俺の秘密とお前の秘密
しばらく間をあけてしまい、すみません
━━━実は、俺の造りの親は……
「……神…」
「邪神だ。無論、俺は彼奴とは違うが」
「……嘘…………」
「嘘であってほしいと俺も思っていた」
「……神様…て」
「邪神だ邪神。様づけするほどの奴じゃない」
「……でも、ルビアスって、言いましたよね?」
「それが、あれの名前だからな」
「ルビアス……ルビアス様…………」
「だから、様づけするほどのやつじゃないとさっきから言ってるだろう!」
ティルカの態度にか、それともルビアスの名前が出ているからか。暁の機嫌は最悪だった。
ちなみに、隣にいるサキもティルカの様子に苛々していた。
「……もしかして、アキラさんはご存じないんですか?邪神ルビアスといえば、大昔に三闘神に数えられた彼の有名な神様なんですよ!?」
「……三闘神とはなんだ」
「何って、物凄く強くて美しい最高の神様です!」
「サキ、ティルカの説明では要領が得ない。説明を頼む」
ティルカのあまりにもの説明の下手さに、暁はサキに助け船を求めた。暁の要請に、サキは微妙な笑みで答える。
「……はい、アキラ様……三闘神とは、遥か昔に神界のなかで最も強いとされた三柱の神のことです。確か、血の繋がった兄弟でもあります。それぞれ強さだけではなく、知恵も美貌も兼ね備えた優秀な神だったそうです。ですが、邪神ルビアスは、大神に対して傲慢な態度をとっていたがゆえに魔界へ堕とされたと言われています」
……なんだろう。どこかの国に、そういった話があった気がする。
遠い目をしていると、何を勘違いしたのかサキが慌てた様子で言い募ってきた。
「いえ、ですがアキラ様は違います。あの愚かな神とは似ても似つきませんので、ご安心ください」
「……サキ?」
やはり何か変だ。言葉ではなく、様子が。特に三闘神について話していたときのサキは、言葉こそ普通だが顔は侮蔑を僅かではあるが含んでいた。それは、サキにしては珍しいことだった。
それゆえに、少し気になる。
「……サキ、言いたくないのであれば構わないが一体どうしたんだ。少し、様子がおかしいようだが」
びくっと僅かにサキの肩が震えた。そろそろと暁のほうを向いたサキの顔は、少し歪んでいた。
これは聞いていい話ではないと咄嗟に判断した暁は、すぐさま話を戻した。
「というわけで、俺は今日造られたばかりだ。知識が足りていないから、これからよろしく頼む。そして他言無用だ……ティルカ、俺の話は以上だ。ほかに何か俺に聞きたいことはあるか」
「……アキラさん、必死すぎて顔が怖いことになっていますよ」
ティルカを、余計なことは聞くなというつもりでじっと見ていたのだが凄い形相になっていたらしい。だが、ティルカが怯えていないところをみると暁たちに慣れてきたのか、それともティルカの努力の賜物かのどちらかだろう。どちらにしろ、いい傾向だ。
ひとりで物思いに耽っていると、「アキラ様」というサキの声で現実に引き戻された。
「……どうした、サキ」
なにやら覚悟を定めた様子で暁を見つめるサキ。そのただならぬ気配に、暁はひとつの答えを見出だして「まさか」と呟いた。
「おまえ、ティルカに……」
暁の驚いた様子に、サキはコクりと頷いた。
「はい、話します。そしてアキラ様にも、聞いていただきたいのです。無論、先ほどの私の態度についてもお話いたします。どうか、こちらも他言無用でお願い致します」
サキのあまりにも悲惨な顔に、無理に話さなくていいと言いたかったが、サキの雰囲気がそれを赦さない。
「……わかった。だが、話せることだけ話せ。俺はおまえの意思を尊重する」
「ありがとうございます。アキラ様」
深く頭を下げるサキの姿が痛々しく見えた。だが、サキの意思を尊重すると言った手前、とやかく言うことはするまいと無理やり自分を納得させた。
そんな暁の様子を、ティルカが心配そうに見つめていたが暁がそれに気づくことはなかった。
テスト勉強もあるので、今回はここまでとさせてください。
すみませんρ(・・、)