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一五三話

「そんなことよりもゲームの勝負しない?俺が選ばれたからって、まだ戦うと決まったわけじゃないし」


 ディアロの言葉にネストたちやレイは首を傾げる。

 少なくともネストたちは自分達は学校指定の制服やジャージを着ているし、レイもそれを見て初戦の相手を知っている。

 何で知らないのかとため息を吐き、同時に一緒に遊ぼうとしているのか理解できた。


「ディアロ。彼らは初戦の相手よ。対戦票を見てないの?」


「初戦はロールド学校だろ?…………校章とか学校指定の制服やジャージ何て知らないし」


 ディアロはレイの言いたいことを察して言い訳をする。

 そしてレイたちもその言い訳には納得してしまった。

 確かに普段、関わりのない学校の制服やジャージ何て興味が無ければ知るはずが無いのだ。


「まぁ、興味が無いから知らないのは理解できるわね。でも初戦の相手だから、あまり親しくなるのは止めた方が良いから、ここから消えるわよ」


「何で?」


 レイの言葉にディアロは疑問を返す。

 どうやら親しくなるのは止めた方が良いという言葉に反応したらしい。


「何でって……」


「別に殺し合うわけじゃないじゃん。親しいからって手を抜く意味が分からないし。したとしてもそれは相手側の学校から賄賂とか贈られるぐらいだろ」


 殺し合いじゃないんだから、親しくなって手を抜くなんて有り得ないというディアロの言葉に微妙な顔をしてしまう。

 実は他校の者同士で恋人だったり友人だったりすると武器を魔法を向けられないと言う者がいたのだ。

 それで敗けた一例もあり、できるだけ親しくしないように生徒たちも気を付けている。

 そのことを教えるとディアロは何かを思い出したかのように納得する。


「そういえば何かの劇かって言いたくなるようなことをしていたな……」


「周りは戦っているのに手を取り合って?」


「傷つけたくないから降参してくださいって言って?」


「「「周りから怒声と呆れた声と歓声で溢れかえる」」」


 ある意味では最も有名な試合の一部を思い出してどっ、と笑う。

 試合の最中なのに恋人だからと放り投げていた姿。

 学校の代表に選ばれたのに、試合を放り投げるなんて有り得ないことだった。


「そういうことよ」


「それでも一戦ぐらいは良いだろ?これだけで仲良くなるなんて有り得ないし」


 ディアロの言葉にレイは悩む。

 確かに、たったこれだけで戦闘を止めるほど仲良くなるとは思えない。

 それにコンバット学校と名乗ってから相手は僅かにながら敵意を持って睨んでくる。

 無意識だろうが敵意を持って睨んでいるなら親しくしたからと言って手を抜きそうにないことを安心する。

 それならとディアロが挑戦したいというゲームの実力に興味を持つ。


「一回だけよ。それが終わったら服を一緒に見なさいよ」


「サンキュ」


 嬉しそうな顔を浮かべて礼を言うディアロ。

 その顔にレイは顔を赤くするが見られない様にディアロの背中に抱き着くようにして隠す。。


「ネスト!勝てよ!」


「そうよ!あのリア充に勝ちなさい!」


「そうだそうだ!負けさせてやれ!」


 気付くとネストたちロールド学校の他にも周囲にいた客たちがネストに向かって応援している。

 男女関係なくにレイとディアロを睨んでおり、レイも敵意を持っていたのはコンバット学校に在籍しているからとは違うんじゃないかと考えてしまう。

 ちなみに彼氏彼女がいる者たちは羨ましく思ったり、微笑ましく見たりする者もいれば、触発されて普段より密着している。


「それじゃあ始めるよ」


 そしてネストも目の前でいちゃ付いている二人にキレていた。

 恋人がいないから、目の前で見せつけられていて目に毒だ。

 絶対にボコボコにして勝ってトラウマにしてやると決意した。





「「おぉ~~」」


 ネストはディアロをゲームでボコボコにした。

 何ならパーフェクトだ。

 しかも一回だけでなく色んなキャラで勝負した。


 例えばディアロを選んだキャラをボコボコにして、今度はそのキャラを使ってパーフェクトを叩き出したり、使うキャラを交換してパーフェクトを叩き出した。

 それなのにディアロはルーと一緒に感心の声を上げる。

 他はいい気味だと思ったりしているのが多いが、少数はネストに対して非難の視線を向けている。


 いい気味だと思っているのが恋人なしの者たちで、非難の視線を向ける少数のほとんどが恋人がいる者たちであり、そしてレイだった。


「………っ」


 そしてネストはパーフェクトを叩き出しているのにディアロへと睨んでしまう。

 普通、ゲームが苦手な者でもここまでボコボコにすれば屈辱を覚えるはずなのにディアロの表情からはそれらが感じ取れない。

 まるで負けても何とも思っていないようだ。

 むしろレイの方が悔しく思っている。


「本当に強いなぁ。我が儘を聞いてくれてありがとう。それじゃあ学校の皆と合流するから」


「逃げんの?」


 聞こえていないのかディアロはレイと手を掴んでネストたちの目の前から去ろうとし。


「あ?」


 レイはネストの言葉に反応し振り返る。

 そしてディアロはネストに睨まれていることに娯楽にどこまで必死なんだと呆れと感心の混ざったため息を吐いた。

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