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傲慢な自分が嫌になりました





「……そんなことより、何をしに来られたのです。邪神よ」




サキが、冷静にルビアスと対峙する。しかし、ルビアスはまるでゴミを見るような目でサキを見た。




「ふん、貴様は神魔か。神魔風情が、口を挟むな……いや」




途中で言葉を止め、思案するように言った。




「……そういえば、貴様は我のもとからロキを転移させた張本人であったな」




ルビアスは歪んだ笑みをサキに向け、獲物をいたぶるような目をした。




「あのときの屈辱、いまも忘れてはおらぬぞ。どれ、礼をくれてやろう」



「あれからまだ一日も経っていませんので、忘れていないのは当然ですよ。まぁ、もし忘れておられるようであったなら、その記憶力の悪さに呆れていたでしょうが」




なぜ神経を逆撫でするようなことをわざわざ言うのだろう。もっと、平和的な解決をと願う暁の心の声は、当然サキには届いてな━━━




『届いていますよ』



「なっ!」




頭のなかにサキの声が響く。そういえば前もこんなことがあったような気がしないこともない。すると突然、強大な爆発が起こり、地面が揺れた。それで態勢を崩した暁は、その拍子に尻餅をついた。




「何がどうなって………」




そう言って、ふと前を見るとサキとルビアスが戦闘を開始していた。




「っ!」




ふたりは激しい闘いを繰り広げていた。凄まじい威力のルビアスの攻撃を、サキは器用にかわしながら反撃している。移動を含め、すべてが超高速で行われていた




「……一体どんな身体の造りをしているんだ」




驚愕のあまり、まともな思考すら出来なくなっている暁は、自分がそのスピードを目で追えていることが普通ではないことに気づいていなかった。




『アキラ様。巻き添えを喰わないよう、離れていてはくださいませんか』




再び、頭のなかでサキの声が響く。その言葉を聞いた途端、まるで頭を殴られたような衝撃が暁を襲う。




(……俺は、何をしているんだ)




サキに偉そうなことばかり言ってたくせに、いざというときに自分はサキに護られている。自分はまったく動いていない……



さっき、暁はサキにガキだと言った。けれど、実際はどうだ。自分のほうが、余ほどガキではないか。




(サキは、俺のせいで闘っているのに……)




それだけではない。危険を考慮して、下がるように忠告までしてきた……なのに。




(さっきも俺は、サキに護られたのに……俺は口ばかりで…何も…)




ただ黙って見ているだけの役立たずだと思った……しかし。




(何もせずに、ただ黙って見ているだけなど俺の矜持きょうじが赦さない)




暁の中で、強い感情が荒れ狂っていた。自分でも押さえきれないくらいの。




(これ以上、サキに迷惑はかけられない)




そう思うと共に、暁はルビアスに向かって叫んだ。




「っ、ルビアス!俺が相手だ!!」




俺はばかと、敵わないとわかっていながらがむしゃらに突っ走った。身体中が熱かった。




「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」




勢いよくルビアスに突っ込んでいった。サキの足手まといになりたくなくて。




「ふっ、愚かな……」




うっすらと笑みを浮かべていたルビアスだったが、顔が一変して驚愕に変わった。そして素早く避けるルビアスの姿を視界の端に捉えたサキは、反射的に己も避けた。



するとどうだろう。先ほどまでふたりがいた場所から緋色のほのおが燃えあがり、周りに生えていた光闇草こうあんそうと呼ばれる草が灰となり消えてしまった。



さしものサキも驚愕を隠せなかった。ルビアスを見ると、彼も僅かばかり目を見張っていた。当然だろう。



光闇草こうあんそうは、道標みちしるべの草だ。その名の通り、光のなかであろうと闇のなかであろうと道を標してくれる。しかも、その性質から枯れることはおろか、燃えることさえ滅多にないと言われているほどだ。




(そんな光闇草を燃やすことができるということは、あの炎は普通の炎ではないということ)




そう考えるサキには、ひとつだけ心当たりがあった。




「その炎は、罪や穢れを含むすべてを焼き尽くす裁きのほむら。暗黒に燃え盛り、如何なるものも灰にす煉獄の炎………人々は畏れを込めて、その焔をこう呼んだという」




サキは目を閉じ、そしてゆっくりと開いて言った。




くらがりに燃え咲く火華ひばな。地獄の業火……と」




そうサキが言っている間にも、ルビアスと暁の戦闘は行われていた。



暁の身体からは炎が燃え上がり、容赦なくルビアスに襲いかかる。暁に自覚はないようだが、ルビアス相手に闘っているときの暁の戦闘力は、サキを遥かに越えていた。




(………違う。あれは)




サキは暁に自覚がないと思っていたが、そうではないことに気づいた。自覚がないどころか正気を失っていたのだ。彼からは純粋な闘気とうきと殺気が迸っており、目の前の敵をほふることしか考えていなかった……酷薄な笑みを、その顔に浮かべて。




(まるで別人ですね。理由はわかりませんが、何かが引き金となって闘争本能が引き出されたようだ)




己れの見解に少々違和感を感じないわけではないが、いまはそれどころではなかった。このままルビアスがどうなろうと知ったことではないが、暁に負担がかかることだけは避けたかった。




(どうやってお止め致しましょうか……)




あの状態の暁に近づけば、己れの身も危うくなる。前までは別にそれでも構いはしなかったが、暁に命を粗末に扱ったと思われてしまうのは大変よろしくない。




「本当に、どうしましょうか……」




一か八か、衝撃を与えてみるべきか。いや、そうしたら間違いなくあの世行きだ。では、普通に呼びかけてみるか……そんなので正気に戻るようなら苦労はしない。



解決策が見いだせないいま、暁が壊れてしまわないかと焦りながら様子を見ていた。

読んでくださり、ありがとうございますm(__)m


稚拙な文章ですみません。


誤字や脱字がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いいたします。

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