ることは出来ないがそれが事実だとしたら相手を捜査するのに協力する必要があった。



「これが、その資料だ」


 サースに見せてもらった資料は三十センチ以上に積み重なっている紙が大量にあった。

 こんなに資料があるのに自分達に協力を求めてきていることに本当に自分達が必要なのか疑問に思う。


「それらは全て詳細な違いはあるが同じ内容の事件だ」


 その言葉に資料を見ていくが確かに同じだった。

 虐げられていた者が、自分を虐げていた者に復讐し、そして自分も復讐した相手と同じように怪我を負ってしまっている。

 中には死んだ者もおり被害者加害者関係なくに全員が被害にあっていた。


「なんだこれ………」


「俺たちはその事件の生きている復讐者たち全員から同じ事務所の名前を聞いた」


「それが……」


「そう、復讐相談事務所だ」


 これだけの事件を起こしていることに背筋が冷えてしまう。

 本当に同じ人間なのか疑ってしまう。


「それでお前たちの学校を調べていたが虐めがあったらしい」


 資料には絶対に虐めなどの復讐者がいた。

 そしてサースからはロールド学校でも虐めがあったらしい。

 その復讐として殺されたのだとこの事件の資料と関連して考えてしまう。


「一度、学校で虐めがあったか………。無理か、当事者は全員死んでしまっている。ん……?」


 何で学校という閉鎖された世界で虐めがあったのだとサースたちが知ることが出来たのか疑問を覚える。


「何で虐めがあると知っているんだ?」


「死んだ生徒のスマホを調べていたネストって子の裸にされたりしている画像を見つけたんだよ……。しれで多分、虐められていたんだなって……」


 裸の生徒の画像がスマホにあったと聞いて何も言えなくなる。

 おそらくは男子の全裸姿なのだろうと想像できるが、そんなものをスマホに残す気持ちが分からなかった。

 犯罪になるが女子の裸なら、まだ気持ちは分かった。

 それとも女子のスマホなのだろうか?


「しかも男子女子両方のスマホに同じ写真があってな……。さらに調べてみたら同じクラスらしき者たちは全員が持っていた」


 その言葉に思わず真顔になってしまう。

 ある意味愛されていると考えるべきなのかもしれない。

 普通は虐めている相手の写真を一人残らず持っているはずが無い。


「話は戻すが虐められていた上に裸の写真を撮られるという弱みを握られているからネストは復讐する理由は十分あると俺は考えている」


 ネストの裸の写真をクラスメイト全員が持っているということに意識を飛ばしてしまったが、サースの言葉に意識を取り戻してから確かにと考える。

 自分が同じ立場になったら絶望もするし、同時になんとか自分の恥ずかしい写真を消してしまいたいと思う。

 その為なら何でもやるかもしれない。

 そして、そこまで考えて背筋が凍る。

 それをネストという子も考えた結果が現在のロールド学校なんじゃないかと。


「相手の手にあるモノを奪うには殺した方が手っ取り早いと思ったのかもしれないな。……あと屈辱的な写真を撮った復讐かな」


 警察なのに人を殺した理由に納得してしまった。

 たしかに、それなら感情的になってもおかしくはない。

 だからと言って許すことは無い。

 何故なら無関係であるはずの者を多く殺している。

 決して許されることでは無い。


「…………まだネスト君と復讐相談事務所が繋がっていた証拠は無いんだよな?」


「あぁ。だからこそ一緒に協力して探して欲しい。家族は死んだとしても近所の人は何か変化がなかったか知っているはずだ」


 サースの頼みに頷く。

 目の前で重なっている復讐相談事務所が関わっている事件。

 ネストも関わっただろう証拠を集めれば少しでも復讐相談事務所に近づけるはずだ。

 そうすれば、この山のように重なった資料がこれ以上増えることも無くなる。


「今度からはそちらの部署と協力することが多くなるだろうが、よろしく頼む」


「こちらこそ。頼りにさせてもらう」


 互いに警察として、これ以上の被害を増やさないために手を結ぶ。

 今回の件だけで百人を超える被害が生まれたのだ。

 これから更に規模が大きくなってもおかしくない。


 一番、手っ取り早いのは復讐相談事務所を見つけて、そこで働いている者たちを見つけること。

 路地裏にあるという情報は掴んでいる。

 更に人員を増やして探すことが出来ることにサースはこれで見つけられるかもしれないと嬉しくなっていた。

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