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燎原の覇者  作者: さかもと希夢
背徳の功罪
104/179

<14>

「リッツ!」

 落ち込みかけていた耳に、パトリシアの声が飛び込んできた。

「パティ……俺……」

「乗って。きっと馬に乗った村人はオストに着いてる!」

 オストの街とエールの村はほんの五キロしかない。三十分前に馬で出ていれば、とっくに着いているはずだった。

 無言のまま後ろに飛び乗ると、パトリシアの後ろから手綱を掴んだ。腕の中にパトリシアを抱えたような形になる。背の高いリッツの胸に、パトリシアの頭があり、その身体をぎゅっと包み込むように手綱を引いた。

「リッツ! ちょっと!」

「ごめん、我慢して。飛ばすよ」

 有無を言わさずに、リッツは馬の腹を蹴った。グレインからずっとパトリシアを乗せてきた馬はリッツにも慣れており、怯えることなくリッツの意に従う。

 村人のたいまつと、微かな月明かりだけを頼りに、馬は闇を切り裂いて駆ける。見る間に速度は上がり、徒歩の一団は早々と後方に消えていく。

 風はやはり冷たい。吹き付けてくる冷たい秋風は,肌を刺すようだ。

 でもパトリシアの背中が温かくて助かった。パトリシアも同じようで、大人しくリッツの腕の中にいた。二人とも慌てて飛び出してきたから薄着なのだ。

 パトリシアのぬくもりを感じるだけで、少し落ち着いてきた。どうすれば止められるか、落ち着いて考えるしかない。

 村にされたのと同じように、オストの街に無差別に火を放てば、何の罪もないオストの人々が傷つく。そして傷つけられた人々が、今度はエールの村人を憎む。

 そんなのは絶対に駄目だ。

「リッツ」

 パトリシアに小さく名を呼ばれた。

「何?」

「私たちで大丈夫かしら。ここにはエディも、お父様も、おじさまもいないわ」

 先ほど感じたリッツの疑問と同じだ。不安は二人を大きく包んでいる。今まで何かあれば、二人ともエドワードに最終判断を委ねてきた。でもここに居るのは二人きりだ。

「……俺さ、一人じゃなくて良かったと思うんだ」

 呟くようにパトリシアに告げる。

「だってパティがいるじゃん。俺ひとりじゃもっと大混乱だよ。俺は所詮、エドの犬だし」

「そうね。私もリッツがいなければ、追い詰められてたわ。私も所詮、モーガン侯の娘だし」

「俺たちは偉大な人物の所有物ってわけか」

「所有物って言わないで。でも……だからこそ……」

 言葉を切ったパトリシアの緊張感が、背中を通して伝わってくる。言われなくともパトリシアが考えていることは分かった。リッツも同じようなことを考えているからだ。

「エドとおっさんの評価を下げちゃいけないんだ」

「その通りだわ」

 エドワード・バルディアは王太子で、ジェラルド・モーガンは総司令官だ。この二人の評価が下がると、全軍の士気に関わる。

 お互いに絶対に失敗できない局面だと分かっている。だからこそ身体が凍りそうに怖いのだ。でも逃げるわけにはいかない。逃げることこそが最悪の行為だと分かっている。

 再び黙って、リッツは馬を走らせた。目の前が微かに明るくなっていることに気がついたのは、一団と別れてから十数分後のことだった。

「森を抜けるぞ」

「ええ。もうすぐオストね」

 オストは森を抜けた所から、少し下ったところにある街だ。森を抜ければその街の全景が見渡せる、見通しのいいところだった。

 森の暗闇が切れ、目の前に蒼い闇が広がった。途端に目に飛び込んできたのは、半月の明かりに照らされたオストの街だった。

「……なんで……」

 馬を走らせながら、リッツは呻いた。パトリシアも言葉を失ったように腕の中で身体を硬くした。

「何で……燃えてるの……?」

 目の前でオストの街から煙が上がっていた。しかも三本の各村から街へと続いている道のどれもに、たいまつを持った人々が歩いていた。

「エールだけじゃないわ……」

 絞り出すようにパトリシアが呟いた。

「え?」

「他の二つの村人たちも、同じように攻め込んでるのよ、オストに!」

 街から悲鳴を上げながら、沢山の人々が溢れてくる。時間が時間だからだろう、人々は皆、着の身着のままだ。

「消さないと!」

「うん!」

 馬を更に街へと急がせる。途中に逃げてくる人々、街に入ろうとする村人とすれ違った。道だけではなく、草原にまで人々があふれ出していた。もうこれ以上は無理だという所まで来ると、リッツは馬を飛び降りる。

