表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/47

(たのしいまものずかん)02

※多分ここのコンテンツが一番えげつない



(見下ろす者)

 見てるよ。ずっと見てるよ。

 きみは朝起きたら、まず目覚まし時計を止める。それからカーテンを開けて、顔を洗いに行く。

 何で知っているかって? ずっと見ているからさ。


 お風呂に入るときは、いつも左肩から洗う。次に右肩。

 そんなに強く洗ったら、きみの繊細な肌に傷がつくよ?

 シャワーだけじゃ駄目。ちゃんと湯船につからなきゃ。

「私一人暮らしなのに、タオルが二枚出ているの」


 またお弁当を買ってきたのかい? 駄目だよ、たまには自炊しなきゃ。

 そうだ、今度作ってあげよう!

 きみのことずっと見てるから、好みだって完璧に把握しているよ。だってずっと見ているから。

 ほら、今もきみを見ているよ。ああ、こっち見たね。今目が合ったよ。

「視線を感じるの。私しか部屋にいないのに」



(誘拐犯)

 ぶちりともいだ肉を、魔女が放った。

 足許で手を伸ばす不死者が、我先にとそれを引き千切る。

 鳩へパン屑をやる気軽さで、魔女が肉をもいだ。そこにあった悲鳴は、今はもうない。

 放物線を描いた赤い肉が、べしょりと地面に叩きつけられた。屍肉が集う。

 最後に残った左足を脛からへし折り、魔女が投げ捨てた。

 黒のローブは絞れるほどに滴り、無感動な目が眼下を見下ろす。ぼきぼき、骨の砕かれる軽快な音が響く。

 立ち上がった魔女が、崖下へ向けて指を鳴らした。立ち昇った火柱が不死者を包む。

 何もなくなった地面を見下ろす魔女の顔は、ぞっとするほど美しかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