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十二話

 生徒会室に入ると挨拶もそこそこにダイキは先輩たちの元へと行く。

 その様子に何かあるのかと予想して身構えるが何も言わないことに首を傾げる。


「………すいません。後で相談に乗って貰って良いでしょうか?」


「当然だろう。私が聞いた方が良いかい?」


「いえ。先輩なら誰でも良いです」


 その言葉でフィンはディアロに聞かれたくないのだと察してしまう。

 先輩だけという言葉とディアロを見て相談されてなさそうな様子を見て後で相談を受けることを決めた。

 真面目な雰囲気でもあるから自分以外の二人も巻き込むことに決める。

 ディアロに話を聞かれないようにするには自分達だけで仕事を残ってやるから先に帰れば良いと考えた。

 そしてディアロも聞こえていたが自分ではなく先輩に相談することを決めたことに文句は無い。

 少なくとも自分よりは学校に関しては先輩に相談した方が良いと考えている。


「いいよ。さてと、それじゃあ今日は二年生の聞き込みだけどディアロ君に今日も任せても良いかい?」


「いいですよ。今日も二人でしょうか?」


「そうだね。今日はアクアがお願いできるかい?」


「わかりました。よろしくね」


 フィンの指示に二人は文句なく、そしてアクアからの言葉にディアロもこちらこそと頭を下げる。

 そして一緒に生徒会室から出て二学年の教室へと移動していった。


「さてアクアには後で意見を聞くとして今のうちに相談を受けようか?」


 アクアとディアロが生徒会室から離れて数分してから最初にフィンがそんなことを口にする。

 アクアの意見は後で聞くのも良いと考えたからだ。

 それにもし難題だっとしても仕事が終わるまでに、少しは考える時間がある。


「えっと良いんですか?」


「そうだぞ。二人が仕事に向かっているのに俺たちは関係のない話をするなんて」


 二人の言葉にフィンは呆れる。

 正直、本格的に考えるのは聞き込みを終わってからにするつもりだ。

 自分たち以外にも意見を聞きたいし、特にディアロの見方や考え方は参考になる。

 被害者が全員、苛めをしていたことに気付いたのもディアロだった。

 自分達は被害者の情報を纏めるが何も話さないで行動するのも寂しいからという理由で相談を聞こうとしていた。


「罰に良いだろう?ちょっとしたスパイスだ」


 フィンの言葉に呆れてダイキは相談したいことを話す。

 内容は当然、ディアロが犯人の正体について気付いているかもしれないことだ。


「何?」


「………否定はできないね」


 フレアは驚いているがフィンにとっては驚くようなことではない。

 自分達が気付かなかったことに最初に気付いたのはディアロだ。

 既に犯人まで予想できてもおかしくは無い。


「だけど、今の時点で犯人を問いただすのは止めておいた方が良いだろうね」


 フィンに向けて、どういうことだと顔を向けた二人に説明を続ける。


「言わないのは証拠が無いから。もしかしたら確信もしていないかもしれないね。その状況で話して犯人が間違いだったら、被害が増えるかもしれないだろうね」


 フィンの説明に不満に思っていた二人も納得する。

 少なくとも証拠が無いのに怪しむのは失礼だと思って聞かないようにする。


(それに昨日の夜の件もあるしね)


 噂で聞いたが先日、迷惑行為があったらしい。

 外で煙が発生しており視界が全く見えなかったらしい。

 フィンからすれば、もしかしたらディアロが関わっているのではないかと思ってしまう。


「わかった。証拠が見つかるまでは問い詰めないでおく」


「そうですね。気をつけます」


「………一応、言っておくけど二人も犯人とか無理ない範囲で探しなよ。警察に頼られたとはいえ犯人を見つける必要は無いし」


 何を言っているんだと視線。

 その視線にフィンは理由を話す。


「怪しい事とか気になったことを伝えるだけで良いじゃないか。私たちは学生だよ。下手に危害を加えられて怪我するよりはプロに任せた方が安全じゃない」


 学生が犯人を見つけて争い怪我を負わされて逃げられるよりは最初から警察に任せた方が安全なのだ。

 そして生徒会長として生徒が怪我を負うのは防がなければいけない。

 ここまで説明して二人も納得する。


「それじゃあディアロに犯人について話を聞くのは止めた方が良いな」


「そうですね。それを犯人に聞かれて襲われたら嫌ですし」


 どうやら犯人について話を聞くのは止めてくれるらしい。

 お陰でフィンは安心できると一息を吐く。


「それにしても情けないな。まさか優秀な者を集めた生徒会で俺たちよりも所属していない生徒が犯人について見つけれるなんて」


「たしかにね。まぁ、優秀と言っても辞退する者もいるからね。それに一部分では私たちを凌駕する者もいる。おかしくはないさ」


「たしかに」


 二人の会話にそういえば、とダイキも思い出す。

 学園側から一学年ながら生徒会に誘われたことを。

 もしかしたら各学年から優秀な者を最低一人は生徒会に所属させるようにしているかもしれない。

 それならディアロも一度は誘われて拒否したのかと想像する。

 少なくともダイキから見れば自分よりもディアロの方が優秀だと考えていた。

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