表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A Desirer  作者: 氷山 祐希
1章 新学期といとこ
2/326

一話 佑介と弥生

「以上により、第36回西湊高校入学式を終わります」


俺、三宅佑介みやけ ゆうすけ西湊にしみなと高校に入学した


日本が学区整理のために全国的な市町村再編へ乗り出したのが10年前

合併、独立した市町村は全国で100以上

このみなと市もその中の1つだ

人口260万人。両親いわく、再編前にあった大阪市という都市に匹敵するほどらしい


湊市には多くの高校があるが、そのすべての高校がこの西区にある

これは、湊市の行政が定めた「区画収容計画」によるものだ

西、東、南、北、中央区の5つの区画に町の施設などをまとめて収容してしまおうというものだ

最初はみんな「そんなにまとめたら混雑してしまう」とか「建て直すのに金がかかりすぎる」って反対してたらしいが、行政側が押し切って進めたらしい

するとこれが意外と使いやすかった

目的の区画に行ったら欲しい物が近場で比べられるなどの利点が多かった


そして西区

西区は区の中でも東西南北に区切られてて西区の西にある高校が西湊高校と結構ややこしい


そしてなぜ俺がこの西湊を選んだか、それは


―――――ゲーム部があるから


それだけだ

ただそのためだけに俺は偏差値65もある高校に入った。中学時代の偏差値は40そこそこだったのでかなりの時間を勉強に費やした


そして今入学式が終わった

あとは帰るだけだ


「ただいまー」

「あ、先輩!おかえりなさーい」


なんでやねん


「おかえりじゃねぇよ。なんで俺んにいるんだよ。弥生」


家に帰ったら後輩がいた


「いえね、春休みで暇なんで先輩の家に行ったんですけどおばさんに「ごめんねぇ、あの子今日から一人暮らしなのよ~。住所教えてあげるから行ってみてくれる? あ、ついでに様子も見てきてくれると助かるわぁ。はい、合い鍵。これもう弥生ちゃんにあげちゃうわ」って言われたんで―――――来ちゃった♡」


「来ちゃった♡じゃねぇよ。母さんもなんですんなり教えちゃうんだよ。合い鍵まで渡して」


「いいじゃないですか。家に帰ったら可愛い女の子の後輩が待ってるんですよ? 男ならグッとくるんじゃないですか? にしても家具とか全然ないですね、この部屋。冷蔵庫の中も空っぽじゃないですか。お茶とかでないんですか?」


ムカつく。せっかく一人暮らし初めての帰宅が...早口でサッサと用件を言う時は弥生が嬉しがっている時だ。サプライズのつもりなんだろう

ちなみに俺が新しく住んでるのは西区にあるマンションだ。学生が一人暮らしを始めたりする用に作られたマンションだ

家賃もそこそこ安くて冷暖房完備。冷蔵庫、電子レンジ付き、バス・トイレ別の良物件。そこに俺は2年待ちで入った


「うるせーな。昨日の夜ここについて今日は今まで入学式だったんだよ。家具とかはこれから買いに行く」

「あ、今から行くんですか? なら早く行きましょうよ」

「は? なんでついてくんの? 帰れよ」

「ひどい...10年以上一緒にいるのにそんなこと言わなくても...おばさんに帰れって言いながら乱暴されたって言ってやる」


この後輩。一条いちじょう 弥生やよいとは幼馴染だ。

家どうしが仲良くてご近所さんだ

昔からよく遊んでたし、「ゆうちゃん」と呼ばれていたりした

弥生が中学に入った時に「もう中学生だからゆうちゃんのこと先輩って呼んで敬語で喋るね!いいですよね?先輩♡」と言われて以来こんなめんどくさい後輩になってしまった


「あーもうわかったから。着替えるからそこで待ってろ」

「わーい! 3秒で支度しな!」

「そこらへんの段ボール触んなよ! まだ整理してないから」

「さわりませんよ。えっちな本とかAVとか出てきたら気まずいじゃないですか」


ホント...マジで触らないでね?




##########




「先輩。お腹すきました。なんか食べましょう」


こいつ....


「まだ11時前だろうが。配達してもらう家具先に買ってからだ」

「じゃあベッド買いに行きましょう! こっちですよ」

「おい、危ないから引っ張んなよ!」


弥生は俺の手を引いてベッド売り場へと歩いて行った


ベッド売り場に到着した俺たちは色々と見て回っていた

結構色んなのあるなぁ....お、これよさそう


「先輩! これなんてどうですか?これなら2人でも広々ですよ」

「なんで2人なんだよ。一人だし。うわっ、たっか! こっちにするから」

「相変わらず即決ですね。もっと色々見てもいいんじゃないですか?」

「そうやってグダグダすんのはわかってるからな」


そんな感じでベッド、ソファー、テレビ、テーブルなどを即決していった

なぜか弥生は毎回2人用のを推してきたがそのたびに却下してやった

高いんだもん....






「ふぅ~なんとか予算内に収まった」

「結構余ってるじゃないですか。これはお昼ごはんは先輩の奢り(おごり)ですね♪」


必要な家具はすべて買い終わり、配送の手続きも済ませた

弥生の言う通り、比較的安い物ばかり買ったので予算はまだまだ余っている

....しかし


「余ってねぇよ。飯食ったらゲーム売り場だ! 引っ越しとかで買えなかったやつとか買わなきゃな! 昼飯は割り勘だ、割り勘。彼女じゃないんだから」

「彼女なら奢ってくれるんですか?」

「時と場合による」

「なんですかそれ。お腹すきました。早く行きましょうよ。それでゲーム買いましょう。帰ったらゲームしましょう!」


言い忘れてたが俺はだいたいのゲームのランキング上位にくいこんでる自他ともに認める廃人だ

...弥生も同じくらい廃人だ




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