大人は子供
「痛てっ!」
バスの車内でサラリーマンが私の足を踏んだとしても
言葉で謝ろうとはしない。
眉毛をハの字にし、軽く会釈をするだけで
それで済むと思っている。
年配の人は言葉で謝ろうとするが、
目線は横を向いている人が多い。
言葉はこっちへ来るのだが
目の焦点は私と合わないケースは多い。
あるアウトレットで親子連れが私の横を
通り過ぎた時、子供が憶測を誤って私に当たってしまった。
親は知らない振りをしてそのまま歩いて行ったが
おそらく姉妹と思われるお姉ちゃんが
「ごめんなさい」とつぶらな瞳で私の目を見て、謝ってきた。
私は咄嗟の出来事に言葉を返せず、姉妹は去ってしまった。
謝ってきても、結局言葉を返せない大人。
大人は子供であり、
子供の方がよっぽど大人である。