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一五七話

「まさか本気で言っていると思いますか?」


 ネストは大将が目の前から消えて自分をメンバーに入れるように教師に本気で頼もうとしているのか皆に意見を求める。


「やりそうではあるよね」


 だがネストの予想とは違い、皆は有り得そうだと頷く。

 特に三年生の者たちは少なくとも二年以上は共に学校生活を送っていたために本気だと理解していた。


 それに人のぶつかり合う試合のために怪我をしてしまい次の試合に出れなくなる者はどうしても出てしまう。

 そうなったら試合に出れる者の数が足りなくなってしまい、どうしても不利になってしまうところもあるために補欠としてメンバーを組むことが許可されている。

 ただし補欠として組める数は正メンバーと同じく決まっており、それ以上増やすことも減らすことも出来ない。

 運が良くロールド学校は補欠のメンバーは全員決まっていないからネストを組み込むことも出来る。


「マジですか」


 大将であるエストならやりかねないと言う三年の言葉たちにネストは緊張で胃を抑える。

 最初は皆をサポートするだけだったのに急に試合に参加するのことにもなって話に付いて行けない。


「何、不満なの?」


 ネスト自身が代表に選ばれたことに不満だと思っているのか他の代表者や補欠たちもネストを睨む。

 代表と選ばれたからこそ誇りを持たないといけないのに不満を持っているのは許されない。

 まだ決まっていないがエストが教師に直審判しに行ったら、ほぼ確実にネストも選ばれるだろうと確信していた。


「不満というかもともと選ばれていなかったのに急に立場が急に変わって追いつけません」


 ネストの戸惑っている理由を聞いて他の代表者たちも少しだけ納得できた。

 たしかに急に立場が変わったら戸惑い自分の立場に付いていけなくなる。

 特にネストはメンバーに選ばれていないサポートから急に補欠とはいえメンバーに選ばれたのだ。

 それに話の流れからして代表の一人として試合に出る可能性も非常に高い。

 戸惑うのも、しょうがないと考えてしまう。


「そう。それでも事実、貴方は試合に出る可能性が高い。だからこれからはサポートよりも突破力を鍛えるわよ」


「そうだね~。だから今日は私と一日中、相手をしてもらうよ~。一年だから色々と能力は低いけど突破力はある。だからそれのみを鍛えて特化するからね~。他の部分は仲間に任せれば良いんだから~」


 ルーの言葉に皆が頷く。

 一年だから能力が低くて当たり前なのだ。

 先輩である自分達より優れている部分があっても、それはほとんどが一芸で優れているため。

 ロールド学校だけでは無いが普通は平均的に優れている者が選ばれてしまう。

 むしろ、そのはずなのに普通に先輩を押しのけて選ばれたクルドが珍しいのだ。


「わかりました。期待に応えられるように頑張ります」


 ネストの言葉に満足そうな顔をしてルーはネストの腕を掴んで立ち上がる。

 そして、そのまま部屋の外に出ようとする。


「ルー、どこに行こうとしているのよ?」


「くんれんじょ~。私たちの予想通りに選ばれても選ばなくても、一番私の相手になるもの~。結果はどうなったか後で教えて~」


 コンバット学校に勝つには、この二人が必要だと考えてほぼ全員が頷く。

 好きに動いているように見えるが勝つための行動だから文句を言う気も無い。

 むしろ勝つために使える時間が足りないと行動しているようにも思える。


「わかったわ。それじゃあ、頑張っていて。私たちはエストが戻るまで待っているわ」


 ルーはその言葉に頷いて部屋から出ていく。

 あくまでも奇襲を成功させるには自分とネストの実力次第だと判断していた。

 だから作戦を他の者たちに任せ自分達は突破力をひたすら鍛えようと考えていた。




「あれ?ルーとネスト君は?」


「二人なら先に訓練所に行って鍛えているわ。それで結果はどうなったの?」


「補欠メンバーに入れて試合に参加させる許可は貰った」


 部屋に戻ってきてエストはルーとネストがいないことを質問するが答えが返ってきたことで納得する。

 どうやら奇襲で重要だと自覚しているようで、ここにいないことよりも訓練していることに満足げだ。


「それなら良い。俺たちはこのまま作戦会議をするぞ。具体的にどうやって奇襲を仕掛けるか話し合いたい」


 エストの意見に全員が頷く。

 突撃は二人に任せて、こちらはそれまでにどうやって気を散らすか考える。


「一番、良いのは視界を奪うことですよね」


「そうだな。それに俺たちは見えるようにしなきゃいけない」


 こちらに有利な空間をどうやって作るか話し合う。

 理想は自分達だけが相手を見える空間。

 そうすれば勝てるはずだと思っている。


「サングラスとか持ち込みはオッケーでしたっけ?」


 たしかにサングラスがあれば突然に強烈な光を発生させれば目潰しになり、つけている者はいつもと変わらない光景になる。

 怪しまれる可能性はあるが奇襲としては良い考えだろう。

 まずはサングラスなどの持ち込みは許可されているのか調べる必要はある。


「そうだな。取り敢えずは、目潰しなどの相手の視界を潰す案が良いかもしれないな。先生たちにも話を聞いて見る。お前たちも大会のルールを確認してくれ」


 またエストが部屋から出てしまうが、代表者たちもそれぞれ大会のルールを確認し始めた。

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