「パティ、走れる?」

 問いかけながら手を伸ばすと、パトリシアはリッツの手を借りて、身軽に馬の背から飛び降りた。

「走れるわ」

「じゃあ行こう!」

 人混みをかき分けて、二人は走った。一刻も早くこの放火を止めさせ、消火活動に入らねば、それだけが頭にある。もしそれが遅れたら、火が街を焼き尽くしてしまう。

 ティルスのように。

 逃げてくる人の波に逆らって、リッツとパトリシアは街へと突入した。どうやら煙が上がっているのは、それほど多くの建物ではないらしい。

「村人たちがいそうな所が分かる?」

 走りながら少し遅れ気味のパトリシアに問うと、息を切らせて答えてくれた。

「この街を治めるオスト伯爵の所よ」

「了解! 先行くから!」

 パトリシアを置いて、リッツは煙の匂いが立ちこめる街の中を駆けた。石畳に人々の悲鳴や、絶望の吐息が響き渡る。

 三つの村からみんな人が出たというのだろうか。どうしてみな、揃いも揃ってこんなことになったのだろう。考えれば考える程、訳が分からない。

 街の中央広場を通り過ぎたところで、巨大な館が目に飛び込んできた。

 円形広場の外側、二分の一を誇る扇形の土地に、優美な曲線と、古めかしい伝統美の直線で飾られた、荘厳な建物が現れた。

 その建物の、尖った屋根の上から、もうもうと煙が上がっている。それだけではない、よく見れば中央にある四階建ての建物のあちらこちらから炎が上がっているのだ。

「ここか!」

 リッツは館の入り口へ駆け込んだ。鉄でできた柵は無残にも壊され、美しい庭園は踏み荒らされていた。村人たちがやったことは間違いないだろう。

「何でこんなことに……」

 ギリと歯を食いしばって、リッツは屋敷の入り口に向かった。するとそこに怪我を負った男が、ひとりで立っていることに気がついた。

 その男は舞踏会で身につける、洒落た銀の縁取りの入った服を着ていた。固めた茶金色の髪は、なにがあったのか、かなり乱れている。そしてその男は、リッツを見て胸に手を当てて頭を下げたのである。

「どうも。ようこそお越しくださいました。精霊族の英雄、アルスター殿」

 殴られでもしたのか、腫れ上がったその顔だが、見間違えるはずなどない。

「……ハウエル……何故ここに……?」

「申し訳ありませんが、機密です」

 いつものように唇の端を微かに持ち上げてハウエルは笑顔を作る。

「ここで何をしたんだ?」

 ゆっくりともう一度聞いたが、答えはなかった。その代わり、いつもの人を食った笑みを浮かべる。

「メッセージ、お受け取り頂きましたか?」

 やはりあのメッセージの主は、この男だった。

「お前、知ってたのかよ! 村が放火されるって分かってたのか!」

 感情的なリッツに、ハウエルは当然のように答えた。

「もちろん」

「もちろんって……」

「三村一斉の放火を、貴族にたき付けたのは私ですからね」

 平然とそういったハウエルに、リッツは自分の耳を疑った。

「たき付けた?」

「その通りです。オスト伯にそうしてはいかがかと進言しました。彼は喜びましたね。平民を懲らしめた記念にパーティでもという提案にも簡単に乗ってきましたよ」

 言葉を失い、半ば立ち尽くしているリッツに、ハウエルは笑いかけた。

「当然他の村々にも警告を出しましたよ。どうです?死者は出なかったでしょう?」

 この男が放火をさせた。裏切ったのか、革命軍を。そう思った途端に頭に血が上った。反射的に、煤けたハウエルの襟元を掴み上げる。

「お前はどっちの味方だ!」

「もちろん革命軍の味方ですが?」

「じゃあなんで、民を虐げるようなことをする!」

「更なる悲劇から救ったまでですが?」

 襟首を掴み上げられているというのに、ハウエルは顔色一つ変えない。

「どういうことだ?」

「あなたは、伯爵に脅迫された街の人々が、村人たちを惨殺するところが見たかったですか?」

「……意味が……」

「オスト伯は、遊撃隊に業を煮やしていましてね。民衆相手では何もできまいと高をくくって、次はオストの民衆に村を襲わせようとしていたのですよ。だから私は、オスト伯の耳元に、こう囁いたのです『それよりも焼き討ちなどいかがですか? さぞかし冬空に映える美しい光景となりましょう』と」

 リッツは自分が襟首を掴み、引きずっている男が理解できなかった。その思考回路に、その考えに心底嫌悪した。だが問うことをやめれらない。理解できないから、聞くことしかできないのだ。

