第三十七部
「二人で会いに来てくれるなんて何かいい報告でもあるのか?」
武田はニコニコしながら、山本と黒田を迎えた。
「武さんが何を考えてるのかは知りませんし、どうでもいいですが、今はまじめな話をしに来ているので。」
武田は山本の後ろに立つ黒田をチラッと見ると、黒田もなぜここに来ているのかわからないようで、山本を見ていた。仕方なく武田が、
「何か捜査で困ったことでもあったのか?」
「武さんは、国会で導入が決まった新型の信号機を知ってますか?」
「ああ、小型カメラで四六時中監視するやつだろ?」
「ええ、それが大阪の国道26号線と163号線に試験的に導入されていたことはご存知でしたか?」
「まあ、大阪府警本部長が勝手にやってたのを後になって報告されたから、知ってたかというと微妙だな。」
「その映像で確認してもらいたいことがあります。俺らが直接見れればいいですが、時間もありませんし、調べてもらって欲しいんです。」
「時間がないってどういうことだ?」
「次に被害者になりそうなのが、保護司の小森重蔵という男だと俺らは思ってます。小森は週末の保護司会に参加するところを狙われる可能性が高いと俺は思ってます。」
「ああ、あの小森か。まあ、あくどいことしてる奴だったからな。
で、警護は?」
「一応、部下を一人付けていますが、犯行までに犯人を捕まえられたら、それに越したことはないので。」
「わかった。具体的にはどうすればいい?」
「藤田敏郎・遠野康彦の二名がその信号機のカメラに写っていないかを調べて下さい。」
「わかった。そのデータを後で私に送ってくれ黒田君。」
「はい、わかりました。」
黒田が返事をして頭を下げた。
「じゃあ、よろしくお願いします。」
山本はそう言って、部屋を出ようとし、黒田も一緒になって出ようとすると、武田が
「山本は少し残ってくれ。黒田君は戻って資料を送ってくれ。」
「何ですか?」
山本が不機嫌そうに立ち止まり、黒田が「失礼します」と言って出て行った。
「あっ、ああ、この事件が終わったら、飯でも一緒に行かないか?」
「解決してから誘ってください。」
「まあ、そうなんだが、お前に会わせたい人もいるんだ。解決したらまた誘うから絶対にあけといてくれ。」
「わかりました。他にも何か?」
「いや、それだけだ。」
「じゃあ、失礼します。」
山本が出て行くと、武田は一人でつぶやいた。
「あの人にもあんな態度で会われたらどうするか・・・・」




