表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

知らないひと

 チャイムを鳴らすと、しばらく間があってバタバタと駆けてくる音がする。

 ゆっくりと玄関の扉が開く。

「こんばんは、来たよー」

 君の驚く顔が見たくて。

 けれど、予想に反して彼はあまり驚いていないようだった。

「お、おう」

 驚いてはいるようだった。

 彼が無理に笑う。

 それは私が好きな彼の笑顔ではなかった。

「どうしたの? まだ片付け終わってなかった?」

 私が言い終わるか、終わらないかのうちに彼の背後から知らない女の人の声がした。

「ねぇ、誰か来たのー?」

 とても親密そうな、まるで恋人みたいな。

「ごめん」

 目の前で、扉が閉まった。

 私は立ち尽くしたまま、何か最もらしい理由を考えた。

 でも、扉の向こうから

「なんでもないよ、姉貴が何か用事があるらしくて、もう追い返したから!」

 怒ったような声が聞こえて、私は惨めな気持ちになった。

 楽しみにしていた気持ちや、初めてのワクワクも全部あっという間に消え去った。

 身体の中心が、締めつけられる。

 苦しくて、苦しくて、息が詰まって。

 立っていられない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