生意気生徒会長 1
生徒会室のドアを開くと、
爆音が襲ってきた。
「・・・会長」
中に入って、慌ててドアを閉める。
そして、うまい棒を咥えている会長に向かって一発。
「いったーい!何すんの、臣ちゃん」
「逆に聞きます。何してるんですか」
「きこえなーい」
「っ!」
その言葉にいらついたので、プレイヤーの電源を切る。
「あーもう、なんで消しちゃうんだよ」
「うるさくて会話にならないからです」
「じゃあ、んぐ・・・かいわひらひゃいい」
「咥えながら話すな!」
口から菓子を引っこ抜く。
「ああー、せっかくのマーボー味が・・・」
「なんて味のもん食べてるんですか!まったく」
生徒会室で音楽を聴き、菓子を食べる。
彼こそがわが校の生徒会長・・・伊波隼人だ。
「ところで臣ちゃん、なんか用?」
「花沢先生が探してましたよ。なんでも弁論大会のことで相談があるとか」
「奈津美ちゃんが?俺に相談!?」
「弁論大会の、ですよ」
顧問の花沢先生の名前を出した瞬間、飛び上がる我が生徒会長。
どうしてこの人が生徒会長に選ばれたんだろうか。
どうしてこの人は、
僕を副会長にしたのだろうか。
いまだに謎だ。
そんなことを考えていると、部屋のドアが開いた。
「失礼します」
「あ、おっつー桜ちゃん」
「お疲れ様です。飛島さん」
入ってきたのは書記の飛島さんだった。
その数分後に会計の武山さんも入ってくる。
「あー疲れた」
「お疲れ様です。武山さん」
「ホント疲れたよ。なんで俺がサッカーしなきゃいけないわけ?」
「・・・また助っ人頼まれたんですか?」
「そ。あーもう何もしたくねぇ」
武山さんは会長の隣にどかっと座る。
「桜ちゃん食べるー?」
「うまい棒、ですか?」
「そ。はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
飛島さんは会長から菓子を受け取る。
「うまい棒を食べる女の子って・・・アレだよね」
「会長、パワハラな上にセクハラですよ」
「アホだな、隼人」
「?・・・では、いただきます」
咥えてくれることを期待している会長の思惑虚しく、
飛島さんは中で割ってから、欠片を摘んで食べていた。
女子力が高い。
「・・・あれ?」
「残念でしたね。会長」
「ええー、桜ちゃん上品すぎ!ほおばってくれるんじゃないの?」
その場に崩れる会長。
あきれる武山さん。
黙々と食べ続ける飛島さん。
これが、我が生徒会の日常だ。