「それは民に対する裏切りだ!」

 叫んだリッツに、ハウエルの瞳がスッと細められた。いつものにやけた笑顔が消え、静かにリッツを見据えている。これはリッツを冷静に称した、あの時の目だ。

「裏切りだと? 国民に知られぬところで彼らを守っていることを裏切りだというのか?」

 ハウエルの口調から、いつものからかい口調が消えた。怯むことなく、リッツはハウエルを見据える。

「そうだ。放火は一歩間違えれば多数を殺す。それを何故国民に仕掛けるんだ! お前が主犯だと知られれば、革命軍の名声は地に落ちる!」

「知られなければいい。知られなければそれは裏切りではない」

「人を利用して、暴動を起こさせるのは悪だ!」

「人死には最低限に抑えた。実に有効な手段だ」

「人の命の重さを数で量るのかよ!」

 襟首を掴んだまま、半ば掴み上げると、ハウエルが一瞬だけ苦痛に顔を歪めた。だが次の瞬間に、大声で怒鳴り返された。

「ならば綺麗事で多くの人命を失うことは、貴様の正義か!」

 答えることができず、リッツは手の力を緩めた。自らの勝利を確信したのか、ハウエルはいつもの薄ら笑いを浮かべた。言葉に詰まるリッツを、ハウエルが見下すようなあの目つきで見てくる。

「大勢の犠牲を出さぬため、多少の犠牲は必要でしょう。それを助ける手も打った。何が不満か?」

 からかわれた気がして、リッツは強く反論した。

「不満なんて軽いもんじゃない! あんたの論理は間違ってないのかよ! あんたは止めるべきじゃなかったのか!?」

「どちらを?」

 間髪入れずに訊ねられ、リッツは口ごもる。

「それは……」

「どちらを止めれば良かったと?」

 リッツは押し黙った。答える言葉を持たなかった。リッツにはその状況でどちらかを選べない。

「それは……」

「迷っている間に、あなたは大勢を失う」

 ハウエルの断言に言葉も返せず、俯いたまま唇を噛む。

「自分のことを棚に上げて、私を責めるわけですか?私を嫌っているのは重々承知しておりますが、私は言ったはずですよ。エドワード殿下が作る世界の美しさを見るためなら、私の力を尽くすと。私は私にできうる最上を尽くした。あなたが選べずに立ち尽くすだろうことまでも」

「俺は……」

 何を答えればいいのか、どう言葉を繕ったらいいのか、頭の中が真っ白で何も出てこない。リッツの混乱など、ハウエルは承知の上だろう。更にたたみ掛けるような言葉を浴びせてくる。

「それなのにあなたは、私を決して認めない。あなたはあなたと同じような価値観を持って、エドワード王太子殿下を敬愛し、その足下にひれ伏す者しか認められないのだろう」

「そんなことない!」

「あなたの信頼はそのようにしか見えない。アルスター殿、民衆というのは薄情な生き物ですよ。誰が救い主になってもいいのです」

「え……?」

「彼らを助け、導いてくれるのならば、エドワード王太子殿下でなくともいいのです。今は幸せを作ってくれそうなのが殿下であるから、民衆はついて行く。それはあなたのような価値観で、殿下を慕ってのことではない。それを部下になる者を含め、誰彼ともなく要求するのは傲慢だと思いませんか?」

「傲慢……?」

「あなたと同じ価値観を持たぬ者は、真に国を考えていないとおっしゃるのでしょうかね?」

 リッツは唇を噛む。目つきが信じられない。仲間を諜報活動の対象にすることが許せない、リッツの大切な仲間を、大切に思わないことが許せない。

 ハウエルに対するこれは全て、リッツ個人の感情だ。王太子としてのエドワードが崇められ、人々の英雄へと祭り上げられていくごとに、自分はこんな風に狭量な考えになっていたのだろうか。

「私はエドワード殿下を信じておりますが、盲信してはおりません。その事に気がついたから、あなたは私を疑っている。だから余計に私のしたことが許せない。違いますか?」

 言葉も無い。ハウエルの襟首を掴む自分の腕が微かに震えるのが分かった。

「そんなあなたが、これからこの先の出来事を治められるんですかね。麗しの精霊族である、美しいあなたは、残念ながら王太子殿下がおらねば何もできない」

 それはきっと本当のことだ。だがエドワードがいないからと言って、エドワードへの希望を人々から奪うわけには行かない。リッツにはやるべき事がある。顔を上げ、ハウエルを見据えると、ハウエルは平然と肩をすくめた。

「急いだらどうです、アルスター殿。村人はおそらく気が長くは無いはずですよ」

「どういう……」

「今頃オスト伯の一族郎党、村人に殺されているかもしれませんね。世間知らずな精霊族が説教を食らっている間に」

 その唇に浮かんだハウエルの薄ら笑いに、カッと頭の芯が沸騰した。時間を使わせたのは誰だ。それなのに人のせいにするのか。

「この期に及んで!」

 殴りつけてやろうと拳を振り上げた瞬間、声が鋭く割り込んできた。

「やめなさい、リッツ!」

 すんでの所で拳を止める。すぐ目の前にハウエルの鼻があった。ゆっくりと見ると、息を切らせてるパトリシアがいた。

「ハウエル中将を放して」

 リッツは命じられるままゆるゆると、ハウエルの襟首を掴んでいる手を離した。ハウエルは薄笑いを浮かべたまま微かによろめき、大きく息をついた。そんな彼のすぐ近くに、パトリシアが立った。

