7話
「お前ら……外出たんじゃなかったのかよ!」
薫が驚いた様子で言うと、憂己は出られなかった事を説明した。景兎は薫にしがみついて泣いている。
「ここヤバイ気がする」
冷静な口調で薫が話し始める。
「あのゾンビ……メガネなくても見えるんだよ……」
「ちょっと、何がヤバイのか解らないんだけど?」
〝メガネが無くても見える〟と言われても、憂己には何がマズい状況なのか理解出来ず、眉間に皺を寄せ考える。
「たぶん……アレに襲われたら普通に死ぬ」
薫の言葉に憂己は吹き出し、笑いながら言う。
「ふふ、何言ってんの? 普通にここ遊園地のお化け屋敷だよ? ちょっと良く造られてるからって死ぬって……あり得ないでしょう?」
「それ……きっと本物だぜ?」
薫は憂己を真剣に見つめ、憂己の刀を指差して吐き捨てる。
憂己はそんな事あり得ないと呆れた顔で刀を手に持つと、鞘から少し引き抜き、軽く指に当てた。
「え……何これ」
血が一筋零れ落ちる。憂己は唖然とした様子で指を見つめ息を飲んだ。
「嫌!嫌ぁあ! 信じられない……」
凛々が涙を流しながらその場に崩れ落ちる。
「君たち、まだこんなトコに居るのぉ?」
急に背後から声が聞こえて、薫が驚いて振り返ると、そこには椿が立っていた。
「助かった……椿さん、外に出られなくて困ってて」
薫が安堵して椿に声を掛けるが「ん? ダメだよぉ?」と笑顔の彼。予想外の返事に四人は固まる。
「ふざけないで! 凛々達を外に出して!」
凛々は服の袖で涙を拭うと、笑顔の彼を見上げ怒鳴り付けた。
「だーかーらぁ! 無理だって言ってんの。それに俺、椿じゃないし」
椿は呆れた様にため息をついて冷たく言い放った。
「え?何言って……」