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種族の違いは難題です

今さらですが、不定期です。


御了承くださいm(__)m





「……なぁ」



「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!」




できるだけ優しく穏やかにを心がけたのだが、どうやら少女にはあまり効果が無かったようである。



半狂乱に陥っている少女に、慌てて言い募った。




「ちょっ、待て!別に捕って食ったりするわけじゃないんだから、そう怯えるな!」



「……そんな怒鳴り声に近い感じで言っても、逆効果だと思うのですが………」



「うっ……」




暁は言葉に詰まった。そしてぼそっと呟いたサキの声が聞こえたのか、少女はぶんぶんと縦に激しく首を振った。




「わ、わかった。悪かった……それで、俺たちの話を聞いてくれるか?」




細心の注意を払って話しかけると、少女は恐る恐る顔をあげて、こくりと頷いた。




「それでは、僭越ながら私がお話致しましょう」




サキは、元居た世界にいる敵に勝つために力を蓄えたいということや、その為に少女に付き従ってもいいといった旨を伝えた。




「私たちはまだまだ未熟なので、是非この機会に力をつけたいと思っているのです。そして、その見返りに貴女に付き従って差し上げましょう……貴女にとっても悪い話ではないと思うのですが」




何やら含んだような笑みで少女を見つめる。少女は、びくりと体を震わせると、サキを怖々と見つめ返した。




「見たところ、貴女には召喚獣が一匹もいませんね?確か人間界では貴女ぐらいの年頃の術師なら、ほぼ誰もが持っているはず……しかし、貴女からはその気配がない。つまり、貴女は召喚獣を持っていない。従えることができなかった……違いますか?」



「……っ…………」




サキの言葉は的を射ていた。そして、それと同時に少女の心を深く抉った。




「ですから━━━━」




なおも言葉を募ろうとするサキの口を慌ててふさぎ、暁は深々と頭を下げた。




「悪い。本当に、悪かった……いまのはこいつが悪い。だから、その……」




隣で訝しげな目を向けてくるサキを黙殺して、暁は頭をフル回転させて懸命に言葉を探した。



しかし、暁が何かを言うよりも先に少女が口を開いた。




「……気にしないで、ください。本当のこと、ですから……本当の」




暗い顔をしてぶつぶつと言っている少女を見て、サキはようやく少女の様子の変化に気づいた。




「ああ、申し訳ありませんでした。よもや、そんなことを気になさっておいでだったとは露知らず、無神経なことを申し上げました」




サキが己れの非を詫び、頭を下げる。しかし、本人は詫びているつもりであっても、周りには、というより、魔物についての知識が乏しい暁には煽っているようにしか聞こえなかった。




「っ、この期に及んで何を……」




ゆえに、暁は怒り心頭でサキを怒鳴った。サキと少女は、なぜ怒るのかという顔で暁を見ている。



そして、そのことに対して納得がいかないのは暁だった。あんなふうに言ったサキはともかく、言われた少女までもが不思議そうな顔をしていたのだから。




「おまえも、なんでそんな顔しているんだ!皮肉混じりにあんなこと言われたんだ。もっとおこれ!」




暁の言葉に、少女はようやく暁の言いたいことがわかった。そして、細々と声を出した。




「え、えと……この方は、魔族の方…ですよね?」



「は?ああ、まぁ……」




取り敢えず神魔だということは伏せておく。本人サキもあまりいい気はしないだろうし、サキが暁が邪神の眷属であることを言わなかったことでその真意を悟ったからだ。



そうして曖昧に答えた暁に、少女は魔物について語りだした。




「お、恐れながら魔物や魔族の方は、人間と違って感性が大雑把……いえ、大らかなので……先ほどの言葉には、本当に悪意はなかったと思うんです。ただ、人間の心は複雑なので貶されたと思う方も少なからずいると思いますが……」




少女の語尾が、どんどん小さくなっていく。が、そんなことよりも暁は自分が無知だったせいでサキに不快な思いをさせてしまったかもしれないと反省していた。




「……サキ、悪かった。知らなかったとはいえ……というか知らなかったせいでおまえに不快な思いをさせてしまった。それからおまえも、悪かったな」




物凄い落ち込みように、サキと少女は慌てて取り繕った。




「いえ、貴方様がそう思われることなどないのですよ。私のほうこそ、これからは人間の心を理解できるよう精進致します」



「わ、私は別になんとも思っていませんからお気になさらないでください……あの、それよりひとつ聞いてもよろしいでしょうか」




縮こまってそう訪ねる少女に、暁はどうぞというように聞く態勢をつくった。それを見てほっと息をついた少女が細々と言った。




「あ、あの……貴方も魔族の方、ですよね?ど、どうしてそんなに人間の心を理解できるのですか?」




━━━墓穴を掘ったかもしれない

ありがとうございましたm(。_。)m

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