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一五話

 ディアロたちが生徒会室に戻ると、何人かの写真と資料を片手に調べている生徒会長が目に映る。


「皆さん、何をしているんですか?」


 アクアからの質問に生徒会長が手に持った資料を見せながら教える。


「現在、わかっている苛めの被害者の関係を調べているのよ。同じ学校の先輩とか近所に住んでいる学生とか」


「あぁ、それもありますね」


 ディアロも生徒会長が調べている理由に納得する。

 アクアは一瞬、どういうことか理解できなかったが少し考えてから同じように納得する。


「復讐するのは苛めの被害者だけでなく、その友人もあり得ると言うこと?」


「そうよ」


 アクアの答えにフィンは頷く。

 何も復讐するのは苛められた本人だけではないと。


「確かに復讐するのは本人とは限りませんよね。………でもそうなると犯人が誰だが更に分からなくなりませんか?怪しきものは疑えと言うのも限度がありますし」


「そうなのよね。下手したら少しでも特定しろと言ってくるのが予想できそうなのがね」


 仕事が全く終わりそうにないとフィンも頭を抱える。

 仕事が進んだと思ったら、またやることが増えて全然解決する気がしない。


「そうですか………」


 ディアロは仕事が全く終わりそうにないことに残念だと暗い顔を浮かべる。

 その様子にアクアは苦笑し、他の生徒会のメンバーは首を傾げる。


「どうしたんだ?」


「さっき、私たちでできることが終わったらパーティを開こうと話していたのよ。それで仕事がまだまだ終わりそうにないことを聞いて残念がっているみたい」


「パーティか。それは楽しそうだな。俺たちも参加してよいか?」


「えぇ。生徒会の皆とディアロ君で開く予定だったし」


「それは良いね。それじゃあ、それを励みにしてみんなで頑張ろうか」


 フィンの言葉に歓声を上げる生徒会のメンバー。

 何かご褒美があった方がやる気が出るのだ。

 パーティなんて楽しそうな事をやると聞いてやる気を出す。


「それじゃあ明日は一年生の調査をして、それぞれの苛めの被害者の繋がりを全員確認しようか。それが終わったら警察の人への連絡だね」


 フィンのこれからの行動の指針に全員が頷いた。




「あぁ、終わった」


 ディアロは生徒会の手伝いが終わると一人で帰路に着く。

 昨日、襲われたのに複数人で帰ることはせずに一人だけ。

 生徒会のメンバーは最低でも二人で一緒に帰っているのにだ。


 もちろん、数人で一緒に帰ろうと誘われた。

 だがディアロは断って一人だけで帰る。

 そちらの方が気楽だからという理由で。


「まさか今日も一人で帰っているとはな。襲われたことも話していないみたいだし、自分なら大丈夫かと思ったか?」


「いや案外復讐したい相手がいるんじゃないか?だからワザと黙っている可能性もある」


「なるほどな。それなら協力してやるが、どうする?」


 昨日とは違い複数人がディアロを囲んでいる。

 一人で勝てないなら複数人で襲うつもりだろう。

 そのことにディアロは苦笑する。

 一人で無理なら複数人で協力すると言うことに少しだけ可笑しくなる。


「面倒だなぁ。ワザと見逃したことをバレたら煩くなるし、襲われたことを話すのも面倒くさい」


 ディアロの言葉に何を急に口にしているんだと疑問に思う。


「しかも俺が黙っていたとしてもお前らが話さないとは限らない。さて、どうしようか」


 ディアロを囲んでいる者たちは何を言っているのか理解できない。

 自分達のような顔を隠している相手に囲まれて気がおかしなったんじゃないかと考えている者もいるぐらいだ。


「まぁ良いっか」


 まずは一人が腕を捕まれ、そのまま頭から地面へと叩きつけられる。

 次は後ろ回し蹴りで顔面を蹴る。

 ディアロの反撃に動揺している者たちの一人の頭をつかみ壁へとぶつける。


「それにしても結構人が多い。どれだけ復讐したいと思っている人たちがいるんだ?」


 これが復讐者の集まりの一部だとしたら、かなりの人数だ。

 学校の生徒の大半が協力していると考えてもおかしくない。

 それとも学校以外の者も集まっているのだろうかと想像する。

 だとしたらこの事件の被害者はどれだけの恨みを買っているのかとため息が出る。

 この事件の加害者に協力した方が良いんじゃないかと考えてしまう。


「お前……」


「俺は苛めなんてした覚えは無いんだけどなぁ。まぁ、それでも襲ってくるなら、やり返しても文句は言えないよね」


 ディアロの言葉に何も言えない襲撃者たち。

 事実、ディアロや生徒会のメンバーは苛めをしていない。

 気づかなかったこと助けてくれなかったことに文句を言いたいが、それが理不尽だと知っている。

 そして生徒会のメンバーは生徒会に選ばれるだけあって実力が高いことを知っている。


「俺を襲ってきたのは一人だから?それとも生徒会のメンバーじゃないから大丈夫だと思った?」


 ディアロを襲ったのは一人だから。

 そして生徒会に選ばれていないから、生徒会のメンバーより優れていないからと思ったからだ。


「思ったけど頭を思いきり、ぶつければ直前の記憶とか失うよね。覚えていても面白そうだけど」


 ディアロを襲った者たちは一人だからと狙い襲ったことを後悔した。

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