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時を駆ける自転車

作者: 僧侶A

俺の自転車は少し変わっている。


1週間に一度奇妙な事が起きる。


家から動かしていないはずの自転車に何かしら物が付いているのだ。


それもゴミでは無く、誰かの所持物と思われるものが。


今日もまた物が付いていた。


今回はタバコのようだ。未成年なので当然吸えないのだが。


箱を見てみる。親が吸っているやつと同じ銘柄ではあるが、パッケージが少し違う。


分かりやすく言えば今タバコには絶対に書いてあるはずの警告文が存在しないのだ。


数年前からタバコには健康被害に関する警告文を入れることが義務化している。そのためこんなタバコは現在は存在しない。


まあコレクターが残しているかもしれないが。


この自転車はこんな感じで昔の物を持ってくる。


それをネットで調べていつのものかを知ることが最近の楽しみである。


たまに法律上危ういものが来てしまうが。


火縄銃が来た時はどうしようかと思った。銃は法律で所持が基本的に禁じられている。そんなもの見つかったら終わってしまう。しかしどうしようもなかったので家にまだ眠っている。


ここで俺はふと思った。この自転車が過去から物を持ってくるタイミングで自転車に乗っていたらどうなるのだろうかと。


翌週俺は自転車にまたがりその時を待った。


すると思惑通り過去に飛んだ。俺が住んでいる町だった。


自転車を漕いで色々と散策してみることにした。


現代と大きく違うというわけではないが、端々に過去の香りがする。


昔通っていた店や見ていた看板などが存在している。店に入ってみたいが、自転車から降りてしまうと元の時代に戻れない可能性がある。


仕方ないので自販機で我慢する。今は亡きパッケージのものや販売停止になっているものを購入した。


その後自転車で周囲を散策していると両親を見つけた。


そして連れているのは3歳くらいの俺だった。


流石に俺が同一人物だということは分かりようもないので気付かれることは無かった。


俺はこんな風に愛されていたのだと改めて実感した。


そう思うと俺は両親に声をかけたくなった。例え気付かれていなくても。


その時、俺は元の場所に戻された。


声をかけられなかった。


過去に干渉したら悪い影響があるかもしれない。だからこそこれで良かったのだろう。



そうだ。

久々に親に会いに行こうかな。

読んでいただきありがとうございます。よろしければ他の作品もご覧ください。

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