一一四話
授業は空き教室を使うことになった。
予想していたからこそ誰も文句を言わずに移動して授業を受ける。
そしてダイキが教室に戻ってきたのは昼休みが終わる少し前だった。
「はぁ………」
ダイキはため息を吐いて教室の中に入ってくる。
そのことにクラスメイト達は心配になってしまう?
「どうしたんだ、急に?何かあったのか?」
「うん。何というかディアロを崇拝しているのと嫌っているので喧嘩していてさ……」
自分の名前が出てきてディアロは驚いてしまう。
そして嫌われているのはともかく崇拝されていると聞いて困惑していた。
「崇拝……?」
「そう崇拝。ディアロが強すぎるから尊敬とか通り過ぎたみたい」
微妙な顔を浮かべるクラスメイトとディアロ。
クラスメイトはまさか自分達の身近な者が崇拝対象にされるなんて思ってもみなかった。
そしてディアロは嫌われているのは理解していても崇拝されているのは予想外だった。
強い者に憧れる気持ちは理解しているが自分もその対象になるのは考えてもいなかった。
「それにディアロに色々と開花させられた者たちも崇拝者たちに同調し始めて……」
ディアロに好意的な者たちが敵意を抱いている者たちに攻撃しているらしい。
数としては同じぐらいで止めても繰り返すそうだ。
「回復したと思ったら仲裁に駆り出されて疲れた……」
疲れている原因がディアロだということにクラスメイト達がディアロに手を貸してやれよと眼で文句を言う。
だがディアロからすれば理不尽だと思っていた。
もともとはレイがモテているから、こう問題が起きたのだと思っていた。
開花したとか崇拝したとかディアロの知ったことでは無い。
リィスだけでも手一杯だし自分から狙って開花させたわけでも無い。
「…………何か良い案は無いか、ディアロ?」
そしてダイキもディアロへと案を出してくれと頼んでいる。
ディアロなら何か良い案が浮かぶだろうと信頼しているし、ディアロのせいで問題が起きたとも考えているから答えてくれと視線を向ける。
その視線に呆れてしまうがディアロはわざわざ徹夜してまで嫌がらせをしていた者たちを捕まえようとしていた聞いて案を考える。
「…………一度思い切ってぶつけ合ったらどうだ?軽いぶつかり合いだったら何度もしてしまうけど、思い切りやらせたらぶつかり合う頻度は減るんじゃないか?勝つために準備をする必要はあるだろうし」
「深夜にぶつかり合ってたぞ」
「最後までやらせた?」
ダイキの文句にディアロは即答えを切り返すがダイキは何も言い返せない。
途中で奇襲による魔法を撃って気絶させることによって中断させたのも事実だ。
その反応にディアロは決着をつける最後までぶつかり合わせていないことを理解する。
「一度最後までやらせてあげたら?」
「そうだな……」
ディアロの意見を生徒会に提案することを決めるダイキ。
細かいルールも考える必要はあるが、何度も軽い衝突で終わらせて不満を溜めて爆発させるよりも、その前に盛大に爆発させるのも良いかもしれないと思っていた。
「さて彼らをどうしようか?」
生徒会室ではフィンが開口一番に愚痴をこぼす。
今日一日だけでも何度も喧嘩をして止めるのに疲れてしまった。
他の生徒会のメンバーも疲れたようにため息を吐いて同意し各部活の部長もここにいたら頷いていただろう。
「それなんですけど、ディアロが小さいぶつかり合いでフラストレーションを溜めるぐらいなら一度思い切ってぶつけ合った方が良いって提案されました。俺も知らないところで爆発させるよりも監視下で爆発させた方が良いと思います」
ダイキの意見にアクアもフレアも同意する。
ディアロの意見と聞いて相変わらず力になってくれていると思ってしまっていた。
「そうだね。知らないところで爆発させるよりは監視下で爆発させる方がマシか……。後は最悪の状況にならないように何時でも止めれるようには準備をするべきだね。ディアロ君にも協力してもらおう」
フィンの考えに文句は無いと全員が頷く。
特にどちらもディアロの存在が関わっているし責任を取らせるためにも絶対に協力させるつもりだ。
「さてと後は何時、やらせるかなんだけどね。出来るだけ早い方が安全だし今週中にはしたいね」
「そうですね。こちらも準備が必要ですし、また先生たちを巻き込みますか?もしかしたら今回も協力してくれるかもしれませんし」
「それも良いね。早速、職員室に行って先生がた全員を巻き込もう。職員室の中に入って今考えたことを言えば知らないふりも出来ないだろうし」
知らないふりをすれば生徒に押し付けて逃げたことになってしまう。
積極的に教師も巻き込んでいくフィンに他の生徒会メンバーも面白そうに笑っていた。
「それじゃあ、早速職員室に行こう」
先生たちがどんな反応を見せるか楽しそうに予想しながら生徒会メンバーは職員室へと向かう。
正直、自分達やディアロがいても手が足りないと想像している。
絶対に先生も協力させようと考えていた。




