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一二九話

「何があったの?」


「どうやら学校で殺し合っていたみたい」


「殺し合いって………」


「だから色んな病院に分けて入院させているみたいよ。学校でも保健室を壊したみたいだし、それを防ぐためらしいわ」


 何で学校に通っている子供たちが殺し合っているのか理解が出来ずに首を傾げてしまう。

 怪我の具合を見たが骨がむき出しになったら肉がえぐれていたりと、こんな怪我なんてめったに見ない。

 どれだけ激しく殺し合ったのが想像がつき、同時に何でそこまで憎み合うのか想像が出来なかった。





「くっそ……」


 意識を取り戻して排斥派の一人は悔し気に呟く。

 動かせる範囲で周りを確認するが見つけたのは病院で働いている者たちと同じ排斥派の者が一人。

 病院に運ばれたから同じ病室に一緒にいるかもしれないと想像したが、そんなことは無かったようだ。


「最後にあいつらが来なかったら勝ってたかもしれないのに……」


 いまだに教師が来なかったら勝ててたと根拠もなく思っている。

 実際には互角だったのに、どこからその自信が来るのかわからない。


「たしかにな……」


 そして目を覚ましたのか近くにいた排斥派も頷く。


「何でディアロも他の奴らも途中で邪魔をするんだ。おかげで勝てるのも勝てない」


 その意見に深く頷く排斥派たち。

 ギリギリの勝負で同じことをされたら勝てるのも勝てなくなると不満を持つ。


「なぁ、お前はディアロのどこが一番、嫌いだ?俺は何人も心を折って夢を諦めさせた癖にレイさん付き合っているのが腹立つ」


 何人もディアロに挑み、そして見て自分ではあそこまで強くなれないと夢を諦めた者が多い。

 それなのにディアロは自分には関係ないとレイと楽しく付き合っている。

 何でフォローしてくれないんだと、何で他人の夢を壊して楽しそうにしているんだと思ってしまう。


「わかる。特に相手が自分より強いと理解させるまでわざと手を出さなかったり何度も何度も倒れた相手に蹴りをいれたり頭を地面に叩きつけたりとしているからな。心を折ろうとしているのは絶対にわざとだ」


 互いの意見に頷く。

 心を折り、夢を諦めさせる。

 あんなのがいたら未来に希望が持てなくなる。


「なぁ、退院したらディアロを退学にする署名をもらわないか?今度こそ退学に賛成する者が多いかもしれないし」


「………どうだろうな。崇拝派も俺たちと同じくらいの人数がいるし。もしかしたら、ほとんどの生徒たちは中立派。こちらが何もしなかったら相手も何もしないと思っているんじゃないか?」


「それでも……」


「それに退学になって復讐しに来たらと考えて署名をしないかもしれない」


 それは有り得ると思ってしまう。

 やり過ぎるということは手加減が苦手だということだ。

 退学した仕返しにと本人は軽くやったつもりでも実際には大怪我をさせるとか簡単に想像できてしまう。


「それもそうだな………」


「まぁ、たしかに退学された復讐をするかもしれないな」


 退学するための署名のことに話しているとディアロの声が聞こえてきた。

 慌てて振り向くと、そこにはディアロとレイがいた。

 病室から見える外は既に暗い。

 おそらくは既に夜だと考えれる。


「何で……?」


 ここは二人以上はいる大部屋だ。

 そして夜だということは、お見舞いなんて出来ないはず。

 それなのにディアロたちがいることに困惑する。


「……!だ……!!!」


 そして直ぐにここで大声を出せば病院で働いているスタッフが来てディアロに嫌がらせが出来ると考える。

 一緒にいるレイは自分たいが庇って責任を減らせば良いと思い叫ぼうとするが寸前でディアロに口を抑えられる。


「騒ぐな」


 強引に黙らせらて睨むが自分一人だけではないともう一人の排斥派を見る。

 そこではレイが隣にいるのに絶望に泣いていた。


「私は貴方みたいな人なんて嫌い。だって心身共に弱いじゃない。ディアロに怯えて決して一人では立ち向かわない。最初は一人だったけど、それは一人だけだしディアロの実力を知らなかっただけ。正面からだと怖いから隠れて陰口を言う。ほら情けない。ディアロなら相手の数が多くても一人で立ち向かうわよ」


 ディアロ一人に対して決して一人で立ち向かっていないことを言われて排斥派の者たちは心にダメージを負う。

 そしてディアロが一人でコロシアムで多くの者を一度にボコボコにしてから、誰もディアロに一人で挑むことは無くなった。

 部活でのアレも自分達が強くなるための組手でディアロを倒そうと挑んできたわけでは無い。


「それにしても崇拝派と殺し合って、そんなになったのか……。弱いなぁ」


 俺なら無傷で倒せたと目の前の排斥派を煽るディアロ。


「黙れよ!先生たちが邪魔をしなかったら勝てた!!」


「勝てても、そんなにボロボロじゃあ結局俺より弱いだろ?諦めろよ、お前は一生俺に勝てない」


 そんなことは無いと叫ぼうとする目の前の排斥派の首をディアロは絞めていく。

 その顔は笑みを浮かべている。


「う……が…………」


 首を絞められて苦しそうにしている排斥派はその顔を見て本気で殺そうとしていると理解する。

 だがレイなら助けてくれるのではないかと視線を送るが、そこでは腕が垂れ下がって意識を失っているもう一人の排斥派とこちらを笑顔で見ているレイがいる。

 それでレイはディアロと本性は同類だと理解する。

 もう助からないと理解し排斥派は涙を流して気を失った。

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