生まれたのではなく造られた
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(…ん………どこだ、ここ……あの世、か?……)
「目覚めたか、新しい我が眷属よ」
「……は?」
こんにちは、いやこんばんはか?ここ暗いから、何時なのか判断ができない。
あぁ、こんな話はどうでもいいか。俺、神城暁は誤って友人に屋上から突き落とされて、死にました。冗談抜きで。本気と書いてマジです。
……とはいっても、死んだんだろうということがわかってるだけで、どうして……なんでこんなところにいるのかは全くわからない。
そんなこんなで目覚めたら、目の前に美青年の顔面ドアップ……正直、心臓に悪い。
しかもその男、俺の顔をジロジロ見た挙げ句の果てになんて言ったと思う?
「ふむ、我が10魔将の中ではそこそこマシな顔をしてはいるな。まぁ、我と比べれば少々劣っているが」
ナ・ル・シ・ス・ト・か
俺は思わずツッコミそうになった。
それに、ひとの顔見てマシだの劣っているだの、幾らなんでも初対面の相手に向かって失礼だろ。
……確かにこの男は綺麗だった。漆黒の髪に銀色の瞳、そこらの芸能人が裸足で逃げるくらいの整った顔。この男には勿体ないほどの美貌だった。平凡顔の憐れな俺にも、その無駄な美貌と色気をわけてほしいくらい…………あれ?
俺の視界に入っている前髪の色が、何か変だ。
ナルシストが俺の驚いた顔を興味津々といったていでまじまじと見つめてくる。俺はおまえの観賞品じゃないんだが……じゃなくて。
「……何だ、これ……俺の、髪が………」
燃えるような緋色をしていた。そんな馬鹿な、俺は日本人なんだ。非行に走った覚えは………って、あぁそうか。
よく考えてみれば、なんてことはない。俺は死んだのだった
つまり、俺は転生したのか異世界に。物語の中ではよくある話だ。うん。
……だからといって、受け入れるかどうかは別だがな!!
さてこれからどうしようか、と考えていると、あのナル男がさらに近づいてきた………邪魔だナル男。
しかしそんな俺の心を知ってか知らずかズカズカと近づいてくると、にやりと笑いかけてきた………嫌な予感がする。
「……俺に何か用ですか」
取り敢えず礼儀として丁寧に聞いてみる、が。
「用、だと?我がお主に用があるわけがないであろう。戯れ言はいい、早く立て。そして、我に忠誠を誓うがいい」
は?忠誠?なんで俺がおまえにそんなもの誓わなきゃならないんだ。
と思わず口から出てきそうになり、慌てて口を塞ぐ。
そして、当たり前のように告げるナル男に、呆れたような視線を送った。
(この男、頭がイカれてるのか━━━━)
こいつはバカかと思いつつ、イラッとしたのではっきりと告げた。
「お断りします。というか、あんたは誰だ?頭に持病でもあるのか?病院にでも行け」
面倒くさくなったので、素で話す。ついでに親切に病院を勧めてやったのに、ナル男はじーっと俺を見ているだけ………て、ナル男の遥か後ろにも誰かいたのか。まったく気がつかなかった。いや、盗み見ているようにも見える。
「……ほぉ、我が誰か知らぬと」
玩具を見つめるような眼で見てくる。
「知るか。そして俺はなぜここにいる。おまえなら何か知っているんだろう」
正直に言うと、ナル男は何が面白いのかクツクツと笑い始めた。
本当に何が面白いのかと思っていると、ナル男が何かをぶつぶつ言い始めた。
そこまでイカれているのかと思っていると、突然ナル男が何もない空間から姿見を取り出した。
ナル男が驚愕している暁を一瞥すると、暁の前に立てかけた。
なんだと思いつつ姿見を見ると、暁は驚きのあまり声すら出なかった。
…………誰だ、これ
姿見に映っていたのは、腿まである燃えるような緋色の髪を頭のてっぺんで結わえ、紫色の爬虫類のような瞳をした鋭い風貌の美青年だった。
着ている服は、上半身は引き締まった胸板を覆っているだけで、肩もへそも丸見えだ。下半身は腰には鎧がついており、服も腿の辺りから切れ目が入っているものだ。見た感じ、機動性を重視したと思われる衣装である。
まぁ、いまはそれは置いておくとして。このナル男と暁が何者なのかが重要だ。一番始めに言ったが、この男は暁に『眷属』と言ったのだ。無関係なはずがない。
「……で、俺は何者でおまえも何者だ」
動揺したのも束の間、すぐに平常心を取り戻して質問をしてきた俺に、ナル男は僅かに目を見開いて驚きを表したが、すぐにまた興味深そうに俺を見る。
「我だけではなく、己れが何者であるかも問うか。よほど、ものを知らぬと見える」
再びクツクツと笑い始めるナル男に、暁は再びイラッとする。
それを感じ取ったのか、ナル男は愉快そうに見つめてきたあと、さらりと話し始めた。
「我は、邪神の1柱。そして、お主は我が造りし10魔将のうちのひとりで、名はロキだ」
「邪神?おまえが、か?それに、俺があんたに造られただと?それに、10魔将とはなんだ」
俺はこの世界で邪神に造られたのか。そんなやつに造られるよりは、普通の親から普通に生まれたかった。それに“魔将”なんていかにもロクでもなさそうなものには産まれたくなかった。
平凡でありたかったのだが、世の中そう甘くないようだ。
「10魔将は我が闘争本能と心核を入れて造った、邪神の中でも最強と謳われた我に次ぐ強い力を持つ10柱の我が眷属のことだ」
「……やはり、ロクでもないものだった」
がくりと肩を落とした暁に、危機が迫っていた。
「…そう、闘争本能と心核を入れて造った……はずなのだが、どうもお主は他の九人と違い、理性と人格を持っているようだな……何故だ」
その顔に浮かべた笑みは、いままでの軽快な会話が全て嘘だったのではないかと思うくらい冷たく、冷淡なものだった。
(……この男は、本当に邪神なのか)
そのとき俺は、確かに目の前の男の恐ろしさの一片と己れの命の危機を感じていた。
ありがとうございましたm(__)m
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