「ハウエル中将」

「はい、パトリシア様。何でしょう」

 笑顔を浮かべたハウエルを、パトリシアは思いきり平手打ちした。パンッと乾いた音が響き渡る。

「リッツは何もできないわけじゃないわ。それに時間を潰させたのはあなたの方よ。それを覚えておくのね」

 それだけを告げると、パトリシアは厳しい表情でリッツを見上げた。

「行くわよリッツ」

「あ、うん」

 先を行くパトリシアを追う。

「パティ」

「何?」

「民衆同士の殺し合いと、夜中の放火。どっちが許せる?」

 揺れるリッツの正直な言葉だったが、パトリシアは一刀両断した。

「どっちも許さないに決まってるじゃない」

「でも……」

「提案した貴族に、思い知らせてやるわ。どっちも辞めないと、ぶっ飛ばされるって事をね」

 軽くパトリシアが振ったのは、白銀の杖だった。パトリシアは正面を切って戦うのだ。貴族の中であっても。リッツもそうしていいに決まっている。

「そっか。戦って止めてもいいんだよな」

「当たり前でしょう。嫌いとか言いながら、ハウエルに丸め込まれてるんじゃないわよ!」

 そのまま振り返らないパトリシアを追って、リッツは屋敷に入った。未だ腹の中には、ハウエルの言葉と共に、何とも言えない不快感がくすぶっているが、それを治める術が分からない。

 荒らされた屋敷の中を歩いていると、豪奢な中庭が見える窓をみつけた。鉄格子のはめ殺しになっている、小さな窓から何気なく外へ目をやって、息が詰まった。

 舞踏会を催していたのか、美しい花で飾り付けられた広い中庭は無残に荒れ果てていた。無数の燭台で飾られた中庭のあちらこちらに、倒れ伏したままの死体が転がっていた。

 服装から見ると貴族だろう。

 中央にある噴水の回りに、着飾った姿の男女が、怯えるように追い詰められているのが見える。そのほとんどが戦えるような年の者ではない。

 戦える者たちは、すでに地に伏せていた。

 そしてその前には、彼らを囲むように沢山の武器を持った村人たちがいた。

「パティ!」

「止めなきゃ! 扉を探すわよ!」

「うん!」

 慌てて駆け出すと、リッツの人よりも数段いい耳に、悲鳴が聞こえた。ひとり二人じゃない、大量の悲鳴だった。

「パティ! 始まった!」

 怒鳴ると、パティは焦ったように叫んだ。

「扉、扉はどこよ!」

 走り抜けた場所に大きな木の扉をみつけた。それを押し開くと、中は巨大なダンスホールだった。そこに巨大なガラスの扉があり、中庭へ通じてる。

 あちこちのテーブルは倒れ、楽団がいたのか楽器だけが無残に転がり、至る所に、割れたグラスの破片が散らばっている。

 床を塗らすのは飲み物だけではない。ワインと混ざり合うかのようなこの金気の匂いは、血の匂いだ。

 ここに村人が押し入ったのは確実だった。

「くそっ!」

 叫びながら、リッツは中庭に飛び出していた。

 貴族たちを十重二十重と取り囲んだ村人たちが、携えた武器で、貴族たちに襲いかかっていた。

 美しい秋の庭に、凄惨な悲鳴が響き渡る。

 しかれた赤煉瓦は、血を吸い込んで、更に赤く染まり、揺れるろうそくの火と、放たれた炎を赤々と照らし出している。

 舞踏会中だった貴族たちに、武器はない。ただ恐怖に逃げ回るだけの彼らを、村人が襲っている。

 血に塗れ、地面に這いつくばって助けを求める貴族。それを見下し、何の感慨もなく斬りつける村人たち。

 自らの恨みを、自らの不満を、人の命を奪うことで晴らす村人と、何のために恨まれるのか分からぬ、生まれながらに貴族である人々。

 今まで見てきた光景とはまるで逆だ。

 どうすればいい。どうしたらいい。

 リッツの頭が必死で答えを求める。エドワードの今までの言動の中に、ジェラルドの言動の中に、ギルバートの言動の中に。

 その時、リッツの瞳に、貴族の少女が、村人の持つ古びた剣を突き立てられる光景が映った。

 少女は初々しいピンク色のドレスをたちまち赤く染める自分の血に、恐怖を感じつつ、その腹を必死で押さえている。

 だが他の村人が容赦なく少女を突き殺した。

 くずおれる少女を見るリッツの目に、不意にセクアナの少女が浮かんだ。

 あの子は生まれ故、自らの身体を売ることが悪だとは思っていなかった。それで生活することを普通だと考えていた。

 ではあの少女は? 貴族として人を虐げることが普通だと育ってきていたなら、あの子が人を助けられない事を責められるのか? あの子が農民を差別したのだと、責めていいのか? 

