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(たのしいまものずかん)01

※きっとここのコンテンツが一番えげつない



(夜に潜む者)

「ねえねえ、あっちからおいしそうなにおいがするよ!」

「ええ? 本当に?」

「ほんとほんと! ほらあなたも、あっちを見てみてよ!」

「あーうー」

「だめだよ。そいつ、耳が潰れちゃってるもん。聞こえないよ」

「うーん、残念! ねえねえ、ほら、あっちの方見てよ!」

「うーん、よく見えないなあ……あ! 本当だ、何かいる!」

「ほら、本当だったでしょう! ねえねえ、何がいるの?」

「やわらかそうな子ども!」

「わーい、ごちそうだー! いっただっきまーす!!」

+ New family !!



(ドラゴン)

 がおー! どうだ、ぼくはつよいんだぞー!

 ぼくがさけぶと、みんなにげだす。

 あっはは! いいきみだ。どうだ、まいったか!

 がおー! がおー!!

 いつのまにか、みんないなくなってた。

 さみしいな。ねえ、ぼくのこえ、きいて。

 もっとおおきくさけんだら、だれかみつけてくれる?

 がおー!! がおーっ!!

 さみしいよ。ひとりぼっちはやだよ。ねえだれか、ぼくをみて!



(地を這う者)

「ひとつになりましょう!」


 女が笑った。男は逃げた。山を越え、海を越え、男は逃げ続けた。

 女は追った。どこまでも男に追い縋った。

 男の生活は崩壊した。男は全てを失った。

 家も、仕事も、家族も、ありふれた幸せも、何もかもを失った。

 やがて男は諦めた。最後に残った自分自身さえも、男は諦めた。

 女は笑った。舌なめずりをし、恍惚とした顔で男を追い詰めた。


「ひとつになりましょう!」



(ゴーレム)

 苛々とした仕草で、男は爪を噛んだ。

 彼女が他の男の元へ嫁ぐ。何と呪わしいことか!

 彼はまず甲冑に呪いをかけた。

 甲冑は独りでに踊り出し、侍女の首を刎ねた。

 次に彼は石像に呪いをかけた。

 またしても踊り出した石像は次々と使用人を食い千切り、空洞の腹をたぷたぷと言わせた。

 彼は屋敷中の彫像に呪いをかけた。

 彼の肉体は干乾び、命までもが吸い取られた。

 彫像は今日も踊る。



(石の人)

 彼の創る作品には命が宿る。そう実しやかに囁かれた。

 彼の手掛けた女神像が、夜な夜な涙を流したそうだ。

 涙の筋が石で出来た彼女の肌を溶かし、美しい彼女の造形を変える。

 どうか彼女の涙を止めてくれ! 彼の元に新たな依頼が舞い込んだ。


 彼が一抱えほどの石から生み出したのは、赤子の像だった。

 女神像の伸ばす腕に赤子が抱えられて以来、彼女は涙を流すことをやめた。

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