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一人で背負うことはない

……うん、自分、何が書きたいんだろうと正直自問自答したくなりました


拙作を読んでくださっている皆様、本当にありがとうございますm(__)m





「……ティルカ、下がってろ」




巻き添えを食らうことがないよう注意しなければと思いながら、暁は低い声でティルカに言った。



大人しく控えめなティルカならば何も言わずに引き下がるだろうと思っていたが、暁の読みは外れた。




「い、いいえ!私も手伝います。手伝わせてくださいっ」



「……は?」




予想外のティルカの反応に、暁は呆気にとられた。ティルカはさらに言葉を続ける。




「確かに私はアキラさんたちに比べれば弱いかもしれません。ですが、だからといって何もせずにただ見ているだけなんてできません!」




それは、ここに来るまでにティルカが学んだこと。ティルカひとりでは、決してここに来ることはできなかった。危険なとき、いつも誰かが手を差し伸べてくれた。暁やアズール、アカネやユリナディス。彼らのお蔭で、ティルカはここにいるのだ。




だから




「私も戦います!絶対に、逃げない!!!」




もう二度と、後悔するような選択をしたくない━━━



そうティルカが強く心に刻み込んだ、その時。





パアァァァァァァァァ





ティルカの瞳の中に不思議な紋様が現れ、身体中から強い光が溢れでた。太陽のように温かく、優しい光の翼が背中から生えている。



顔を腕で庇いながらもティルカの方を向いたバーディアが、その瞳の中にある紋様を見て目を見開いた。




「その紋様……!お前は、人間族最古の民と謳われた光翼族アヴィスぞくの生き残りか!」




歓喜に満ちた声でバーディアが叫ぶ。暁は弾かれたようにティルカを見て、愕然とした表情になった。




(……アヴィス族?生き残り?一体、バーディアはなんの話をしている。ティルカのことを、何か知っているのか?)




怪訝そうな顔をする暁とは対照に、バーディアは感極まったような様子で言った。




「もはや存在していないと思っていた光翼族アヴィスぞくに会えるとは、私は運が良い!いますぐにでも連れ帰り、実験室に閉じ籠りたいくらいだ!」




バーディアの言葉を聞いて、さすがに不快感を覚えた暁はバーディアからティルカの姿を遮るようにして立ちはだかった。途端、バーディアが不機嫌そうな顔をする。




「なんだ魔将、私の邪魔をするか」



「アヴィス族だの生き残りだのなんのことかは知らないが、貴様にティルカを渡すつもりはない。それに、俺と殺るんだろう?さっさとかかってこい。それとも臆したか。邪神ともあろうものが、この俺に」




ティルカから意識を逸らすために暁はわざとバーディアを挑発し、歪んだ笑みを浮かべた。その挑発を受けるかのように、バーディアはにやりと笑い返した。



その時、暁は一瞬でバーディアとの距離を詰め右腕に纏わせた焔を繰り出した。しかしそれは、サキの身体が傷つかないようギリギリで逸らしてあり、それを悟ったバーディアに愉悦の笑みを向けられた。




「どうした?私に攻撃しないのか。良いのか?その娘を連れていくやもしれぬのだぞ?」



「くっ……サキの身体から出ていけ!」



「相手の弱味につけこむのもひとつの戦法。魔将とはいえ、まだまだ頑是無い子供と同じだな」




勝ち誇ったような笑みが、暁の神経を逆撫でにする。悔しげに唇を噛み締める暁を邪悪な笑みで見つめていたバーディアの顔が、突然、驚愕に変わった。そしてそれと同時に、暖かい光が暁のなかに注がれるような錯覚を抱いた。



バーディアを見ると、その顔が苦悶に満ちている。光関連で、心当たりがひとりだけいた。



暁がティルカのほうを向く。すると、ティルカから溢れでる光が暁に流れ、バーディアを拘束しているのが見てとれた。




「ほらほら、オレたちも姫さんのためにも頑張りますよ。アキラ殿」




いつの間にか隣に来ていたアカネが、飄々とした体で暁に話しかけてきた。




(……というかこの男、まだいたのか)




正直、その存在を忘れていた暁はバツの悪そうな顔をした。そんな暁の様子には気づかず、アカネは手で特殊な印を組むと、屈んで地面に触れた。すると




「っ、く……があああああああああ!」



「!何だ」




バーディアが苦痛の声をあげる。よく見ると、バーディアの方に流れてでていた光が強く身体に巻きつきサキの身体とは別の男の姿が重なって見えた。




「あれが、バーディアの本体か?」



「ああ、そういえばアキラ殿は知らないんでしたっけね。ご明察、あれがバーディアの本来の姿です。姫さんの力を少し利用させてもらって、あの身体から無理やり切り離してるんですよ」




オレってば、かなり有能でしょう?とアカネが自慢げに言っている間に、バーディアとサキの身体は離された。暁は咄嗟にサキの身体のもとへ跳び、また乗っ取られることのないようバーディアから引き離した。



初めて見るバーディアの本体は、兄弟なだけにルビアスと似た顔をしていた。ルビアスに嫌悪感しかない暁にとっては、この世で2番目に嫌いな顔だと言える。



バーディアが銀色の髪を揺らし、顔をあげる。サキと同じ紫色の瞳には、昏い光が宿っていた。




「……よもや、たかが子供と侮っていた餓鬼どもにここまでされるとはな。くっ……無理やり切り離されたゆえか、それともアヴィス族の光を浴びたせいか、身体が思うように動かぬ。致し方ない。今日は、ここで引き下がるとしよう。だが忘れるな。次は必ず、きさまもろとも全員を私の実験材料にしてくれるわ」




顔を歪めながらそう言うと、バーディアは左手で空間を捻り、界を渡るための道を作った。暁は逃がすまいと追おうとしたが、アカネに深追いはするなと目で制されて追うのをやめた。そしてバーディアは、そのまま暁たちの前から姿を消したのだった。

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