 責めて殺していいのか?

「……違うだろ」

 生きて、自分が貴族であることは何なのか、知る義務がある。平民と貴族の間には、同じ人であるというくくりしかなく、身分によって尊厳を犯していい法など無い事を、知らせなければならないのではないか。

 悪いのは貴族か、それとも貴族制度か。

 そう思った瞬間に、リッツは大声で怒鳴っていた。

「やめろっ!」

 言いながらリッツは、武器を持った村人の中に突入していた。貴族の援軍かと、殺気立つ村人たち数人を、蹴りで沈めると、突きつけられた剣の中を、身軽にすり抜ける。どうしても避けられないときは、殴り倒し、蹴り飛ばして進む。

 剣を使えば殺してしまう。それが分かっているから剣を使うことができない。

 混乱状態の中庭を更に混乱状態に陥れて、リッツは貴族と村人の境目に立った。そこでリッツは初めて、剣を抜いた。

 近くにいた村人はエールの住民だったらしく、リッツの姿に目を剥いた。

「あんたは革命軍のフェイさんじゃないか! 何故貴族の味方をするのだ!」

「貴族の味方じゃない! 俺は俺が選んだ正義の味方だ」

 大声で怒鳴ると、村人は怯んだ。

「何をいうのだ?」

 怪訝に訊ねてくる村人に、リッツは怒鳴り返した。

「あんたらが今やってることは何だよ! ただの人殺しじゃねえか!」

「何?」

「武器も持たない少女を、大人がよってたかってなぶり殺すのは、ただの殺人だろうが!」

 剣を構えたまま油断なく村人を見据えるリッツに、村人がたちが怒鳴り返してきた。

「貴族はいつもそうして我々を殺してきた。我々が貴族にされたのと同じ事をして、何が悪いんだ!」

 その言葉に同調する声が、中庭いっぱいに響き渡る。その気持ちはリッツも分かる。ティルスで自分の誇りを守るとの名目で、ダネルが企んだ焼き討ちは、エドワードやリッツの大切な人を焼き殺した。

 でもリッツはオフェリルの街を同じ目に遭わせようとは思わなかった。

 何故なら……。

 人の命の尊厳を知ることのない人々と、同等にまで落ちたくなかったからだ。村人に分かるのか、通じるのか、この想い……。

 ギリと唇を噛みしめたとき、隣に立ったパトリシアが、村民に向かって杖を構えた。視線を向けると、煤けた顔をしたパトリシアはにっこりと微笑んだ。

「あなたは、誰なの?」

 謎かけのような言葉だったが、ちゃんと意味は分かった。リッツは大きく息を吸い込んだ。

 そう、自分はエドワード・バルディアの友、リッツ・アルスターだ。遊撃隊のフェイでは、この場を治めることはできないが、自分が自分であるならば、手はある。

 剣をしまい、リッツは村人たちを見渡した。殺気だった彼らが、それに戸惑っているのが手に取るように分かる。

 さあ、頑張れ、精霊族のリッツ。

 俺の演じる作り物の英雄。

 心の中でそう自分を鼓舞しつつ、リッツは口を開いた。

「貴族に生まれたことが罪なのか?」

 腹の底から、大声で村人たちにそう問いかけた。

「それとも農民に生まれたことが悲劇なのか?」

 村人が戸惑いながらざわめく様を見てから、ゆったりと間を置いて口を開く。 

「人は生まれる階級を選べない。生まれる場所も選べない。貴族に生まれた者は、皆貴族として育つしかない。農業を営む者の気持ちは分からないだろう。それ故、彼らは貴族の世界の常識で、庶民を虐待し、支配する」

 静かに告げると、村人のひとりが、声を上げた。

「そうだ。そんな奴らを生かしておく必要はない。貴族は皆、殺せばいいのだ!」

 同調する声が徐々に広がる中、リッツは再び問いかけた。

「庶民のことなど、何も知らない貴族を殺しても罪はないんだな。殺される理由が分からず、身内を殺された恨みだけを抱え、更に憎しみを募らせて庶民を虐待する。そんな貴族を増やしていきたい?」

 淡々と、だが力を込めて訊ねると、農民がお互いを伺うようにひそひそと言葉を交わす。

「理由もなく殺されたと思い込み、その復讐に貴族は再び農民に暴力を振るい、彼らを殺すだろう。それが延々と連鎖していく。尊厳なき、憎しみのみの連鎖でだ。そしてまた農民は貴族を殺す。いつまでそれを繰り返せばいい?」

 彼らに語りかけるように、リッツはゆっくりと言葉を選んだ。

「戦場において剣を交えることは、互いの正義を主張することだ。そのことを否定はしない。俺もそうやって生きてきたし、今後も俺が望む正義の旗の下で、沢山の人々を切り捨てていくだろう。俺には目的がある。だからそのために剣を振るう。やがて俺のこの剣が、この国の人々を救うために」

