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燎原の覇者  作者: さかもと希夢
遼遠の彼方
179/179

あとがき

シリーズ全体のあとがきです。

載せるべきか悩みましたが、小説では語れなかったこのシリーズのテーマが書かれているので、同人誌版最終巻掲載のあとがきを、修正無しでそのまま載せさせていただきます。

燎原の覇者シリーズを全話お読みいただき、本当にありがとうございました。



 一年ぶりになります。お元気でしたか? さかもと希夢です。今年は異常気象であちらこちらで災害が起こっておりますが、皆様ご無事でしょうか? 

 何も出来ませんが、早い復興をお祈りもうしあげます。

 さて、ついにこの十巻で燎原の覇者が完結しました! 一巻から読み返してみたのですが、一巻が出たのは今から七年前の二〇一一年八月のことでした。その際もあとがきで災害について書いていました。ここ数年で災害が多くなり、とても心配です。

 それはさておき、完結です。完結しましたよ?

 何だか読む人が読んだら、リッツとエドの関係ってちょっと気持ち悪く感じるかも知れないなと思ったのですが、私はこれで良かったと思っているので合わない人は申し訳がない!

 さてさて、ここからはこの本のというか、このシリーズ全体の総括に入っていきますよ?

 あとがきから読んでいる方はここでそっと本を閉じ、最初から読んでください。ネタバレ書きますからね!?

 準備はいかがでしょう? よろしいですか?

 ではでは始めます。

 この燎原の覇者シリーズは元々『呑気な冒険者シリーズ』のスピンオフでした。

 呑気な冒険者シリーズ(以下、本編)では傭兵上がりなのに、女好きのへたれな恋愛下手で、年下の想い人に振り回されるし振り回す本心は根暗な陽気な男リッツ。

 同じく何者にも負けぬ威厳を持ち、常に諭すように若者を導く、超然とした元国王にしてスーパー爺さんのエドワード。

 この二人が四十年前に出会って共に歩み、別れるまでの物語でした。

 本編で時折この二人の過去を書いたのですが、私の中でそちらの世界が大きく膨らんでしまい、これは書かねばならないだろうと心に決め、安易に書き始めてしまったのですが、兎に角苦労しました。

 そもそも戦記を書くなんて……苦手分野過ぎます。戦記物なんて田中芳樹先生と司馬遼太郎先生しか読んだことがないのに!

 その上、共存と共依存は何が違うのかとか、互いを信頼しあう事は何かとか、難しい事てんこ盛りで書いていて頭がパンクしそうでした。

 結局本編を好きで読んでくれていた読者を置き去りにし、メンタルを前面に押し出した青春群像物であり、ブロマンスになったのですが、ここまで着いてきて付いてきてくれた人がいるのか本当に心配です。

 でも書いちゃいました。ごめんなさい。私はこういう話が好きです!

 でもね、これは飽くまでもブロマンス物で絶対にBLでは成立しない物語なので、そこの所を深読みしないでくださいね。

 分かっていますとも、このシリーズ書きながら文ストの腐を書いていた私ですもの、疚しいと思うでしょう。でも絶対にないですからね~。

 それはさておき、真面目な話に戻しましょう。

 シリーズ全体の総括です。

 第一巻『樹下の盟約』は、出会いの物語でした。互いに孤独を抱えた二人の青年が出会ったことで、戦乱の世の伝説が始まりました。伝説になることなど知らない二人は、もがきながら互いに友という今迄持ち得なかった宝を得ました。

 第二巻『冀求の種子』は、友となった二人が初めて共に立ち向かう戦いの話です。戦いの中で大切な人を失い、それを支え合うことで乗り越えて行く事を知りました。

 第三巻『一対の英雄』は、国王を目指すために、違う場所でそれぞれの戦いをすることで成長していく物語でした。この中でリッツは自分の闇を再び意識し始めるのです。

 第四巻『莫逆の誓い』は、リッツが寿命の長さに恐怖を覚えていることをエドワードが知り、その上で互いに生きていくため誓いを立てる話でした。

 第五巻『邂逅の光明』は、王国軍とぶつかり、様々な人と出会うことでエドワードは王族として人を認めるのはどういうことかを知ります。それを支えたいのにリッツは闇を深めていくのですが。

 第六巻『背徳の功罪』は、人を信用することは自分の価値観を押しつけることではないということをテーマにしました。その為、最終刊へと繋がるエドワードの本心が垣間見える巻でした。

 第七巻『燎原の烈風』は、パトリシアの成長の物語であり、ベネットの過去を清算する物語となりました。人の許しを書くのは本当に難しい。

 第八巻『争覇の終極』は、エドワードの感情に焦点を当てました。一人の青年として感情的に動く時、友のリッツがどう支え何を思うのかを描きました。

 第九巻『不軌の権謀』は、本編でリッツが「俺が役者にならなかったのは芸術界最大の損害だな」と口にするきっかけの話です。本編でも人の真似をするリッツですが、何故出来るのかを書きました。

 第十巻『遼遠の彼方』この本です。

 互いを思う故に離れるしかなくなる二人。互いの幸福を願うために自分を犠牲にするのは正しいのか、それは本当に互いを救うのか。それを考えながら書くのは辛かった。

 最後の最後で呑気な冒険者シリーズの三巻のエピソードをエドワードの視点で入れました。


 燎原のシリーズで解決しなかったリッツの孤独は本編である『呑気な冒険者シリーズ』に続きます。もし燎原を読んでくれた方で、本編をお読みでない方は、よろしければ読んでみてください。

『小説家になろう』で全文公開しています。燎原の覇者シリーズと違い、王道ファンタジーコメディですが、エドワードの心からの願いが叶う物語でもあります(^^)


 このシリーズを八年書き続けてみて思った事があります。それは共存と依存に本当は区別なんてないンじゃないかなということでした。

 最近『それ依存じゃない? いけないことでしょう?』みたいな風潮を感じます。確かに依存からの共依存の果ての暴力や殺人などは私も絶対に認めません。

 ですが依存という関係にあっても、共にそれを認め合い、互いを尊敬することでそれは共存へと昇華するのではないかと思うのです。

 依存と共存の違いは多分、互いへの尊敬と、互いの価値観を認められるかどうかの違いだと思うのです。依存という鎖で繋がってしまって苦しい時、ふと立ち止まってぶつかり合い、信頼と尊敬を持てれば、共に支え合って生きていける共存関係になれるのでは無いかと私は考えます。

 だからもし、自分が依存してしていると思った時、相手に自分をぶつけてみればそこに違う信頼の形が出来るかも知れません。

 二人の関係を考え続けて私が辿り着いた結論ではありますが、この燎原の覇者の物語の中で、何かを感じ、何かが心に残ってくれたならば、こんなに嬉しい事はありません。

 長い長い物語ですが、お付き合いいただき本当にありがとうございました。

 最後になりますが、売り子を手伝ってくれるKさん、娘、ありがとう。助かっています。そして家事を放棄して『原稿が~!!』と叫ぶ私を支えてくれた家族に感謝を。



二〇一八年八月一日  さかもと希夢 拝

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