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一五二話

「それじゃあ、是非」


 ぽけっとした少年はエストたちに頷いて台に乗る。

 そして、いざ勝負しようと身を乗り出そうとすると頭を叩かれた。


「何をやっているのよ?」


 頭を叩いた者を見ると、そこには不機嫌そうな表情をしたスレンダーの白い髪をした少女がいた。

 てっきり先輩や友達と一緒に遊んでいると思ったから予想外だと言う表情をしている。


「私の服を見てもらうつもりだったのに、何をしているのよ。もしかして知り合い?」


「いいや。賑やかだなと思っていたら誘われただけだよ?」


 ネストたちは突然に美少女が現れたことに声を無くてしてしまっている。

 そして目の前の少年に服を見てもらおうとしていることに、それだけ親しい仲なのかと嫉妬する。


「あっ!!もしかしてコンバット学校のレイ!!」


 自分の名前を指差して呼ばれたことに視線を向けるレイ。

 その表情は何をそんなに驚いているんだと怪訝そうにしていた。

 そしてコンバット学校と聞いてぽけっとしている少年を見て警戒するが、ぽけっとしている姿に警戒するのもバカバカしくなる。

 そもそもコンバット学校の生徒だからって誰も彼もが代表に選ばれていると考えるのはおかしい。


「知っているの?」


「えぇ。今年、コンバット学校に入学した才色兼備の美少女としてそれなりに有名よ。実力もあるから次の代表に選ばれるって噂もあるわ」


 レイはそれを聞いて微妙な顔を浮かべてしまう。

 才色兼備と言われるのは嬉しいが、代表に選ばれるというのは言い過ぎだと思っている。

 規格外だとわかっていてもディアロと比べれば、自分があまりにも弱いと認識している。


「あれ?でもコンバット学校のレイって恋人が代表に選ばれたって聞いたけど、彼に聞いて見てもらって良いんですか?」


 どこでそんな情報を聞いたのか怪しく思いながら、もう一度二人を見る。

 ぽけっとした少年が代表に選ばれたとは思えない。

 それなのに服を見てもらうというのは浮気か、それとも似てない姉弟なのか興味がある。

 上手くいったら弱味になると思って聞き逃さないように集中する。


「?意味が湧かないんだけど?」


「普通は異性に服を見てもらうって恋人にするんじゃないんですか?いくら親しいと言っても恋人でもない男に見てもらうなんて……」


「はぁ。ディアロ……、この人は私の恋人よ」


「「「「「は?」」」」」


 恋人でない異性と一緒に遊びに来たと思ったら否定されて皆は困惑する。

 ぽけっとしている少年を見ても当たり前のように平然としていたから嘘ではないらしい。

 更にレイに抱き着かれても動揺していないから信憑性が高まる。


「それで何でレイがここにいるんだ?時間まで解散で女子は皆で服を買いに行くって聞いたんだけど?」


「みんなで面白そうだから恋人持ちの人は男子にも見てもらおうって話しになったのよ。そういう貴方は何でちょっと離れたゲームセンターに来ているのよ?」


「面白そうだからだけど?」


「……予想はしていたわ」


 ディアロの理由に予想していたとはいえため息を吐くレイ。

 ぽけっとした見た目とは違って思った以上に自由人だと理解するネストたち。

 そして同時に目の前の少女の恋人だということでコンバット学校の代表だということを思い出した。


「………ええっと。それじゃあレイさんの恋人が代表に選ばれたっていうのは嘘だったのよね?」


「?」


 こんなぽけっとしているような少年が代表に選ばれるなんて信じられないと噂は嘘だったのだと審議を確かめようとする。

 だって、有り得ないのだ。

 自分達が必死に鍛えてようやく勝てる()()しれない相手校の代表者の一人にこんなぽけっとした少年が選ばれるなんて。


「念のために聞くけど二年生よりディアロって上だよね?」


「俺は一年ですよ?」


 見た目からしてわかっていたが、それでも答えを確認すると本人から教えられる。

 レイに確認の視線を送ると頷かれた。


「コンバット学校って世界にも挑める学校だろ?本当に選ばれたのか?」


 信じられないとディアロに視線を送ってしまう。

 どうも強そうな雰囲気を感じない。

 隠しているにしても、もう少し感じ取れるはずだ。


「もしかして才能はあるけど、実力はまだまだだから経験させるために認められたのか?」


 まだ一年生だから経験を積ませるために選ばれたんだと想像しネストたちは納得する。

 こちらも一年が実力で選ばれたが、それは地方大会に出場することがまず最初の目的の大会だからだ。

 世界に挑める学校が実力で一年を選ぶはずが無い。


「あぁ~。気持ちは分かるけどディアロは実力で選ばれたわよ」


 そんなネストたちへとレイは事実を告げる。

 自分と恋人であることに嫉妬もあったが、ディアロに対して嫉妬と憎悪で事件が起きていたのを思い出す。


「私たちの学校で一年で選ばれたからってディアロに攻撃しないでよ?最終的にそれを全部返り討ちにして認めさせたのよ、ディアロは」


 レイの言葉にマジかとディアロを見る。

 注目されたことにディアロは首を傾げてくる。

 それに対してディアロに指を指してレイを見るが、レイは首を縦に振って頷いただけだった。

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