 エドワードのために。そしてセクアナの少女のような子供を無くすために。

「そこで皆に質問だ。今やっていることは何の正義だ? 国のために正義を持って戦う俺に教えて欲しい。武器を持たず、戦うこともできない人々を、集団で駆り立て、恨みを晴らして斬り殺すことは、何の正義なんだ? どうやら俺は、それを正当化する論理を持っていないようなんだ」

 緩やかに村人に言うと、村人は言葉に詰まった。反論することは簡単だが、説明することは存外難しい。それはリッツが一番よく知っていた。

 静まりかえった中で、リッツは満面の笑みを浮かべた。

「俺は隣に立っているパトリシアが大好きだ」

 きっぱりと言い切ると、隣で構えられた白銀の杖が思い切り揺らいだ。

「ちょ、ちょっと!」

 焦るパトリシアに笑みを見せてから、再び人々に向き直る。

「俺は階級を持っていない。俺には貴族階級も、軍の階級もない。無位無冠だ。だけどパトリシアは、グレイン自治領主ジェラルド・モーガンの娘で、侯爵の子だ。貴族の生まれだ。皆の論理だと、パトリシアも、その父、モーガン侯も貴族であるから殺していいことになる。俺はどうしてもその理屈が分からない。だって俺は精霊族だから」

 言いながら髪に手を入れて、耳篭を取り外す。村人たちが一斉にどよめいた。おずおずとひとりの村人が訊ねてくる。

「あんたは遊撃隊のフェイさんでは……?」

「ごめん。俺、リッツ・アルスターっていうんだ」

 一瞬にして、怯える貴族たちも、村人たちも水を打ったように静かになった。彼らの目が、極限まで見開かれ、自分にじっと視線を送っているのが分かる。

 今なら彼らに言葉が真っ直ぐに届くはずだ。

「俺は貴族が平民の尊厳を犯し、人々の自由と命を奪うことを許していない。俺に人間社会を知るための教育を施してくれた大事な人は、貴族の身勝手な焼き討ちで殺されたんだ。その時は本当に憤って、本当に貴族が憎いと思った。正直言って、貴族って言う生き物は、なんてえげつないんだろうって思ったぐらいだ」

 ダネル・クロヴィス。ローレンの師のきっかけを作った、元オフェリル自治領主の息子。

 あの時殺せなかったことを、どれだけ後悔したか分からない。特権を振りかざす貴族を、どれだけ憎んだか、言葉になどできないぐらいだ。

 でもリッツの回りには、貴族への憎しみを払拭してくれる存在も沢山いた。

「だけど同時に、俺を助けてくれて、生活の面倒を見てくれたモーガン侯も、後方支援部隊の指揮を執ってるカークランド伯も、政務部立て直しに、毎日追われるサウスフォード伯もみんな貴族だ。俺は貴族だからって、彼らを殺そうと思わない。だってそれって『精霊族だから』ってくくりで、俺を一つの見方に押し込めることと同じだろ? だから俺は、個人として付き合いたいと思うんだ。そういうもんなんだろう、人間は」

 穏やかに言い切ると、村人が声を荒らげた。

「何も知らないから、憎しみを連鎖するだけだから貴族を許せと? そうすれば彼らはまた、我々を虐待する! 我々から友を、家族を奪おうとする。それを許せというのか!?」

 静まりかえっていた人々の中から、再び声が上がり始めた。だがリッツは全く動じることはない。語っている内に分かってきたのだ。自分がどうしたいのか、どうするべきなのかを。

「許せなんて言わないよ。ただ彼らは死んで詫びるのではなく、自分がいったい何をしていたのか、自分で知るべきだと思う。どん底から、人を見つめ直してね。大体、貴族制度があるからいけないんだ。人と人との間に、特権が介入するから問題が起きるんだ」

「では……どうしたいと考えているのだ?」

「俺は貴族制度を、ユリスラから無くしたい。王太子殿下も同じように考えてると思う」

 きっぱりとそう告げると、再び場が凍り付いたように静まった。

 ここに居る誰もが貴族制度の廃止など、考えたこともないのだろう。だがリッツは貴族のいない世界を知っているし、エドワードもそれを作れないかと常々考えている。

 二人で夜通し顔をつきあわせて、酒を飲みつつつまみ代わりにそんな話をしたことだってある。

「同じ人間なのに、そんなものがあるからおかしくなるんだ。自治領主職は残るだろうし、街長の地位も残るだろうけど、彼らにその責任に合った収入は残しても、それ以外の権利全てを剥奪すればいいんだ。人を裁く権利、人を誅する権利、人を虐待する権利。それを全部取り上げる」

