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ハードすぎる今日この頃

投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。


少しでも楽しんでいただけると幸いです





━━━はあ?17だと!?嘘だろ!





と思ったが、現にティルカは暁の勘違いに怒り、そっぽを向いている。




「……サキ、俺たちの身長は幾つだ」



「そうですね。私が大体180センチぐらいなので、アキラ様は約185センチぐらいだと思われます。ちなみに憶測ではありますが、ティルカ殿は恐らく162センチぐらいかと」



「俺が185センチでティルカが憶測で162センチ……」




確かによく見てみると、童顔ではあるが身長はそこそこある。162センチと推測したサキの言葉は正しいかもしれない。




「なんというか……悪い。勘違いして……」




人間だったころ、身長は170センチしかなかった。なので、いまも170センチだと勘違いしていたのだ。しかし、事情を知らないティルカにはなんの弁明にもならない。



暁は素直に己れの非を認め、頭を下げようとした。しかし、そんな暁をティルカが止めた。




「……すみません。私もムキになって……は、はしたないことを致しました」




顔を赤くしてペコリと頭を下げた。今度は暁が慌てて止めさせようとしたが、サキが暁の言葉を遮る。




「何を先ほどから交互に謝って止めてを繰り返しておられるのですか。話が進まないので、そこまでにしてください。アキラ様もティルカ殿も次からはほどほどにしてくださいね。それでは話を進めますよ」




暁とティルカのやり取りに、いささか苛ついていたらしい。僅かではあるが、眉間にシワがよっていた。




「あ、あぁ。わる……話を進めるか」



「すみませ……いえ、まずは何について話しますか」




申し訳なさでいっぱいの暁とティルカは、ぽつぽつと話しかけた。サキは再び溜め息をつくと、ティルカに向かって確かめるように話した。




「ティルカ殿。確か人界の学校では、召喚して使役することができれば、召喚特名真書しょうかんとくめいしんしょと呼ばれる本に召喚主と召喚された者の名を記名するようになっているとか」



「は、はい。よくご存知ですね」



「えぇ、まぁ……それで、その真書に記名しなければ校舎への立ち入りを許可されないと風の噂で聞いたので、いまから学校へ行こうかと思っているのですが。いまの時間、学校は開いていますか」




そういったサキの言葉で、暁は初めてじっくりと周りを見渡した。気づかないうちに、もう日が暮れかかっていた。



よくよく考えてみると、まだ転生して一日もたっていないのだ。初日から、慌ただしかったことこの上ない。



しみじみと今日一日を振り返っている暁の隣で、サキはティルカと話を進めていた。




「では、いまから学校へおもむいたとしてもまったく問題ないということですね?」



「は、はい。その、召喚については、使役ができた場合すぐに召喚特名真書に記名しに行くよう、国で定められていますので……」



「なるほど、わかりました。国も賢明な判断をしたものですね。それでは学校へと急ぎましょうか。時間も遅いですし、何よりアキラ様にゆっくり休んでいただきたいですしね」




そう言ってキョロキョロと辺りを見回し始めたサキに、現実に戻ってきた暁がふいに落ちていた柊の枝を差し出した。




「……あ、えっと」




自分で自分の行動が理解できなかった暁は、何やってんだ俺。と思いつつ、差し出した手を引こうとした。しかし、暁が手を引くよりもサキが暁の手から柊の枝を受け取るほうが早かった。




「ありがとうございます。これで、早く用を済ませそうです」




とろけそうな笑みで礼を言ったサキに、ティルカが不思議そうな顔をして聞いた。




「……あの、柊の枝を、何に使うんですか?」




(……確かに)




差し出した張本人ではあるが、咄嗟に身体がそう動いただけであって、暁もわけがわからなかった。



聞いてくれてありがとうと暁が思っているなど露ほども思っていないであろうサキは、笑みもそのままに嬉しそうに話した。




「ここから学校まで歩いて行くよりも転送陣で行こうと思っていたのですが、転送陣であっても校門までしか行くことはできません。学校となると、結界が幾重にも張られていたり、破邪の力を持つ桃や柊が多く植えられているはずですから。しかし、アキラ様が柊の枝をくださったおかげで学校内へそのまま転送することができるようになりました」



「え?それって、どういう……」



「柊の枝には魔除けの力があります。転送時にこの力を借りて、私の魔性を祓います。普通、それだけでは学校内には入れませんが、生徒であるティルカ殿がいますし、私はそこら辺の下級のものたちとは違って、そう簡単に人間の張った結界ごときに阻まれることはありませんので、柊を通じて学校内へそのまま転送することが可能になるのです」



「へぇ、そんなことができるなんて……アズールさんて、凄いんですね」



「いいえ、アキラ様が柊の枝をくださったお蔭です。柊の枝があれば、多少は負担が無くなりますし……私のために、本当にありがとうございます。アキラ様」



「あ、あぁ……」




だからサキはあんな笑みを浮かべたのかと思った。サキの喜色満面な顔を見ていると、知らなかったなどと口が裂けても言えない。




(……このことは、墓場まで持っていこう)




密かに心に決めた暁である。




「……では、転送陣の準備ができましたのでこちらにいらしてください」




サキに促され、暁とティルカは陣の上に立った。最後にサキが立ち、力を解放する。




「それでは行きますよ」




サキが柊の枝を軽く横に振る。すると、柊の枝が紫色の文字へと変わり、陣に書き加えられるかのように吸い込まれていった。




途端、三人の身体は強い光に包まれた。そして、その光の洪水が消えた頃には、三人の姿は消えていた。

















カァァァァァァァ━━━━





本人たちにとっては一瞬の出来事だった。光がサラサラとなくなると、そこには見知らぬ部屋と数人の人間の驚いた顔があった。




(……ん?人間の顔??)




「ああ、どうやらこの学校の生徒がまだ残っていたようですね。もうすぐ日が暮れるというのに、勤勉なことです」



「こ、ここ…わた、私のクラスです!」



「……そんなこと言ってる場合なのか?」




見ると、生徒たちが凄い形相で杖やら本やらを持ってこちらを見ていた。どうやら、敵だと勘違いされてしまったらしい。そして。




「おい、卑怯ものの穢れた悪魔め!いますぐクロスヴェルムを解放しろ!」



「ち、ちがっ……私は別に」



「ティルカちゃん!私たちが助けてあげるから、待っててね!」




………俺たちは誘拐犯か




いろいろと勘違いされまくりのこの現状。ティルカが必死に誤解を解こうとするが、聞く耳なし。いままでのこともそうだが、呪われてるんじゃないかと本気で思ってきた……もうじき一日が終わるというのに災難だと、暁は心底思った。

ありがとうございました!( ̄- ̄)ゞ


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