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RE:quiem  作者: 愛咲りょう
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5話

四人が中へ入るなり目の前に大きなスクリーンがあり〝恐怖迷宮〟と、文字が映し出された。


スクリーンの僅かな明かりだが、今いるのは診察室だと言うことが解かる。椅子が幾つか並べてありそこに順に座ると映像が始まった。


軽快な音楽が流れ、ラッピーとミミィが腕を組みスキップしながら登場する。なんとも気の抜けた映像に、薫は拍子抜けし、憂己は軽く噴き出した。


『みなさーん、こんにちは! まずボクたちが恐怖迷宮について説明するよぉ?』


ラッピーの言葉と共にテロップが流れ説明を始める。『リタイアしたくなったら脱出口から』とか『飲食厳禁』とかそんな感じ。


小さな子供でも理解出来るように、殆ど平仮名でかつゆっくりとした易しい口調で話すので、何だか高校生の自分達からするとなんだか馬鹿にされているように感じて、少し腹が立つ。


ラッピー達が画面から消えると、今度は一変してどこかの病院らしき建物が映し出された。


『映像は、いまから五十年程前のまだ活気のあった〝蓮雪はすゆき総合病院〟の映像です……』と、スクリーンの中に忙しなく働く医者やナース達、廊下を歩く患者、気難しい顔をした院長など様々な人の映像が映し出された後、急に映像が消える。


薫は少し驚いて声が出そうになる。憂己驚いたようで、景兎達に関しては抱き合って身体を震わせている。


消えていた画面が急に明るくなり、さっきとは打って変わって廃墟と化した病院が現れる。

薫は確信した。物悲しげな、おどろおどろしいその風貌は、いま自分達が居る〝恐怖迷宮〟だと。


『医療ミス、人体実験の数々……隠蔽して居た事実が明るみになり追い込まれた院長は自殺しました。そして、怨念の渦巻くこの場所は幽霊の巣窟として、現在もその場所に建っているのです……』


映像はこう締め括り、消えた。同時に、薫達が背にして居たドアが音を立てて開く。凛々が半泣きで「もう帰りたい……」と言ったが誰も馬鹿にはしない。それ程に恐ろしい背筋の凍る演出だった。


四人がペンライトの僅かな光を頼りに、重い足取りで恐る恐る開かれたドアを出ると、目の前にまず一つ目の脱出口のドアがあった。『ちゃんと脱出口はあるんだな……』と、薫は心の中でそっと胸を撫で下ろした。


「さーて、行こうか」


「にぃ離して! 凛々は先に脱出するっ!」


憂己が凛々の腕を引っ張って進もうとするが、凛々は渾身の力で脱出口の方へ行こうと足掻く。華奢な女の子が力で敵うわけない。憂己にズルズルと引き戻され何とも滑稽だ。


「早々とリタイアなんて、許すわけないでしょ?」


逃げられないように凛々の腕を強く掴み、冷たく言う憂己に、凛々は渋々従うことにした。



四人は床に示された『順路』通りにゆっくりと廊下を進む。


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