「だが今まで特権を振りかざしていた人間が、突然特権を使わずにいられるのか?」

 もっともな質問に、当たり前のような顔で答える。

「必要な自治を行う以外に酷い行いをする奴がいたなら、それを監視し、適度な自治を守らせる機関を、国王直属で作らせればいい。もちろん、平民が訴え出られるような組織だ。それに各自治領区には駐留部隊がいるだろう? 彼らに報告義務を持たせればいいんだ」

 具体的な話がすらすら出てくる。当然だ。この辺りはよく、エドワードと考えをぶつけ合っていたのだから。そして二人で話し合った、貴族のいない未来のユリスラを語り出す。

「貴族はみんな、名ばかり貴族として、庶民に紛れていく。だって特権を失ったら、そうするほか生きられないんだ。お腹が空いたら物を買わねばならないし、そのためにはお金が必要だ。貴族としての給金がなければ働かねばならない。今まで貴族として苦労なく暮らしてきた人々は、相当に苦労するだろうな。ここに居るエール村の人々のように、貴族を憎んでいる平民もいっぱいいるはずだから、働くのも楽じゃないはずだ、きっと」

 笑みを浮かべて、リッツはエール村の人々を見渡した。

「何も知らずに殺されて、憎しみを募らせて復讐し合うのと、同じ所まで下りてきた貴族を鍛え上げるのと、どっちがいいかな? 俺は後者がいい」

 言いたいことは言い切った。これで村人がどうするのか、それはリッツの賭でしかない。このまま村人が引き下がってくれれば、この場はこれで治められる。

「ではアルスター様、あなたの後ろにいる貴族たちはどうするのです? 我々の家族を奪い去った者たちの仲間ですよ?」

「うん。俺は逃げたいなら逃げればいいと思うんだ」

「な……無罪放免と……?」

「少しの執行を猶予しただけだ。貴族制度廃止を辞めさせたかったらシアーズへ逃げ、今度は剣を手にしてスチュワート偽王軍として戦場に出てきたらいい。そうしたら俺は容赦せずに斬る。俺の正義のためにね」

 戦いの中で人を斬ることに、戦士であるリッツはもはや迷いは無い。

「それが嫌なら貴族制度が廃止されるのをじっと待ちつつ、どこか身を潜めているといいさ。エドワード王太子殿下がこの戦いに勝利し、国王になった時、どこにいてもその特権は廃止され、ただの庶民と同じになる。その先にどう生きていくかは、任せるよ」

 村人たちの顔から、徐々に怒りが消えていく。まだ身内を連れ去られた怒りはあるだろう。だが闇雲に貴族を殺せばいいという、残虐な感情が静まったようだった。

「ここは俺に任せてくれる?」

 穏やかに聞くと、エールの村長が頷いた。

「任せましょう」

「よかった。じゃあ消火活動をよろしく。貴族の家を燃やしただけのつもりかも知んないけど、街道沿いをみんなと同じ平民が、着の身着のまま逃げてたよ。この寒空に。平民同士でいがみ合うのを見るの、俺は嫌だからね」

 リッツの言葉で、彼らは初めて貴族以外を不安にたたき込んだことに気がついたようだった。街と村の対立を避けるため、人々を先導して、パトリシアが消火活動に向かった。

 きっと今頃三つの村に分かれた百五十人ほどの遊撃隊員たちが、あたふたと慣れぬ消火活動をしているだろう。

 村人が出て行くのを確認してからリッツは、座り込み恐怖に打ち震える貴族たちの前に立った。彼らは怯えたような目でリッツを見上げる。そんな貴族たちを見下ろしながら、リッツは口を開いた。

「俺さ、セクアナで幼い娼婦に会った。彼女は身体を売って金を稼ぐのが普通で、それがどんなことで、どれほど酷いことかも知らなかったんだ」

 戸惑う貴族たちに、静かに訊ねる。

「あんたたちは貴族に生まれて、貴族のことしか知らない。貴族が平民を痛めつけて、それが貴族だから普通だと思ってる。あんたたちとセクアナの幼い娼婦、何が違う? 狭い窓からしか世間が見られない事に関して、何が違うんだ?」

