表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/274

十一話

「聞いたよ!ディアロ凄いじゃん!!」


「この調子で犯人を見つけてくれよ!」


 学校へと歩いている途中、同じ学校の制服を着た少年少女からディアロは背中を叩かれる。


「?」


 突然のことでディアロは思わず首を傾げてしまう。

 そして犯人ということから昨日から探している事件のことだと察した。


(もしかして探しているのを三学年の先輩から聞いたのか?)


 ほとんどの生徒は部活に行ったり帰宅していたかもしれないが残っていた生徒もいたのだろう。

 その生徒に最近の事件の解決をしようとしていることを話したのかもしれない。

 もしくは気づかない場所から見ていたのかもしれないと考える。

 目立って面倒だなとディアロはため息を吐く。


「おいおい。お前は生徒会のメンバーだろ。ディアロを見習えよ」


「そうそう。協力してあげたら」


 そんな声が聞こえてディアロが視線を向けるとダイキが責められている光景が見えた。

 だがその顔には責めている方も笑みが浮かんでおり、からかっているだけだと想像できた。


「いや協力しているから!ただ単純に役割分担で目立ってしまったのがディアロなだけだからな!」


 その言葉と共にディアロは視線を向けられて頷く。

 それを確認してあちこちから安堵のため息が聞こえてきた。

 もしかしたら一人で危険なことをさせられているのかと考えたのかもしれない。

 そうでないと確認して安堵のため息を吐いたのだろう。


「そうなんだ。でも話を聞くだけでも危険な人たちみたいだから気を付けてね」


 そして自分を心配してくれる声にディアロは頷く。

 実際に犯人らしき相手に襲われたのだ。

 自分の身を護るためにも警戒するべきだろう。




「ねぇ……。あんたは大丈夫なの?」


 授業が終わり休憩時間の間に話しかけてきたのはレイだった。

 珍しく声を掛けてきた少女にディアロは驚く。


「大丈夫だよ。いざとなったら逃げれば良いし」


「ふぅーん」


 それだけを聞いてレイは距離を離れる。

 あまりにもそっけない態度に何となく気になった程度なのだと理解する。

 もしかしたら知っている相手が被害者のように壊されたりしたら寝覚めが悪いから気になったのかもしれない。

 そんなことは無いようにディアロは気を引き締める。


「もしかして心配されたのか?」


 レイが去ってからディアロに声を掛けてくるものが近づいてくる。

 ニヤニヤと楽しそうだ。


「多分……?」


「多分って、お前」


 呆れたようにため息を吐いて肩を抱いてくる。


「あのレイさんだぞ。いつも男子には警戒が激しいのに近づいて声を掛けられるなんて羨ましい」


 その言葉にディアロはレイに視線を向けるが、そこには女子と楽しそうに笑いながら話している光景がある。

 男子にだけ厳しいのには何か理由があるのだと想像させられてしまう。


「本当に女子相手には笑顔なんだよなぁ。この学校で一番のイケメンでも手厳しいから女子には安全な相手として仲良くなっているらしいし」


 逆に言えば少しでもグラッとした様子を見せれば同性相手から嫌われていたのかもしれないと想像してしまう。

 もう一度、レイを見る。

 スレンダーながらスタイルが良く白い髪をしている。

 本人曰く恐怖で白くなったらしく男を激しく警戒しているのもそれが理由だと想像させられてしまう。


「………やべ。そろそろ時間じゃん」


 時計を見ると次の授業まで一分も切ろうとしていた。

 他のクラスメイト達もそれぞれ話を切り上げて次の授業の準備をしている。

 ディアロも次の授業の準備をし始めていた。




「それじゃあディアロ、行こうぜ!」


 全ての授業が終わり生徒会室へと行く準備をしているとダイキがディアロに声を掛けてくる。

 その声に頷いてディアロは頷いてダイキの元へと歩いていく。

 途中、ディアロの背中に複数の視線が感じてしまう。

 そのことに僅かに苦笑を浮かべてしまう。


「………どうしたんだ、ディアロ?」


 正面からディアロが苦笑したのを見たダイキはおもわず質問するが、それに答えずディアロは先に生徒会室へと歩いて行く。


(どういうことだ?)


 ダイキはディアロが苦笑したことに怪しく思ってしまう。

 何となくだが隠し事があるのではないかと疑ってしまう。

 本当に何もないのなら口に出せば良いのに何も言わずに先に進んで有耶無耶にしようとしているようにしか見えない。

 最初に聞き込みに行った時も、もしかしたら最初から気付いていて確認するために行動を映したのかもしれないと怪しんでいた。

 できれば推測だけでも良いから全部、話してほしいと思っている。


「俺なら話せなくても先輩から大丈夫か?」


 小声でダイキは生徒会の先輩にディアロの推測を全部話してもらうための方法を考える。

 そうすれば話してもらえる可能性があると予想したからだ。

 少なくとも自分よりは年上の先輩たちの方が頼れるかもしれないと考える。


「何が?」


 聞こえていたらしくてタイガはディアロに何でもないと答える。

 自分よりも先輩の方が頼られるのはわかりきっていることだが、それでも悔しいとも思っていた。

 今はともかく近い未来には先輩たちよりも頼れるようになろうと目標を決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