七話 初めての朝
ピピピピピピ
うるさいな、もう朝か
起きないと
起きたくねぇなぁ
眠たいなぁ
もう二度寝ちゃえ
Zzzz
はっ! ダメだ!
起きないと! 朝ごはん作んないと!
「グッ! モー! ニンッ!」
よし、起きた
着替えて顔洗って飯作んないと
いや、作る前にあきら起こすのが先か?
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「おーい、あきらー起きてるー?」
ノックしても返事がない...
嘘だろ? もう六時だぞ?
「あきらー入るぞー。ノックしたからな? これは例外だからな? このことは飯食いながらどうするか決めるぞー」
「むぅぅ、なぁにぃ? ごはんー?」
「あぁご飯だ。起きろ」
「...!? 佑介くん!? あ、そっか。今は佑介くんと暮らして」
あきらは目が覚めたのか、ベッドから飛び起きて顔をグリンとこっちへ向けた
「もう六時だから起きろ」
「六時? まだ六時なんですか? 学校は八時半からですよ? 学校まで近いですしもっと寝てても」
「いいなら別にいいけど...あきらの朝ごはんはないかな」
「はい! 起きます! おはようございます!」
そういって立って敬礼したあきら
そんな早く起きられるのなら次から1人で起きて欲しいものだ...この部屋目覚まし時計ないじゃん
「――――! あきら!? なんで裸なんだよ!」
「~~~~っ!」
「み、見てない! 上とか下とか色々見てないから! あ、朝ご飯作らないと」
リビングに逃げ込んで朝ごはんを作り始めたころに制服を着たあきらが入ってきたが目は合わせられなかった
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「さ、さきほどはお、お目汚しを...」
「い、いや! よかったから! きれいだったから! 眼福だったから!」
「やっぱりばっちり見てるじゃないですか、ぐすん」
「あ、う、うん。ごめん」
あきらが泣きまねをして目を伏せた
完全に不可抗力だが、こういう時は男が悪くなるものだ
「もうお嫁に行けないです。佑介くん。貰ってください」
「いとこだから! 結婚できないから!」
「え? いとこでも結婚できますよ? 日本の何代か前の首相もいとこ結婚らしいですよ」
「マジで? いや、それでもなぁ...ていうか、なんで裸だったんだよ。暑かったら冷房入れればよかっただろ?」
数代前の総理大臣が従妹と結婚していたとは驚きだ
いや、驚きとかでは...驚いたんだが、世の中には知らない世界が広がっているというか...
「私寝るときは裸なんです」
「それでもなぁ、今は一緒に暮らしてるんだしせめて下着くらい着てくれないと理性が...」
「理性がヤバイんですか!? どうぞ! 襲っていただいて構いません! 事前に連絡さえくれれば―――」
「襲わねぇよ! なんでウェルカムなんだよ!」
ホントにやめてほしい
これから同じクラスなのに妊娠騒動とかあったらしゃれにならん
俺だって思春期だ。高校生が人生で最も盛る時期らしいので本当に危険だ
アニメとかで一緒に暮らしてるシーンとかあるけど、あれよく我慢できるよな。聖人君主並みの忍耐力だろ
そんなことを考えながら手際よくあきらと2人分の食器に朝ご飯をよそって並べる
この食器は昨日すべて買いそろえた
「ほら、ごはんできたよ」
「わぁ! ご飯です! お米です! 久しぶりですぅ!」
「あきらは海外に住んでたから米の方がいいかなって思ってさ」
「はいっ! ありがとうございますぅ!」
『いただきます!』
今朝はオーソドックスに白米とみそ汁と焼き鮭だ
長い間海外に住んでいてお米を食べれていないんじゃないかという佑介くんの心遣いだ
日本人はやっぱお米だよな
「ほいひいふぇふぅ! もぐもぐ(美味しいですぅ)」
「食べるか喋るかどっちかにしなさい。お行儀悪いぞ」
「もぐもぐ」
まぁ、ですよね
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『ごちそうさまでした!』
2人とも食べ終わり、俺が食器をシンクまで運ぶ
あきらの方のお茶碗にはお米1粒も残っていない。作った側としては嬉しい
「美味しかったですぅー。はぁ~これから毎日これが食べられるんですね。幸せです!」
「それはお粗末さまでした。まぁこんなもんだよ。なにもできなくて一人暮らしするほどアホじゃないしな」
「やーもう! 佑介くん大好きです!」
「あ、えっと、うん」
あきらがテーブルを拭いて台所までやってきて俺の顔の近くまで近づいてそう言った
ち、近い...
「あ、照れてます? 可愛いですね。ふふふ」
「言われ慣れてないんだよ。そんな可愛い顔でそんなこと言われたら男なら誰でも照れる。あきらは言ってて恥ずかしくないの?」
「可愛い!? 外国じゃあこんなの日常茶飯事ですよー、えへへぇ~可愛いかぁ」
「あー、そういえばそう思う。普通にハグとかキスとかしてるイメージだな」
「そうですよ。外でもちゅっちゅちゅっちゅやりまくってますよ」
自分で言い出したけど、それは外国の人に失礼じゃないかなぁ
「そうだ、さっきの部屋のことなんだけど」
「ふぇ!? は、はい! ななな、なんでしょう!」
「どっちかが起きなかった場合は入室OKにしない?」
「あ、あぁ。そのことですか。はい、大丈夫ですよ」
「だから裸で寝るのはやめてね」
「...はい」
支度を終えて今は八時前
俺達はリビングでニュース番組を見ていた
あきらはワンコーナーで犬や猫が出てくるたびにはしゃいでた
「そろそろ学校行くか。初日から遅れ気味なのも嫌だしな」
「これから毎日佑介くんと登校できるんですね! 嬉しいです!」
「そんなに? あ、そうだ。これ合い鍵。母さんが持ってたやつ弥生にあげたみたいだし持ってないだろ? はい」
「合い鍵! ますます同棲感が高まってきましたね!」
「同棲感って...」
【あきらのきもち】
朝から佑介くんに起こしてもらったり佑介くんの作ったご飯食べれたり幸せです!
裸を見られたのは恥ずかしかったですけど....
可愛いって言ってくれたからもういいですけどね!
佑介くん大好き!