生意気生徒会長 3
なんなんだ、あれは。
飛島さんにも花沢先生にも色目を使うくせに、
彼女がいたんじゃないか。
っていうか、女性全員にちょっかい出しているんじゃないか。
なんて最低な会長だ。
「失礼します」
あんな会長の下で働くなんて、僕は嫌だ。
「・・・森本さん?」
「え?・・・あ、飛島さん、お疲れ様です!」
「あ、ごめんなさい。驚かせて」
「い、いや・・・」
飛島さんが部屋に入ってきたことに、全然気づかなかった。
会長のことなんて考えていないで、しっかりしなきゃ。
「・・・・・・飛島さん」
「はい」
「会長にその・・・セクハラとかされました?」
「・・・・・・え?」
きょとんとする飛島さん。
「あ、ご、ごめんなさい!変なこと聞いて」
「い、いえ・・・たとえばどんなことですか?」
「その・・・」
1時間ほど前に見た光景がよみがえる。
「抱きしめられたり、とか」
「いえ、全然」
「・・・そうですか」
よかった。
飛島さんにはそこまではしていないようだ。
ということは、
そこまでしたあの女子生徒は、やっぱり彼女・・・?
「会長はチャラチャラしているように見えて、優しい方ですから」
え?
見ると、飛島さんが微笑んでいた。
「う、嘘だ!」
「本当ですよ。いつもの口調も、1年生の私を気遣ってのことだと思いますし。ほら、私って内気なので」
「いや、でも・・・」
「じゃあこれ、言っちゃいますね」
得意げな口調で、飛島さんは言う。
「会長、私のクラスの生徒の名前、ほぼ覚えてるんですよ」
・・・嘘だ。
あの会長がそんなことできるわけがない。
いや、会長じゃなくても、できるわけがない。
「・・・女性だけ?」
「男性もですよ。この間クラスの男子が噂してました」
「・・・・・・」
本当、なのかな。
でも会長の女性への態度は軟派過ぎる。
でも・・・
「伊波くん、いる?」
そのとき、花沢先生が勢いよく入室してきた。