充と聡が話し込んでると、学校にチャイムが鳴り響いた。
どうやら8時30分、朝礼の時間になったようだ。教室にいる生徒たちは続々と自分の席に着いていく。
(充)「ちっ、もう時間か………じゃ聡!この話はまた後でな!笑」
(聡)「はいはい、わかったよ汗」
充は相変わらず悪魔のような笑顔を浮かべ、聡を困らせながら自分の席に座った。
すると教室のドアを開けて担任の先生の中田利和が入ってきて教壇の前に立つ。
(利和)「みんな、おはよう!笑」
利和が笑顔で生徒たちに挨拶をした。だが生徒たちからの挨拶はまばらであった。
(利和)「なんだなんだ、みんな元気がないぞ~。」
(充)「………(このクソ寒い時にそんな元気でねぇよ………)」
(利和)「それはそうとな、みんなもうすぐ期末テストだぞ!?勉強はしっかりしているか!?笑」
(生徒たち)「………」
(充)「………(げっ!そうだった!)」
利和は常に笑顔で生徒に話しかけるが、期末テストという重い話題に笑顔で返す者などもちろんいるはずもなかった。
なぜなら期末テストは後2週間程で始まるため、生徒の中にも現実味がわいてきていた時期であったからだ。
心の内では充のような反応をしている者も少なくはないだろう。
(利和)「ちゃんと勉強しとくんだぞ!じゃ今日の朝礼はここまで!笑」
そして利和は教室から出て行った。
利和は終始笑顔で話していたが、生徒たちはずっと重い空気を感じていた。
(充)「城嶋~。」
(城嶋)「ん?」
充は自分の席の前の席に座っている城嶋数明に声をかけた。
(充)「期末テスト助けてくれよ~笑」
(数明)「そんなの自分で頑張るしかないじゃん笑」
(充)「どう頑張れっつうんだよ!」
(数明)「教科書ちゃんと読んだら留年はしないって!笑」
(充)「そんなんで慰められっか~!」
充は半ば自棄になって椅子の背凭れにもたれかかった。
(数明)「こうなっちゃ特別な人間も形無しだね笑」
(充)「笑い事じゃねぇよ!特別な人間だってテストじゃどうしようもねぇんだよ!」
(数明)「じゃ本庄さんに助けてもらったら?笑」
(充)「お前まで人の色恋に首つっこむ気かよ~。」
(数明)「斉藤君がそれを言っちゃおしまいだよ笑」
(充)「だ~うるせぇ~!テストどうしたらいいんだ~!」
数明はテストのことで慌てる充の様子を見て微笑んでいた。
その後学校のチャイムが鳴って1時間目の国語の授業が始まり、国語を担当する小林正美先生が教室に入ってきた。
(正美)「それでは授業を始めます。」
(充)「………(あ~テストどうしよ~………)」
充はテストのことばかりを考えていて授業に集中できないという本末転倒の状態に陥っていた。そして1時間目がそのまま終わり………
(充)「城嶋~テスト助けてくれよ~………」
(数明)「まだ悩んでんの?汗」
数明が少し呆れながら充の話を聞いていると………
(女の声)「充!」
突然他のクラスの女子生徒が教室に入ってきて充の名を叫ぶ!
(充)「史奈、どしたんだよそんな大声出して。」
この女子生徒は本庄史奈。先程話に出ていた女子生徒で、充の彼女である。
(数明)「これは修羅場かな………笑」
数明は不敵な笑みを浮かべながら2人の様子を眺めていた。