 戸惑う貴族たちは、きっとリッツの問いかけを理解できないだろう。だが心の片隅に残ってくれていればいい。きっと特権を失ったとき、リッツの言葉の意味を知るだろうから。

「今すぐに逃げるんだな。そうしないと、ここはすぐに革命軍の手に落ちる。王都を守るためにかき集めた人材が、自治領区の境界線にあるこの街を守ると思うか?」

 貴族たちは、敗残兵のように力なく、うつろな目をしてのろのろと立ち上がり、やがてリッツの横を通って建物の中に消えていった。

 一人佇むリッツは、溜息をついた。

 煙草が吸いたいと切実に思った。何故だろう、心に澱のような疲労感が残ったのだ。

「たいした手腕じゃありませんか、アルスター殿」

 後ろからからかうような声が聞こえた。振り返らずに答えを返す。

「殿下の受け売りだ」

「それにしては見事に収めた。あながちあなたは作られただけの英雄ではないんですな」

「……俺は作り物だよ。あんたが言うように、エドワード・バルディアへの盲信でできてるんだ」

「ほう」

「あんたはどうしてここに居たんだ?」

 リッツの問いかけに、ハウエルの返事はなかった。機密事項ということだろう。だがそれはきっと、革命軍のためなのだ。

 許せないものは許せない。でもきっと理解するしかないのだろう。現に彼がやったことを、許したくはないし、自分がやるつもりもない。

 でも現に、暴動で殺された貴族以外に、被害者は出ていなかった。平民同士が殺し合うことになれば、少なくとも遊撃隊は、罪のない街の人々を殺すしかなかっただろう。

 ハウエルはその彼らを守っていた。手段は許せなくても、事実は事実だ。受け止めるしかない。

 ハウエルも、そして平民たちもみな、自分が幸せになるために生きているし、幸せになるために戦う。その幸せは何であるかなど、一概には言えない。ハウエルのように、精霊族の美術品収集であったりもするだろう。

 リッツのように、友であるエドワードの役に立つこと、仲間に必要とされることが幸せではなくともいいのだ。

 目標はただ一つ、ユリスラ王国の平和なのだから。

 ハウエルの横を通り過ぎようとしたとき、ハウエルから煙草を差し出された。綺麗に薄紙で撒かれたそれは洒落ていて、いかにもハウエルらしい。

 リッツは迷うことなくそれを口にくわえた。図ったように滑らかな手つきで、ハウエルがライターに火を付ける。身をかがめて煙草に火を付けると、リッツは煙を空に向かって吐き出した。

 未だ火事は消えていない。くすぶった煙が暗い空を焦がしているようだ。一服したら、パトリシアの所に行こう。彼女を手伝わなければ。

 煙草をくわえ、空を見上げたまま、リッツはハウエルに告げた。

「俺はあんたが嫌いだ。俺はみんなを信頼しているし、大切に思ってるから、強くありたいと思う。でもあんたはそうじゃない。目的のためなら人の命でも売れる。それが嫌いだ。俺の我が儘だけど、これだけは揺るぎない」

「それはそれは手厳しいお言葉」

 おどけて金茶の髪を掻き上げ直したハウエルを見つめ、リッツはきっぱりと告げた。

「でもあんたの情報は信じる。あんたの欲望が、エドの作る未来に繋がっている限りは。もしあんたがエドに害をなすなら、俺はあんたを斬る」

 灰色の瞳がスッと細められた。

「では斬られぬように気をつけましょう」

「ああ。覚えておけよな」

 深く吸い込んだ煙を肺に満たし、僅かな酩酊感を味わっていると、ハウエルの呟きが耳に入った。

「馬鹿正直だが見事だった。私は彼らを止められなかった」

 自嘲を含んだ言葉に、煙を吐き出しながら問いかける。

「彼ら?」

 だがハウエルは答えず、そのままヒラヒラと手を振って去って行く。一人になり、再び煙りたなびく空に視線を向けた。

 なるほど、ハウエルはあの暴動を一人で止めようとし、失敗してあの怪我を負ったのか。不意にそれに気がついておかしくなった。諜報の専門家といえども、演説の専門家ではないらしい。

 そう思うと、少しハウエルの気取り方がおかしかった。強がっているのかもしれないなと思ったのだ。

 リッツは一人、煙草をくゆらせてその場に佇んでいた。血塗られた場所に立ちつつも、妙に気持ちは静かだった。

 貴族制度の廃止を、貴族と村人の前で宣言してしまった。きっと逃げた貴族から、それはシアーズを通して、革命軍に対立する貴族たちに伝わっていくだろう。

 戦いに負けたなら、彼らの存在自体が危うくなる。それはきっと、敵を奮い立たせることになる。

 でも平民は希望を持つだろうか。貴族も平民もなく、全てが平等な、新たなるユリスラを。

 ふと、エドワードの顔が浮かんだ。そういえばエドワードに黙って二人の理想を、貴族と平民にぶちまけたことになるようだ。エドワードに会ったら、謝らなくては。

 リッツは短くなった煙草を足下に投げ捨てると、踏みつけて消した。

 

 王国歴一五三五年十一月二十日、革命軍は国王直轄区シアーズの北部をその手に収めた。

 季節は冬に移り変わろうとしていた。 

これで燎原の覇者6「背徳の功罪」が終了となります。

ここまで読んでいただきありがとうございます。久し振りの絡み合う人間関係は如何だったでしょうか?

私はこのハウエルが結構お気に入りで、この先、戦場以外で活躍をしてくれます。うふふふ。

さて次週からは第7巻「燎原の烈風」が始まります。この巻とは逆に、戦場の話と思いも寄らぬラブストーリーが展開する巻となっておりますので、お楽しみ頂けたらと思います。

この後、おまけもありますので、呑気な冒険者シリーズ既読の方はお楽しみください。

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